じぇりー さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「ほのぼの」では言い尽くせない何かがある
確かに作風としては、主人公・夏目と妖怪たちとの心の交流を描いた、どちらかと言えばハートウォーミングな作品ではあるものの、そこに留まらないところが、この作品を良作たらしめているのではないだろうか。
子供の頃より、妖怪が見えてしまう特異な能力ゆえに周囲から気味悪がられ、孤独を味わってきた夏目は、その生い立ち故に内向的な性格だ。
しかし、疎まれ虐げられてきた過去故に、例え相手が妖怪であっても心に受ける「痛み」を理解し、手を差し伸べることができる。これが夏目の良さであり、この作品の持つ「味」のように感じる。
夏目の妖怪への接し方も、基本おせっかいに近いのだけれども、ありがた迷惑過ぎないところが良い。エピソード毎に切なかったり、心がふわっと温かくなったり、と良い余韻を残して終わってくれる。
音楽も「がんばり過ぎていない」スローな感じが作品にマッチしていて良い。
視聴したタイミングも、夏で始まり秋に向かっていく、という作品とほぼ同じ時期だったことも共感しやすい要因だったかもしれない。
異端扱いされ、悲哀とまではいかないが、どうにもならない感じを背負ったまま暮らしている夏目と妖怪たちとの心の交流が上品に描かれた、切なくてほろ苦い気持ちにさせてくれる、私にとってまた何かの折に見返したい作品となった。