jethro さんの感想・評価

2.6
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 1.0 音楽 : 4.5 キャラ : 2.0 状態：観終わった

荒廃した世界、荒廃したネタ隠し

廃部寸前の水泳部を立て直そうと躍起になっているキョウは
ある日、飛び込み台に立つシズノに出会う
シズノに導かれ謎の荒廃した世界に辿り着くキョウ
そして訳の分らぬまま
謎の巨大ロボット、ゼーガペインに乗り込み戦いに巻き込まれていく

ロボットモノがお好きな方には宜しいのではないでしょうか
ロボットバトルは満載ですし

ドラマの方に関しても、そう悪くはないと思います。
ただ、あまりにも虚無的で絶望的な設定なので
「敵を殲滅したあとどうするつもり?」という疑問がずっと付きまといます。
登場人物たちがこの最終目標に関する事を話題にしないのも更に疑問が付きまとう

最終目標{netabare}(生身の人間に戻る){/netabare}に関しては
本当に物語の終盤でしか明かされてこないので
そこまで、この物語を見続けるための精神的な体力がかなり必要でした。
(ロボットバトルものなので、そんなこと別に気にすることないのでしょうか?)

作中にはいくつもの「謎」が提起され明かされていくのですが
この最終目標に関しては
もっと早期に明かすべきネタだったのではないかと思います。
テーマ不在な状態は見てて苦痛でした。
敵ですら「何のために戦う?」と質問してくるくらいですから本末転倒

この苦痛さは、これだけに留まりませんでした。

すいません
主人公に共感できません・・・
「天然」「熱血」「純粋」「猪突猛進」・・・良いと思います。
でも、「バカ」なのは許せません
見たところ非常にIQが高く文学にも精通している設定ですが・・・
「人の気持ちを理解しようとしない」「理解できない」そんな人は
例えIQが高くても「バカ」だと思います。

先に挙げた「何のために戦う?」と問う敵に対して
きちんとした答えを言う事が出来ない主人公ってどうなのでしょう?
この主人公の口癖的に言うと「あり得ない」です。

これだけでなく
数々の敵の理性的とも思える質問がこの主人公に投げかけられますが
「ふざけんな」「いい加減にしろ」「お前が自分で考えろ」「わかんねぇ」「ぶっとばす」
そんな言葉でしか回答できません・・・
「色即是空」の意味を理解できる人物とは到底思えない・・・
これらをひっくるめて「不器用なやつ」と定義してもかまいませんが
やはり主人公ですから
肝心要の場面、ここぞという場面では
きちんと理性的に答えられる度量が必要だったと思います。

絶対的に戻らない記憶の欠如のせいで
やや二重人格的になっているのだとしたら
もっと言葉の使いどころを選定すべきだったと思います。

さらに根本的な部分をあえて突っ込ませてもらいますが
幼馴染と恋仲にする必要性が感じられないんです。
主人公を動かすために「守るべき大切なもの」が必要なのは分かります。

でも、本作の最も重要なテーマ「限りある命の大切さ」を詠い上げるには
先輩のミサキ・シズノただ１人で良かったはずです。
{netabare}本来命を持たない人工のものに対する{/netabare}この愛情をうまく表現することこそが
最高のファンタジーだったのではないかと思うことしきりです。

「記憶の欠損」という設定があるから・・・これは理由になりません
そもそも、この「記憶の欠損」の一番の使用理由は「ネタ隠し」のためですから
説得力のかけらも感じられない

あれも隠したい、これも隠したいこのオンパレードが
幼馴染との恋愛劇を作り上げてしまったように思えます。
この奇妙な設定の束縛のため
幼馴染のカミナギが何故、主人公を好きになったのか?
主人公がカミナギを好きになる理由は少々散りばめられてますが
カミナギが主人公を好きになる決定的な理由が語られてません
完全に「幼馴染」「昔から仲良くしていた」という設定のみに頼ってしまっています。

うーむ
小手先のテクを使い過ぎて崩れてしまった
そんな気がします。

深く考えず純粋にロボットバトルとしてご覧になる事をお勧めします。

{netabare}最終回ラストシーンは仮想現実の学校ではなく
荒廃した世界の復興途上にして欲しかった{/netabare}