「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日(OVA)」

総合得点
71.8
感想・評価
116
棚に入れた
530
ランキング
1240
★★★★★ 4.1 (116)
物語
3.8
作画
4.2
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

砕け!ジャイアントロボ!

実に足掛け6年間の歳月を経て完結したOVAシリーズ、横山光輝先生の原作を今川義宏監督がアレンジしてます。
私の一番好きなロボットアニメです、ただロボットアニメと言ってもロボバトルはおまけ程度ですが。


<物語>
終わり方は凄まじいですよね、"この作品は全ての父と子に捧げる"なんて出てきた時にはもう。
フォーグラー博士も口下手が過ぎるというか、息子の幻夜もそうですがシズマ博士も曲解してアンチ・シズマドライブを持ち逃げしてしまいますし、誰からも理解を得られてなかったのが悲惨でしたね。
まぁそれでも話の流れは秀逸で、あの幕引きは我々に強烈な印象を植え付けていきました。
それにしても気になるのは公明のGR計画、十傑集を欺きBF団員の命すら擲って実行した"地球静止作戦"ですが、その真意が本作で語られることはありませんでした。
GRとはジャイアントロボシリーズの事で、GR1が大作君の乗る機体です。
GR2は眩惑のセルバンテスが操縦していた機体で、GR3はOPのみで登場しています。
GR1は元々BF団の所属であり、大作君の父である草間博士が製造した機体です。
GR1が原子力で動くのに対して、GR2、GR3は未知の動力で駆動しており、ここにGR計画の秘密が隠されている模様です。
ただ、混世魔王樊瑞に問いただされた公明の苦し紛れの発言だったことは否めません。
漫画版では国際警察機構に奪われたバベルの塔を見つけ出すためという少しは得心の行く理由が語られていますね。
本来の構想としては、ジャイアントロボ誕生編からバベルの籠城編まで膨大な設定があって、地球静止作戦編はその内の一つでしかありません。
最近バベルの籠城編はコミカライズされましたが、それ以外は現時点での制作予定はなく、幻のエピソードになってしまっています。

<作画>
ロングスパンでの製作だけあって、流石のクオリティを保持しています。
今川監督を筆頭に、名立たるスタッフが軒を連ねていますね。
あの庵野秀明さんもスペシャルゲストキーアニメーターとして、アバンタイトルの原画などで参加しています。
アクション作画は特に群を抜いていて、巨大ロボが戦うスケール感がよく表れています。
レイアウトも清々しいほどスタイリッシュに決めていて、テンポよく場面も転換するので、見ていて気持ちがいいです。
キャラの色気は目を見張るものがあり、特におっさんの色気が尋常ではないのも本作の特徴でしょう。

<声優>
ベテラン声優ばかりですね、その分現在ご存命の方が少なくなってきているのですが。
国際警察機構なら家弓家正さん、若本規夫さん、山口勝平さん、島本須美さん、飯塚昭三さん、江原正士さん、青野武さん、納谷六朗さん、大塚明夫さんなど。
BF団だと中村正さん、石田太郎さん、麦人さん、秋元羊介さん、羽佐間道夫さん、野沢那智さん、大塚周夫さん、市川治さん、小川真司さんなど。
老年声優の良い声を聞きたければ本作ほど優れた作品もないでしょう。

<音楽>
あのワルシャワフィルが初めて関わった日本のアニメとしても有名です。
ワルシャワフィルは本作の他に、「蒼穹のファフナー」や「創聖のアクエリオン」など多数手掛けていますね。
元々クラシックのお国柄ではない日本に大規模なオーケストラの楽団が無かったこともあり、当時大不況であったポーランドのワルシャワフィルに本作の音楽を外注したことが、今でも続く親交の皮切りになったとか。
7話とも全て異なる音楽が用意されていて、物語を荘厳に演出しています。

<キャラ>
十傑集が10人揃い踏みという超豪華さ、一人一人が強力無比でなんといっても痺れます。
最初に登場するのは衝撃のアルベルト、目立って仕方がないハート型の髪型と衝撃波を放って戦う戦闘スタイルで、十傑集の中でも一際存在感の濃い人物ですね、出番も一番多いです。
右目は九大天王の戴宗との戦いで失われていて、彼とは宿敵関係に当たります。
次に登場するのは眩惑のセルバンテス、作中では故人という扱いですが、大作君の回想に登場し、アラブ装束にスーツという謎の出で立ちで視聴者の度肝を抜きました。
炎を操っているような描写もありましたが、能力は名前の通り幻術使いです。
そして十傑集会議が行われていた謎のスタイリッシュ空間でお披露目となった、樊瑞、カワラザキ、幽鬼、十常寺、残月の5人。
混世魔王樊瑞は十傑集の現リーダーで、初代リーダーのカワラザキから今の役職を受け継いでいます。
一清の兄弟子ということで強力な仙術を操り、作中では銅銭を剣に変えたりしていました。
激動たるカワラザキは念動力の持ち主で、重力を自在に操って大凧に乗ってましたね。
その気になればアキレスの檻からの突破も簡単と豪語していて、実力の高さが伺えます。
暮れなずむ幽鬼は作中では虫を操っていましたが、動物・植物に至るまであらゆる生物を使役できる能力を持っているいて、自身も蝶になっていたりとその実力は計り知れません。
カラワザキと仲が良く一緒に行動することが多いですが、どうやら子供の頃能力が原因で人間不信になってたところを激動の爺様に救われたのだとか。
命の鐘の十常寺は生死を操る能力者で、ロボットに命を与えて、その命を奪うことで、無に帰すという御大層な攻撃をしていましたね。
アキレスに殺されてもいつの間にか回復しているという何でも有りな十傑集の中でも極めて混沌とした存在です。
白昼の残月は角帽マスクにスーツという変態的な格好をしていて、謎の多い十傑集の中でも殊更謎の多い人物です。
一説には十傑集最年少の19歳だとも、針を使って戦うとも言われていますが、素性はよく分かりません。
そして大作君が大怪球に乗り込むのを阻止しようと現れた、レッド、怒鬼、ヒィッツ。
マスクザレッドは忍術でビッグゴールドを操る能力を持ち、操縦者の居ないジャイアントロボに優勢と実力の片鱗を見せています。
銀鈴の広域テレポートに巻き込まれ、自分は怒鬼に助けて貰っておきながらヒィッツは殺すという謎の行動を見せた鬼畜な忍者です。
直系の怒鬼は能力も分らなければ一言も喋らない得体の知れない人物です。
その名前からビッグファイヤーと血縁関係があるかと噂されていますがその真相は不明です。
そして最後は素晴らしきヒィッツカラルド、躍りながらの指パッチンで国際警察機構のエキスパート達を真っ二つにしていったシーンは鮮烈でした。
快楽殺人者でどうやら十傑集の中では格下の模様、そのためレッドにどさくさに紛れて殺されます。
これら十傑集はそれぞれ横山作品からの出典ではありますが、活躍の薄いキャラが抜擢されていて、そこもまたスターシステムを逆手に取った演出で好きですね。


ロボットアニメと言いながら、ロボの力を大きく上回る超人が数多く居るので、どうしてもロボバトルが薄らいでしまいますが・・・。
それでも物語運びには一見の価値があり、キャラクターも一人一人見せ場があって、短編OVAとしては随分と丁寧に仕上がっていると思います。
私のお気に入りのアニメです。

投稿 : 2016/11/27
閲覧 : 332
サンキュー:

4

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