退会済のユーザー さんの感想・評価

3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：途中で断念した

タイトルなし

物足りないのではなく、勿体ないと感じる作品。
グールであり、人でもある少年が、生き方を模索していく。
この大筋のプロットを、バトルメインの普通の少年漫画(雑誌は青年誌だけど)で描いていることが、勿体ない。

身体から飛び出るエネルギー状の何かとか、超常的な身体能力を持つ同士の高速戦闘とか、そういうの、要らない。
人間社会の中で、グールという種族に生まれた各々が、自分の生き方を模索していく。そして、その困難さや弊害といったものをそこそこに描いているのに、こういう、普通にバトルをやって普通に建造物ぶっ壊しまくったりしておきながら、人間社会側の反応がほとんど描写されず終いってのは「そうじゃないだろ」って思う。

グールと人に、生活上の違いはほとんど存在しない。あの月山でさえ、食に拘るという姿勢自体は人間と変わらない。
異常なのは、食い物が「人間」であるという一点だけ。そしてそのことを異常と感じるのは、人間だけなのだ。

ならば、人が人であると証明できるのは、倫理観だけなのだろうか。

人の倫理を持ちながらグールの本能を有する少年が、変化してしまった周囲の環境と崩壊してしまった自分の中の価値観を、一から模索し、構築していく。
そういう物語を、バトルらしいバトルなく(アクションに留めてくれればベスト)、人物同士の交流を通して、その変化をドラマとして描いていけたならば、本作を「傑作」と呼ぶことも、あっただろうなー……。

例えば月山。あの肉食パーティーで、主人公が危機に陥る、という展開にせず、なにも知らずに連れてこられて、ここで初めて月山のグルメへの拘りとかを知り、驚愕する、という展開でも全然問題ないと思うんだよ。
主人公を襲わせるのは、その後でもいいだろう。ここで安易に月山を「敵」にして欲しくはなかった。

尺の都合上、ストーリーが途中途中でブツ切りになってるところもあり、ストーリーは2話以降、自分の中では印象が右肩下がりとなっていった。錦のエピソードは良かったんだけど。


そして、個人的に主演の二人が、自分にはミスキャストのように感じる。
この二人、アルドノア・ゼロのキャラがハマり役だった。今回は、ちょっと微妙……。