lEFUg59761 さんの感想・評価

3.8
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

さりげない可愛さ

原作は一迅社から刊行されている４コマ作品。
典型的なラブコメディーと言えます。
しかし、制作陣の並々ならぬ愛情が、単なる4コマ作品を記憶に残る良作にしてくれました。
以下、項目ごとのレビューです。

■物語……3.0
本筋のストーリーは、残念ながらそこまで面白い物ではありません。
いきなり許嫁がやってきて、どたばたコメディを繰り広げるありがちな展開が続きます。
安定していて間違いがないとも言えますが、この作品の魅力はそこにはないでしょう。
ただ、原作は４コマ漫画でテンポやキャラデザインも多少違っているので、単純にアニメを考えて構成されていないだけだと思います。
全体的に柔らかなシナリオとなっており、そこに突然差し込まれるギャグ展開には爆笑こそしないものの、優しい笑いが自然とこぼれてきます。

■作画……5.0
とにかくこだわりが凄いです。
コップを取る、小走りで走る、躊躇いがちに見つめる……。
そんなありふれた仕草を、これでもかと可愛く描いてくれています。
単純な萌えアニメにはないリアルな魅力があり、ぐいぐいと視聴意欲が煽られます。
恐るべきは、視聴している際にはそれに気づけないと言う事。
改めて見返して初めて「このシーン、よく見たらめちゃくちゃ描いてるな……」と気づけ、それは全体的な作画が素晴らしく高いレベルでまとまっていることを証明しています。

■声優……4.0
演技という面では3.0、新人らしいフレッシュな演技が魅力ですが、逆に言えば少し粗が目立ってしまうのも確か。
ですが、声優さんそのものを評価するならば文句なしの5.0。
その理由ですが、主役級の３人を演じる声優さんが、スタッフや視聴者と非常に良好な関係を築けているところにあります。
アイドル化が激しいと言われている声優業界ですが、それが作品の魅力につながるのであればいい事である、というのが私個人の意見です。
キャラクターに負けず劣らずの個性的な声優さんたちですが、作品愛も並々ならぬものを感じ取れ、それが巡り巡ってアニメ本編にフィードバックされ、より魅力的な視聴環境になっていく。
そんな新時代のアニメスタイルを体現している作品です。

■音楽……3.0
一言で言うと、普通です。
多少珍しい音が使われていたりしますが、目新しいものはありませんでした。
使い方もギャグ4コマ作品にありがちなもので、隙間なくバックに流れていく音楽が少々気になったりもしました。
ですが、サウンドトラックはハイファイで、まさに作業用としてはうってつけの癒される曲が多めで良かったです。

■キャラ……4.0
実に個性的な面々が揃っていますが、中でも主人公の姉である紅緒は別格。
ギャグシーンは殆ど彼女が絡んでおり、期待を裏切らないぶっ飛び具合には思わずニヤリとしてしまいます。
また、前述した変態的ともいえる作画がキャラクターの魅力をこれでもかとブーストしており、ふとした瞬間に魅入られる事が良くありました。
デザインもシンメトリーを感じられる独特の魅力があり、さすが4コマ作品と思わせてくれるインパクトがあります。

本当の意味で日常系、作られていない可愛さや面白さを見たい方にはお勧めできる作品です。