photon さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態：観終わった
錯覚への哀惜
本作品を観終えて、まず渡辺京二の著書「逝きし世の面影」を思い出した。
文化を継承しているという錯覚は文明の滅亡を語ることよりも苦痛だというのが江戸と言う文明を対岸である近代から眺め、彼の感じたこと。
時間軸上行き来できない対岸を彩る装飾を今の文明によって再現することを継承ということには疑問が生じるし、千年以上を経たミームも形を変えず残っているとは言い難いと思う。けれども現文明による新たな装飾やそれを施す行為は対岸を想起させある種の情動を生み出す。それは懐古ではなく哀惜なのだとこの本を通じて知った。
本作品を観ている時にこの哀惜を感じずにはいられなかった。
恐らく面白さは他にあるのかも知れないけれど、そればかりが最後までつきまとった。
百人一首に興味をもつというよりも、それが今尚続く文化であるという錯覚の痛みに原作者はどんな風に耐えているんだろうという興味が大きい。ひょっとすると、文化などではなく全く別物のスポーツとして割り切って考えているのかも知れないけれど。
ストーリーそのものに新たな感動はないように思えたけれど、設定は割と面白いと思う。
