range さんの感想・評価

5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

大人向けのアニメですごくリアルで残酷。

こんなマフィアの世界知らないけど
すごくリアリティがある。

日常的に人を殺して、物を盗んで・・・
けどなんか一つ筋は通ってる。

主人公は普通のサラリーマンで
上司にしかられ、頭下げて一生懸命仕事して
得意先の接待につきあい・・・

なんてことを繰り返す毎日。
誇りもプライドも何もない毎日。

俺も気付けばそんな感じで
毎日をなんとなく過ごしているだけ。

上司にはいい顔して自分なんてない。
まるで機械みたい。

けど、主人公はそんな生活を捨てて
マフィアがらみの裏社会で
自分に正直にまっすぐ生きていってる。

それが最初のストーリーで

まるで俺の代わりに
今の現実をぶっ壊して気の向くままに生きていく姿に
すごく解放感というか憧れを感じた。

けど、それからの話は
そんなハッピーになれるようなのはなくて

普段見れないけど
人が必ず持ってる強欲というか
自分中心・金・権力もろもろのドロドロとした感情や

今の日本では表に出ないし誰も見ようとしない社会の裏を
表した話がほとんど。

ただ、ダークな話ばっかりだけど
キャラクターがみんなそんな裏社会の汚さなんて
何とも思ってない人ばっかりで

雰囲気としては明るい（？）というか普通だと思う。

それでも、たまにそんな普通の雰囲気でも
すごく暗い話もある。

特に以下のネタばれのとことか・・・
{netabare}
双子の孤児がいくとこなくて
ＡＶにでて大人からすごく残酷な扱いをされ続けて
しまいには同じ子供を殺させるとか・・・
そのシーンはないけど
そういう背景があるという説明があったり・・・
結果的には殺人鬼になるんだけど

特に印象に残ったのが
主人公と普通にほんとに殺人鬼かってくらい普通に
子供らしく遊んで話してるときに
主人公に優しくされたお礼だからって

パンツ脱いでスカートめくるんだよね・・・
それがお礼の仕方ってその子は思ってるんだよね。

なんかどうしてこうなったんだろうって思うシーンだった。
主人公もすごく悔しい気持ちでいっぱいだった。

その時に仲間の一人が
「ああいうのをまっすぐ見てはいけない」っていうんだけど
それがまた、悲しくなるんだよね。

{/netabare}

現実でこんな世界を見ることって全くない。
けど、こんな社会の裏の部分は必ずある。

こんな人の強欲にあふれたのは見たくないし
自分とは関係のないものだと感じる人がほとんどのはず。

それでも、しっかり向き合って生きていくことの大事さを
教えてくれる社会派アニメだと感じた。

まあアニメはやっぱりアニメだけどね。
おれはそんな見方で見ました。

キャラ的には
みんなそれぞれの現実を受け止めて

自分の汚さも社会の汚さも人間の汚さも知りながら受け入れて

それが何？みたいなスタンスで生きているのが
かなりカッコイイ。

一味もふた味も楽しめるかなりの良作だと思います。
アニメ見れる大人なら割と楽しめるはずです。

見終わったのでその分を追加！

最後までみんな悪党でした。
最後は日本が舞台となって

主人公は悪党の世界にいるけど
悪党になりきれていない

そんな中途半端なところをクローズアップして
締めに入った感じでしょうか。

上述の感想でかっこいい！とか言ってましたが
それは撤回です。

かっこいいとかすごく低次元な頭だと自分が嫌いになります。

生きることって・・・ということをすごく考えさせられた作品でした。

登場人物は日々命がけ。
しかし、彼らは自分たちのことを「死人」と言います。

他人から何かを奪いながら生きる。
これしか選択の余地がない。

単純で残酷。

この作品を通して感じたのは

色んな美談やきれいごと並べたってやってることは
みんな同じ。

可愛いとか言ってる牛とか豚を殺して食べる。
森林をつぶして土地を増やす。
他人の金で奪う。
嘘をついて他人をだます。
誰かを不幸を笑う。
・・・などなど

とってもいやな言い方しましたが
これが現実。
これをもっともっとひどくしたのが
ロアナプラ。

生きるってとても汚いこと。
そんなことをはっきり見せてくれるアニメでした。