にゃっき♪ さんの感想・評価

4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

Bonds Beyond Time

専門用語や登場人物がやたら多い、陰陽師が活躍するラノベ原作の異能バトル作品です。

作品世界では現代の東京に、霊的災害と呼ばれる異常現象が頻繁に起こり、その対処にあたるために陰陽庁と呼ばれる国家機関や、陰陽師を育成する陰陽塾などが設置されています。
陰陽師は使い魔である式神を従えていますが、作中において陰陽師と式神の関係は、陰陽師同士で上に立つ者と従う者、飼い主とペット(?)としても用いられているようです。

霊的災害が起こるようになったのは、戦時中に活躍した伝説の陰陽師、土御門夜光(つちみかどやこう)が禁断の儀式に失敗してからと言われていますが、夜光が現代に転生していると信じ、彼を祀り上げようとする夜光信者も暗躍しています。
土御門家の分家で育ち、落ちこぼれの主人公の土御門春虎(つちみかどはるとら)は、次期当主で夜光の転生とも噂されるヒロインの土御門夏目(つちみかどなつめ)の式神となり、彼女の通う陰陽塾に転入して東京での生活がスタートします。夏目は学校では男性として振る舞い周囲にもそう見えているのが不思議ですが、これも陰陽術なのだろうとスルーした方がよいのでしょう。

周囲の友人と共に成長はしていきますが、主人公無双の作品ではありませんので、主人公に感情移入して爽快感を味わいたい方にはお薦め出来ません。学園も舞台になっていますが、常に緊張感があり、エロやお約束など期待できるような作品でもないです。
入り組んだ人間関係がわかりづらいのも難点なのですが、それぞれの思惑や立ち位置が揺れ動き、格好良すぎる教師や妖怪爺さんをはじめ、魅力あふれる大人の登場人物の絡みが、主人公を粗大ごみに出しても問題ないくらい素晴らしく、原作の販促効果を十二分に果たしていたと思います。
夏目をはじめとする女性キャラたちに魅力がないとは言いませんが、春虎の忠誠な式神で、狐耳とふわふわの尻尾のついた幼女姿のコンは反則ですね。

一応は区切りの良いところで終わってはいますが、先が気になる終わり方ですので、原作に手を出してしまう方も少なくないかもしれません。なお２クールに原作９冊分を詰め込んでいて、圧倒的に説明が不足していますが、Wikipediaの登場人物の説明は致命的なネタバレがありますので要注意です。
ある程度視聴が進んだら、TVアニメ「東京レイヴンズ」公式サイトのSPECIALにある「まるわかりコンが教えてあげます」の動画を視聴すると用語や背景を整理できてよろしいかと思います。