れのん。 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「ちはやふる から考える 競技かるた」(2015・11月15日)イベント感想
1期 2011年 10月~2012年3月 放送(全25話)
2期 2013年 1月~6月 放送(全25話)
原作 漫画 末次由紀 掲載誌 BE・LOVE
監督 浅香守生 キャラクターデザイン 濱田邦彦 音楽 山下康介
制作 マッドハウス
原作既読
「ちはやふる」は、何度みても名作だなと思います。
皆様がすぐれたレビューを書いておられるので、ここでは、先日、私が行ったイベントの感想でレビューにかえさせていただきます。
私が行ったのは、11月15日に時雨殿で行われた「ちはやふる から考える競技かるた」というイベントです。楠木早紀永世クイーンと瀬戸麻沙美さん(綾瀬千早 cv)が来られました。
楠木早紀永世クイーンは、史上最年少の15歳(中三)のときにクイーンになられた点、若宮 詩暢のモデルとなった一面があります。
と同時に、楠木さんはクイーンになられたあと、地元・大分県中津市の高校にかるた部を設立し、創部二年目に近江神宮で団体戦全国優勝をなしとげているので、その点、瑞沢高校かるた部のモデルになっているのではないかと思います。
楠木さんは、「ちはやふる で、一番好きなシーンはどこか」ときかれて、「瑞沢高校が団体戦で優勝するシーン」とこたえていました。ご自身の経験や思いに通じるからだろうなと、きいていてちょっと胸が熱くなりました。ただ、団体戦で優勝したときにすでにクイーンになっていた点や、全員が、地域のかるた教室に小学生から行っていた点などは、千早たちと違いますね。
一方、瀬戸麻沙美さんは、「ちはやふる」のヒロイン綾瀬千早のcvで、その他、「放浪息子」の高槻よしの、「TARI TARI」の来夏をはじめ、多くのアニメで活躍されています。瀬戸さんがはじめて楠木クイーンに会ったのは、高校生の時(高三で「ちはやふる」のアフレコはじめた頃)だったそうです。
当日のイベント参加者は、私のように競技かるたをしないアニメファンもいましたし、京都・滋賀のかるた会の人たち(小中学生とその家族が多く、それに大学生や年配の方)も多かったです。かるた会の方々は皆、「ちはやふる」の大ファンでした。
時雨殿は、京都・嵐山にある小倉百人一首殿堂(入場料、500円)。アニメには登場しませんが、原作20巻で、修学旅行先で千早がクラスメートと時雨殿に行く話が描かれています。
1階に百人一首についての展示があり、2階大広間では、平安時代装束の着付けを男女とも無料で体験できます(写真撮影は有料)。ここではときおり、競技かるたの公式戦が行われます。嵐山を望むロケーションは抜群で、対岸の山の上には、けいおん! の修学旅行で出てきたモンキーパークがあります。
楠木早紀永世クイーンは、和装袴の正装で来られました。落ち着いた自信のオーラが漂う素晴らしい方で、かるたの話もとても興味深かったです。一芸に秀でた人の話というのは、さまざまのことに通じるなあと痛感しました。自分は、ニコ生の動画で楠木クイーンの競技かるたを視聴したことはありましたが、実際にかるた競技を目の前でみるのははじめてで、ましてやクイーンのお話を聴くのは貴重な機会でした。
お話の後、実際にクイーンが模擬競技をされましたが、やはり緊迫感があってすごかったです。クイーンが払った札が二枚、私のところにとんできたので、クイーンに手渡しました♫ そのうち一枚は、「つらぬきとめぬたまそちりける」でした。上の句は「白露に風の吹きしく秋の野は」で、秋の歌ですね。
詩暢がその地位にあり、千早がめざしているクイーンとは、どのような存在か? ということに、自分はとても関心がありました。 {netabare}
楠木クイーンはさきほど書いたように、2005年に15歳(中三)で挑戦者となり、近江神宮でのクイーン戦で、史上最年少でクイーンに。
高一で初防衛されて以来、しだいに「クイーンはこういう存在でありたい」という理想像がはっきりしてきたそうです。「それはどのような理想像ですか?」ときかれて、楠木さんが「どんなに流れが悪くても、25枚で勝つかるた(つまり相手に一枚もとらせない)が理想です」と、たんたんと落ち着いて答えられたのを聞き、私は、「この人は、ほんとにすごい人だ」と感服しました。
ちなみに、「子どもたちの手本となるような クイーンであり続けたい」とも言われてますね。実際、イベントにも、こどもたち(6歳~小中学生)が家族に連れられて、たくさんきていました。みんな、クイーンにあこがれてるんでしょうね。
楠木さんは初防衛後、昨年(2014年)まで、クイーン位10連覇。2015年のクイーン位決定戦への出場辞退を承認しました。
イベントではクイーンから、いかにもと納得させられる言葉や驚異の発言が、次々と飛び出しました。そのうち、私の印象につよく残ったのは、{netabare}
・暗記時間の15分は意外と長い。この暗記に、楠木さんも最初は15分かかったけれど、中三でクイーンを目指す頃には、3分で50枚をすべて完璧に暗記できるようになった (まず、並べるときに自陣は完璧に覚えてしまう = ここまで30秒。 残り2分30秒で相手陣を完璧に覚える)。
・札がよまれた後、残り札の整理を頭の中できちんと整理する。たとえば、「あ」の札がよまれたら、場に残っているあの札を手で確認。同時に、まだよまれていない「あ」の から札 の数を頭の中で確認。(これは、アニメでは、手の動きはないけれど太一がやってるところがよく描かれてますね)
・4方向(相手陣左右、自陣左右)の最短距離の払い方をマスターする。(これは、千早がよくやっている素振りに始まるのかな?)
・運命戦は、運で決まる。それはいやなので、そうならないようにはじめからとる。
・かるたは静と動の競技。
・練習は裏切らない。練習は、自分(楠木さん)も好きでない。それでも、最大限、最高のトリをめざして練習で続ける。もっともっとよくしたいという気持ちを、持ち続ける。これが、試合で負けているときでも、それをはねかえす強い心につながる。
・感じがよいというのは、子音がよく聞こえていること。例えば、三字決まりの「あき の た」の、「の」の前のn音と、 「あき か ぜに」の、「か」の前のk音の聞き分け。
・そして、二字決まりの「か く とだに」と「か さ さぎの」の場合、k、sの子音で取り札が決まるが、何回も聞いていると、読み手の癖があるので、「か」 だけで、わかるときもある。
・さらに、最高に集中していると、次に来る札が何となくわかるときがある。(そういうのを表現するのに)、よく「札が光る」という。こういうときは、札が「とって」という。
→ もう、こうなると、自分(れのん)は、最高に集中してるときのクイーンは、たぶん神がかってるような気がしました<(_ _)>;
・競技中に、読手さんが「あ」と読んだら、(敵陣・自陣にある札のうち)、あの札に、ぱ・ぱ・ぱ・ぱ・・・、と、ランプがつく感じ。
・で、さらに二字目まで「あき」と読んだら、(「あきかぜに」「あきのたの」と、三字決まり二つになるので)、ランプが減る。
・(自陣がとられて、相手から)おくられるのはいやなので、おくらせない、もしおくられてもかえす。
→ このあたり、クイーンの話をきいていた瀬戸さんが思わず、「惚れます。かっこいい!」と言われていたのが印象的でした-。{/netabare}
*楠木クイーンの「ちはやふる」感想 & コメント {netabare}
・原田先生の、「早さへの執着心を捨てなさい」という言葉について = 「早く!」と意識するのは、ねらってとるときが多い。ねらいをしぼると、他の場所がおろそかになる。なので、とれる札を広げるため、(あえて)ねらいをしぼらない。早くとるというのは、リスクを負うことでもある。
・(綿谷 新の出身地の)福井のかるたは豪快。
・(クイーンによると)、千早は、天才的な感じの早さと、敵陣へのスピード(が優れている)。女性らしいかるた、という印象もある。
・クイーンが好きなキャラは、詩暢ちゃん。クイーンによると、詩暢のかるたは、(おそらく、クイーンのレベルのかるたを、という意味だとれのんは推測します)よく表現していただいている。詩暢は、全部のかるたと指先が、糸でつながれている。
・アニメにでてくる、団体戦での札あわせは、実際にも高校の団体戦でよくあること。せりそうな人たちに指示する。 → 中盤以降、札あわせ。
・千早が(試合が終わった後)、たおれる気持ちが(クイーンには)よくわかる。{/netabare} {/netabare}
続いて、イベントでの瀬戸麻沙美さんのお話から、印象にとくに残ったところ {netabare}
・はじめて、かるた競技を実際に見たとき、場の空気が張り詰めていることに衝撃を受けた。
・クイーンが試合の場では(わるいいみでの)緊張はしない、と言ったのに対し、瀬戸さんは、仕事はじめたばかりの頃、先輩に、「緊張するのは、そこに向かうための努力ができってないから緊張するのだ」という厳しいアドバイスをもらった、とのこと。
・「ちはやふる」アフレコ時、団体戦の収録のときには、声優たちみんながつながっていると感じた。たとえば、勝ってみんなが抱き合うシーン、これは、実際にはできない(テレビ画面四つ、マイク四本しかなく、自分のセリフになったら立つ)けど、収録後に、「5人みんな、抱き合ってるようだった」という話をした。
・「新と太一、どっちが好きですか?」ときかれたとき、瀬戸さんが、しばらく迷ってから、「今の原作的に、いちばんふれたらダメなところ」「千早にとって、私にとって、新も太一も大事。本当に悩んでしまう。もうね、私(瀬戸さん)から(その質問の答えは)言わない方がいい。末次先生のみぞ知る」と言われたのは、いちばん、自分(れのん)の印象に残りました。原作は、ちょうど、そのあたりの微妙なところを、やってますねー^^{/netabare}
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
原作はまだ連載中ですが、自分(れのん)は、3期がもしあればいいなと待望中です。