「TARI TARI(TVアニメ動画)」

総合得点
88.5
感想・評価
4473
棚に入れた
20678
ランキング
106
★★★★☆ 4.0 (4473)
物語
3.9
作画
4.1
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.0

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ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

細やかで良質な、懐かしい作品

2012年夏アニメ。全12話。
最近のアニメ見てないなー、日常系とかほのぼのとかほとんど見てないから評価高い作品あるかな?と思い、自分に合いそうなものを探して視聴したのが本作「TARI TARI」でございます。
評価に違わず、良質な作品でした。

私よりもっと深く理解して書かれたレビューがいくつもありますから、私が思ったことをいくつか。

音楽を楽しむということがテーマということで。
{netabare}
女子三人はとくに掘り下げられ、和奏は過去の後悔を払拭し、来夏は今でないと出来ないことに全力投球し、紗羽は希望の進路に邁進します。
子どもとしての最後の一年ともいえる高校三年に顕著な問題をそれぞれが背負っていて、掘り下げるキャラクターの順番も、ストーリー展開に合わせ良く考えられていたと思います。
特に和奏が音楽を楽しむのは悩みを消化してからになるので早めに解決する必要がありますが、お母さんとの「二人で歌を作る」という約束を後半に持って来て、教頭先生の態度を軟化させたり、白祭の出し物にしたりと、上手に見せ場を作ったと思います。

大智は自分のやるべきことも進む道も一本、進路もスムーズに決まりました。その一方でコンドルクインズの音楽に直感的に同調して、自分なりに音楽を楽しみ始めます。
ウィーンは他のメンバーにとって当たり前のことであっても、初めて体験することを何でも楽しみ、嘘やジョークも信じ込んでしまう。その素直さは音楽にも向けられ、彼も意外な熱心さを見せます。
男子二人は、音楽を積極的に楽しむ姿勢を常に見せてくれました。

1クールで丁寧に掘り下げられる人数としては5人はギリギリで、特に和奏に尺を割く必要があったということで、このようなバランスになったのでしょう。
大人や地元の人たちとの交流に絡めた話が多かったのも印象的です。

教員含めた親世代も、大人になりかけた難しい年齢の子ども達を、時に厳しく時に優しく、責任を自覚させつつフォローする姿がいいですね。

声優さんは、全体的にやさしい声と演技で、聞いていて心地よかったです。
特に教頭先生の田中敦子さん、厳しい演技と優しい演技の差に聞きほれてしまいました。

序盤で教頭先生が合唱部の設立申込書を丸めて捨てるシーンがありますが、最終話では逆に、理事長に捨てられた白祭のチラシを拾ってあげてるのが良いですね。
彼女が合唱部を声楽部にしたのは、真剣に音楽に向き合うしかないからではないでしょうか。かつて音楽を楽しめていた合唱部を、自分ひとりの手で取り戻す事はできないから、音楽に真摯に取り組むしかない。
才能の塊のようなまひるへの羨望、嫉妬、でも捨てられないまひるへの友情、歌への愛情。過去には心が通じ合った瞬間があるのにまひるはもうおらず、今は音楽から愛されているとも感じられない。どんなに頑張ってもまひると作り上げた以上のものは生み出せず、自分が音楽に愛されていると感じたのはまひるがいたからだと頑なに思い込んでいる。
そういった心理が声楽部への名称の変更に隠れています。
私が社会人だからでしょうか、一番共感したのは教頭先生でした。

卒業後、音楽の道に進んだのは和奏のみです。(来夏はわからないけど)
でも、高校3年生が進路に関係ないことはしちゃいけない、なんてことはないわけで。
その一年にしかできないことに本気で取り組み、いろんな人と影響しあい、廃校という外的要因があったにせよ、在校生、卒業生、地域の人々、教員といった全ての学校関係者を巻き込んで行く流れはとても良かったです。
{/netabare}

言葉で語りすぎず、演出を大切にしながら共感できるキャラクター描写をし、それを反映してストーリーが展開していくのは見ていて気持ちが良いですね。

本作は良くも悪くも尖ったところがありません。
でも恋愛要素がほとんどなく、エロや萌えを押し出さず、堅実にキャラクターの成長を描く本作のようなアニメ作品、今は他にはあるのでしょうか。

最近のアニメの傾向に疎くてよくわからないのですが、子どもや青少年の努力が報われる、あるいは挫折しても未来に希望を見出すタイプのアニメって、私の子ども時代に比べて確かに少ない気がしていました(恋愛ものは多いのですけど)。
ロボットものやバトルものだと青少年の成長物語の側面を持った作品は多いですが、自分の意思で行動して成長するというより、外的要因に翻弄されて大人にならざるを得ないような展開が多いと思います。

たとえうまくいかなくてもどこかに他のルートを探すことができる、困難な道でも諦めることはない、というメッセージを内包している所がこの作品の一番の魅力だと思います。
これまでこういったタイプのアニメが少なくなっていたなら、新鮮に感じる人や勇気付けられる人は多いかも知れません。

合唱は日本の学校では必ず(好きでも嫌いでも)通る道ですね。
一般的に高校を卒業すると、合唱には本当に縁遠くなります…私自身もご多分に漏れず。
仲の良い子も悪い子も団結して一つのものを作り上げる感じ、一種のノスタルジーとでも言うのか、すごく懐かしく感じました。



以下雑感

美術、背景の美しさは折り紙付き。
この環境で育った子は良い子になるだろうな~なんて思いますw
{netabare}
ちょっと大智!なんで隠し撮りのほうあげた!?
他の男にあげたくないかわいい写真だってのはわかるけど、女の子は無防備な姿を見られるほうがイヤなんだよ!
紗和はわざと誰に見られても良い写真を撮らせてるんだからさあ…
あと、最終回の空港での告白と思われるシーンですが、紗和のお父さんがいるのにずいぶん思い切りましたねw

ヤンは、もしかして体が弱いんですかね?ひざ掛けを使い、いつも室内で遊んでいましたね。
それともあくまでおとなしい少年という描写でしょうか?
ウィーンは彼に対してガンバレッドのようにヒーローでいたいのですよね。
どこか背伸びしているというか、意外と合唱部の仲間に対しても素顔を見せきれていないように感じられる時もありましたが、ショウテンジャーのエピは彼の情熱が十二分に感じられました。第十話で置き引きを追いかけて全力疾走するウィーンはカッコ良かったですね。
エピローグでヤンと再会できたようで何より。
それからね、ウィーン。
コスチューム姿で移動とかしちゃダメ!ヒーローは正体を明かしてはならない!!w
{/netabare}

あと、動物がかわいかった!
特に猫がかわいすぎるw
ドラ、結構大人の猫でしょうwスローで寝てばっかでもっちもちw
和奏のケータイ待ちうけがドラの後姿…スタッフさんわかってますねw(2015.7)

投稿 : 2018/11/22
閲覧 : 522
サンキュー:

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