にゃっき♪ さんの感想・評価

4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

mother nature beautiful creature

北海道の大自然のなか、全寮制の大蝦夷農業高校を舞台に、若者たちの青春と成長を描く物語です。

主人公の八軒勇吾は、中高一貫校で進学コースから外れ、親元から離れている高校に逃避する目的でこの学校を選択します。農家の跡取りが多く、すでに自分の将来について明確なヴィジョンを持っているクラスメートたちと違い、何の夢も持たずに入学した八軒ですが、夢を持てば同時に現実と戦うことを覚悟しなければならないことを学び、早朝から牛や豚など家畜の世話をするハードな生活のなかで、日々逞しくなっていく姿は思わず応援したくなりました。

八軒の存在は、農家で育ったクラスメートにとっては、常識であり考えたこともない事と、きちんと向きあって考える起爆剤になり、お互いに刺激しあって成長していく学園ものならではの素晴らしさも充分に堪能できます。もっとも、主流になっている萌え系の絵柄とはズレていますし、主人公と他の異性に関する噂話に動揺したヒロインの御影アキが、黒板消しを落とすような淡い恋模様の描写はありますが、萌えや恋愛要素は期待しない方が良いと思います。

生まれたばかりの頃から世話をして可愛がっていた子豚との別れなど、食や命に対しても真剣に向きあった作品で、疲弊した家族経営の畜産農家も食肉工場のような大規模農場も、一方的な価値観を押しつけることなく暖かい視点から描かれていたのは好印象でした。

教師や家族などのオトナの描き方も丁寧でしっかりしていて、厳しくも心地よい空気感が支配するなか、胸が締めつけられるような感動や笑い、何だか分からないけれど何かを始めたいと思えるようなパワーをもらえる優れた作品だと感じました。ムツゴロウの動物王国や佐々木倫子のコミック「動物のお医者さん」を思い出させるようなところもあり、どんな年齢層の方にもお薦めしたいのですが、空腹時の視聴には注意した方が良いかもしれませんね＾＾