「おおかみこどもの雨と雪(アニメ映画)」

総合得点
84.9
感想・評価
1824
棚に入れた
9949
ランキング
258
★★★★☆ 3.9 (1824)
物語
4.0
作画
4.2
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.9

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woa さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 2.0 作画 : 2.0 声優 : 2.0 音楽 : 2.0 キャラ : 2.0 状態:----

家族の距離感

片親において子育てや田園生活はそれほど楽ではないだとか隣人愛に溢れた寒村などあるわけがないだとかさまざまな批判はしようと思えば簡単に出来るが問題はそう単純じゃないと思う。自分的には雨だとか雪だとか抽象的な名前が最初とても気に入らなかったが、実際に硝子戸を立て直したり何かを直していく際に指でなぞらえる花の癖であるとか花のことを疎ましく思っているようにふるまいつつも自分の孫娘のように何かと気に掛ける老人との疑似家族めいたやり取り等具体的な例をもって来られると文明批判だとか神話のような例を挙げるのはどうかと思う。実際問題として「彼」が人間の文化に興味を持ちその中で生きていくことを決意したのも別に抽象的な思考によってというよりも様々な家庭を引っ越し作業を通じて観察した経験から得たのだろうし、花が逆に自然環境の中で生活したい思い立ったのも彼自身から彼の生活や生育環境について聞くことができないので自分の力で彼が影響を受けたであろうものを経験しそれをわが子と共有するためだったはずなのである。このような相互関係がわからず彼のもぐり学生っぷりや学があるのにそれを活かそうとしないシングルマザーを批判するのはとてもおこがましいことなのである。二人とも実際の経験を通じて一つの世界に達しそれに準じているのだからそれについてとやかく言うのは作中の相談員と同じで階級を無視した行為である。主人公や彼には頼りになる両親がいない、だからこそ自分たちはそういう家族でありたいと思うのは自然なことで、その過程で狼としての抑圧された本能が同じ家族であることを阻むのであるがその離反は同時に「おおかみこども」にとっては自立でもあると分かっているため母親はしっかり生きなさいという覚悟で送り出すしかない。
二人を学校と自然の双方に送り出した花が息子の遠吠えに耳を澄ましながらようやく女学生から母になった顔をしているのを見ると家族構成というのは物理的な距離ではなくもっと遺伝子レベルで継続した一つのプロセスなのだと分かる。このアニメを階級だとか現代の貧困だとか狼が絶滅させた自然開発だとかで語ってる人はフィクションというものを根本的にはき違えているのだろう。評価が低くなっているのは演出が焼き鳥のたれのようにあまりにもくどかったためである。

投稿 : 2014/11/17
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