oorbN94185 さんの感想・評価
2.2
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:今観てる
なにがしたかったのか
「裁定」の必要性は最後まで疑問でした。あのガバガバすぎるシステムで人間を「裁定」すると言い張るのはあまりにも滑稽です。
連れてきた二人の人間を強制的にゲームに参加させ、心ゆくまで拷問し、先に耐え切れなくなった方を地獄に落とすというのはただの外道の所業のほかなりません。
趣味が悪いにもほどがありますね。
単純にこのアニメと同じメッセージを訴えるだけならばあのようなグロテスクな描写を入れる必要はなく、残念ながら、刺激の強さや恰好で視聴者を釣ろうとする制作の恣意的な意図が伺えます。
「裁定」を改善するのがこの話の目的なのはわかりますが、スタート地点の程度が低すぎて呆れてしまいます。
デキムはロクに頭を使わず、とりあえず二人を拷問して、悪く見える片方を虚無に落とす、という超適当なスタイルでした。
思考能力が備わってる癖にそれを全く生かしていません。
こんな適当な「裁定」をしている奴がデキムのほかにもゴロゴロいるんでしょうか。末恐ろしいですね。
はっきりいってこれは人の心も持つかどうか以前の問題です。
あと、赤い髪の奴なんか、感情がないとかほざいてる人形の分際でいつも切れて怒鳴ってうるさいし、
「裁定」の際は拷問をじっくり楽しんでいると、作中で喋っていました。
こいつはもはや語るまでも無く論外ですし、見ていてひたすら不愉快でありました。
これらを一通り見て感じたのはむしろ、
「世の中に悪い人間が蔓延っているのは、あの世に魂を裁定する場所など存在しないからだ」
という、皮肉的なメッセージくらいです。
それはさておき、キャラの評価に移っていきます。
・主人公
まず一番に言いたいのは、彼女の自殺の動機があまりにも幼稚すぎるという点。
物語の終盤、彼女の死後の仮の体の崩壊が徐々に始まる中、デキムと接することによって徐々に過去の記憶を取り戻して行きます。
スケート場でデキムのピアノの伴奏に合わせて踊りつつ、感傷に浸りながら人生を振り返る一連の流れは秀逸でした。
脚を怪我してスケートができなくなったことを思いだす所までは良いです。
しかし、問題はその先の記憶にあります。
「人と人は分かり合えないと絶望して、死んだ」
これ、正直意味がわかりません。
分かり合えない→自殺
というのは、一体どういう論理なのでしょう。
あの話を見た方なら、少なからず疑問に思った方もいるはずです。
当然人と人は完全にわかりあえるわけではありません。百歩譲って大学生になるまでそれに気づかなったのはいいとします。
しかし、例え人と人が分かり合えないとしても、人が人を思いやる心や、意を汲み取ろうとする姿勢は理解できるし、尊重されるべきです。
それらを無視して自分勝手に死なれてしまっては、同情の余地が全くないのです。
せっかく途中まではいい雰囲気だったのに、幼稚な動機のせいで主人公に全く共感できなくなり、完全に置いてきぼりにされました。
また、最後に主人公が死んだことを後悔して泣きわめくシーンがありましたが、自業自得としか言いようがなく、感動はできませんでした。
あのボタンを何度か押しかける描写も、主人公の性格を切に表しているように思えます。
・デキム
人間の感情が入ってるといわれている割に、一番人間らしくない裁定者だったような気がします。
もしかしたら、ビリヤード爺の目を欺くためにあえてそうしたのかもしれませんが。
人間らしい心を持つという兆候はほとんど見せず、最後の最後に主人公と一緒にちょっと泣いたくらいですね。
彼が何故あのタイミングでやっと心を開いたのかというのは些か疑問に思いましたが、恐らくは主人公と一緒に長く過ごしたせいで情が移り、泣きわめく姿を見て心を打たれたのだと思われます。
視聴者目線としては、あまり納得の行くタイミングではありませんでしたが。
・赤い髪の奴
人間の悪い部分だけを凝縮して詰め込んだようなキャラ。
感情が無いとか言われてる癖に毎回切れてばかりで見ていていやな感じでした。
クールな残酷キャラだったらまだ多少マシだったかもしれません。
デキムと違って最後までとんでもない外道野郎で、唯一の良心であるJKを虚無に放り込むなど、こいつの存在理由がいまいちよくわかりませんでした。
・水色っぽい女
気が強く、背は低いけどプライドは高そうな印象。
序盤で人間のことをわかったようなクチを聞きます。
わかってるんだったらもうちょっと出来のいい子を作ってほしかったです。