「翠星のガルガンティア(TVアニメ動画)」

総合得点
88.0
感想・評価
2865
棚に入れた
14361
ランキング
134
★★★★☆ 3.9 (2865)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

タイトルなし

この作品は虚淵氏曰く、社会に出たばかりの若者に向けたテーマを込めているらしく、要約してみると「周りや社会に流されず、自分で考えて行動しろ」という感じになる。
まぁ社畜(会社ではなく社会)になるなよってこと。あとあれ、同じ労働するにしても、帰る場所のない独り身よりも、帰る場所がある方が働き甲斐があるぜ! ってことでもある。

このテーマに関して言えば、綺麗に描かれていたと思う。とくに不満はない。
が、これを描く上でちょっと無駄な要素が多かった気がしないでもない。
まず、共存共栄は必要なかったんじゃない? これを描こうとした意図が分からないなぁ。
この共存共栄ってのは、人類とヒディアーズの間で成立するのか否か、ここら辺は丸投げされている。
光蟲=ヒディアーズみたいなものだから、一応人類はヒディアーズから恩恵を受けている形にはなるけど、じゃあヒディアーズにとって人類を生かしておくメリットは? って話。
共に栄えるってのは無理だろ……だから銀河同盟vsヒディアーズになってるのだし。
二期に期待するしかないのかなー。無理だと思うんだけどなぁ。

チェインバーの言うとおり、いずれヒディアーズが脅威になるのは分かりきったことなのだから、オチでいきなりレドが共存の道を求めていることには驚いた。

とはいえ、チェインバーのセリフによってレドが人間になれたことがばっちり表現されたシーンは中々に胸が熱くなる。
僕は最初、チェインバーは【パイロットに必要なことを啓発して支援するシステム】だと思っていたんだけど、そうじゃなかった。
【パイロットを支援し、啓発するシステム】だったんだな。
だから、レドが人間性を学んでいくに連れてチェインバーの発言の中身も少しずつ変わっていったんだろう。
……欲を言えば「ブリキ野郎」は必要なかったように思う。このセリフのせいで、チェインバーもレドと同じように人間性を学んだのか、それともレドが人間になって支援も啓発もする必要がなくなった結果、システムとして導いた最適な選択が自爆だったのかが分からなくなってしまった。

ヒディアーズという脅威を前に、人類は生きる為に戦うことを選び、しかしその結果人は戦う為に生きるようになった。
人間性を失くしたレドは、ガルガンティアでの生活を経て人間性を学んでいく。
【自分で考えて生きろ】が本作の主なテーマではあるけど、「じゃあ生きるってどういうことなの?」って疑問が浮かんでくるのは当然の流れ。
で、それに応えるのがガルガンティアという舞台。この舞台で生活するキャラクターが、その言動で証明してくれるんだ。

……が、いかんせん尺が足りない。結局、満足に応えてくれたキャラはほとんどいないといっていい。
【生きるとは?】なんて漠然としたテーマは本来、長い、無駄とも思えるようなエピソードを積み重ねて描かれるべきなんだ。
それが、尺が尺なので絵で描かれずに言葉で説明されるばかりになってしまった。ほんとうに残念でならない……。

レドが人間性を学んでいく中で、性に目覚めていくという描写は必要不可欠のはず。……え、望んでいるのって俺だけじゃないよね?
コクピットに乗って戦うばかりだった少年が少女との生の触れ合いにドキッとして、少しずつ異性に興味を持ち始めるとか、期待してたんだけどなぁ。
サーヤの巨乳に赤面して、そんなレドの様子にエイミィが嫉妬して、そうした過程を経てやがてレドへの恋心を自覚する……アリだよね?

ガルガンティアの日常、各キャラにスポットを当てた回、そういうのこそ描くべきだったんだよな。
レドを擁するピ二オンとベローズのサルベージ対決とか、船団への参加を希望してきた船の一員にイケメンがいて、ソイツにメルティが一目ぼれするとか、ロケット団みたくしつこくて憎めないラケージ海賊団とか、エイミィとレドがデートっぽいことをして、そんな二人を遠くから色んなキャラが尾行して茶化すとかさぁ。

あー、勿体ない。この一期でレドがすっかり人間性を学んでしまった以上、二期が制作されたとしても上述のようなお話が描かれたってもうひとつ必要性が薄くなってしまう。
一期でこそ描かれるべきだったんだよ……。

ガルガンティアの設定自体はすごく作り込んであったからこそ、是非とも描いて欲しかった!
それがなぁ……8話なんて、リジットとエイミィ二人の苦悩が描かれていたけど、ぶっちゃけエイミィの苦悩は心にくるものはなかったし(なんせ恋心を自覚しているワケでもないのに泣いてるんだもの)、リジットの方もリジットの掘り下げ不足で感動も感情移入も出来ない。
この回で一番感心できたのは、フェアロックの葬儀の内容だ。普段踏みしめることのないであろう砂で身体を包んで見送る。こういうところでもガルガンティアという舞台を目で楽しむことができたことが嬉しかった。


二期が放送されたとして、観るかどうかは分からない。
ピ二オンが誰かと子を成してパパになる、って展開があるなら観るかも。
レドは子どもの誕生を目撃すべき。一年モノなら、そういう回もきっとあったろうなぁ。

投稿 : 2015/08/20
閲覧 : 224

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