aaa6841 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
現実とゲームの中間にある世界
気がつくと、オンラインゲームの世界にいた。
目の前にステータス画面があって、自分と相手のレベルが丸見えで、どこの四次元ポケットに入れてんだよという感じでアイテムをいくつも所持していて、登録している相手ならワンタッチで無料通話が出来て、メイン職業の他にサブ職業まであるという、まさかの二重就労を課されていて、ログアウトで逃げることもできない世界。
そして、死んでも死ねない世界。
そんな世界で、何とか人間らしく生きていこうという物語。
最初こそ、多くのプレイヤーが、そんな世界の中に自分が取り込まれたという事実にあわてふためき、錯乱したりするのだが、ほんの少し時間が経てば、ゲームでもやっている感覚でPK(他のプレイヤーを殺して金品やアイテムを奪う行為)を始めだす。
さすが「ネトゲ廃人」といったところである。
その上、この世界から現実の世界へ戻ろうと必死になっている人間が皆無。
彼らは、廃人の鑑である。
そんな感じで、基本的には緊迫感がない。
ないのだが、そのせいで「現実の世界」と「ゲームの世界」を混同しているような状態になっていく。
徐々に、「現実」が「ゲーム」に侵食されているような。
実際に、彼らのいる世界は、かつてのオンラインゲームの世界とは異なったものになっているようだ。
パソコンを使って画面越しにゲームをしているときには不可能だったことが、実際にその世界の中に自分が存在することで可能となったことがある。
例えば、アイテムの持ち運びには「鞄」を使わなければならないとし、「鞄」にアイテムを入れられる数には制限があるとした場合、純然たる「ゲーム」であれば、その制限を超えてアイテムを持ち運ぶことは出来ないはずである。
しかし、この世界の中に「自分の体」が存在することによって、その制限を超えて、アイテムを「自分の手で抱えて」持ち運びすることが可能なのである。
要は、規則や制限といった「ルール」が、この世界では「曖昧」になっている。
そして、この「曖昧さ」こそが、このアニメにおける世界感のスケールを大きくしている要因であり、一番の見所でもある。
その性質を利用して、「新たなルール」を作る役割を果たすのが、主人公のシロエである。
この主人公は、基本的に頭ばかり使う役回りで、戦闘にはほとんど関わらず、「政治」や「研究」ばかりしており、かなり地味である。もう、すんごい地味。
もちろん、主人公特有の得体の知れないパワーで強敵を叩きのめす、みたいな場面もない。
逆に言えば、そこに新鮮さを感じる。
他にも、色んなキャラがたくさん登場するのだが、NHKだからなのか、刺激的なキャラはほぼいない。
出来るだけエロくならないように、下劣にならないように配慮している感じが伝わってくるのだが、ネトゲ廃人と思わしき人物が、パソコンに向かってぶつぶつと1人言を呟いている場面で、足元に2リットルペットボトルが2本置かれている描写はありなのだろうか。
これは巷で噂の「ボトラー」というやつではないのだろうか。
よく考えると、この演出は、「ボトラー」という言葉を知っている視聴層が見れば笑いのネタになり、このような下劣なネタに苦情を入れそうな視聴層は「ボトラー」という言葉自体を知らないだろうから、結果的に、こんな下劣なネタを入れても苦情を免れることが出来るという、とんでもない技術が込められた演出なのではないだろうか。
その上、主人公が次回予告で、「これが僕達のリアル」などと言い出すのだから、これはもう確実に、制作スタッフが笑いを取りにきているのだろう。
こっちはそんなリアル見たくないのだが。
その他にも、ちょくちょく次回予告にネタをぶっこんでくるので、毎回最後まで確認してみても損はないかもしれない。
まぁ、そんな、色んな意味でワクワク感が止まらないアニメです。