「灼眼のシャナ(TVアニメ動画)」

総合得点
86.5
感想・評価
3030
棚に入れた
17477
ランキング
192
★★★★☆ 3.8 (3030)
物語
3.8
作画
3.7
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

釘宮ツンデレ、ラノベ中二バトル&ラブコメ…の枠を超えた不朽の名作

ライトノベル原作で中二病的な世界観で繰り広げられる異能バトル&ラブコメ、ツンデレヒロイン…といったタイプの、初期の代表格です。
釘宮理恵さん演じるツンデレヒロイン・シャナの可愛さは必見。
…だけではなく、独特で中二的な不思議世界観でありながら分かり易い設定、バトルとラブコメが交錯していくキャラドラマやストーリーも素晴らしい。
本作以降に量産されていく、後続のラノベ原作諸作品とは一線を画する、不朽の名作です。

シャナは「ツンデレ」というより「無垢・不器用」系ですね。
使命の為だけに育てられた戦闘美少女が、普通の(普通でもないけど)少年との交流で、女の子らしく成長していく過程に注目。
それを言葉で当てはめると「ツンデレ」となるのでしょう。
…とにかく。もし「本作未見かつこのジャンルを軽視している」方は、まず本作を試して欲しいです。
…本作は1期、続編の2期3期もあります。

{netabare}『物語』
開幕第一話からいきなり非日常の中二病的世界観が炸裂、ノンストップで物語が始まり、一気に引き込まれる。
本作が凄いのは、一見ややこしそうな中二異能世界観だが、意外に分かり易い事。
後続のこのジャンルの諸作品に比べて、スッと世界観に入っていけました。
何故だろう…?
シャナの解説が丁寧…だがくどくは無いし、初回から巻き込まれつつ無駄な展開が無く、一場面ごとに世界観に引きずり込まれる…。

…この作品世界が、他人事には思えないのも、世界観に惹かれる理由かも。
だって、もしかしたら知らないだけで、自分や自分の周囲も封絶されたりトーチにされたりしてるかも!?
とか、思ってしまったり。
そう思わされる理由の一つが「主人公組だけでなく、他の友達(一般人)も関わっていく絶妙な関係性」故かも。
ミステスという特別な存在である主人公・ 悠二はともかくとして、完全に一般人である佐藤啓作や田中栄太も、悠二と同時並行でストーリーに関わっていく為、「この物語は一部の特殊な存在だけのモノではないんだな」という印象を受けました。

バトル面では戦闘パートもさることながら、交戦に至るまでの過程に色々な陰謀や駆け引きや索敵、推理があったり、戦術だけでなく戦略的な面白さもあり。
能力的には一般人に過ぎない啓作や栄太も後方支援で活躍するのが好きです。

…やっぱり一番の見所はシャナと悠二がバトルを通じて互いにふれ合い、戸惑ったりすれ違ったりつながら、互いに成長していく恋愛劇にあり。
特にシャナの成長全般が、見ていてとても可愛いです。
「フレイムヘイズの使命果たす」為だけに生き、純粋培養された完璧な戦闘美少女が、次第に悠二の気持ちに触れたり、自分では制御できない感情に戸惑い…
「うるさい!うるさい!うるさい!」はツンデレというより、戸惑いですね。
シャナの心を乱す恋愛劇(恋のライバル吉田一美とのせめぎ合い)でラブコメが盛り上がりつつ、それがバトルシリアスパートにも影響したり、逆だったり、そのどちらもキャラドラマや恋愛劇に直結していて絶妙に同時進行していく為、終始物語に引き込まれました。

無垢で幼い少女シャナを導いてくれた、 悠二の母・千草の存在も大きかった。
父親代わりのアラストールとの「保護者対談」で、シャナがいかに愛されているかが伝わって良かったです。
戦闘機械としてではなく、一人の人間として、一人の恋する女の子として…
吉田一美とのいきさつも含め、最終的にシャナがしっかりと結論を出していく過程が、一話たりとも無駄な話が無かったです。

中盤の過去編で、しっかりと世界観やシャナの生い立ちが分かる。
ヴィルヘルミナとの関係は今後深く関わってくる他、シャナのバックボーンが現在のシャナにとっての意味が、とても大事だと思った。
…シャナちゃん、メロンパン好きなのはそういう理由あったんですねぇ。
メロンパン美味しそうに頬張るシャナめっちゃ可愛い♪


本作の見所はシャナや悠二だけでなく一美や佐藤や田中、マージョリーも含めての交流や成長にあり。
ストーリーが重層的なのが魅力、一美やマージョリー組のドラマも目が離せません。

思うに本作のテーマの一つは「愛は、自分自身を知りつつ、相手を知る。そして『対等』な信頼や絆が大事」なのでは?と思ったです。
理由は、敵側のカップルの在り様と、主人公側との対比から。
敵側のフリアグネ&マリアンヌ
ソラト&ティリエル兄妹
シュドナイ&ヘカテー
彼らの愛や絆も中々深く、敵ながら見事です。特にマリアンヌちゃんの献身は萌えます(人形ヒロイン好き)♪
戸惑ったり気持ちがすれ違うシャナ&悠二の未熟な恋心に比べてよっぽど完成されていて美しい。
けれど…どこか歪です。
敵側三組に共通しているのは「過度な共依存」
それでは、あんまり健全な関係とは言えぬ。
シャナは不完全で「うるさい!うるさい!うるさい!」と混乱しつつも最後は自分の意志で、自分自身の想いを伝え、それは紆余曲折を得てお互い
対等に存在を認め合った結果。
本作は全編に渡り「シャナ(と悠二)が、アイディンティティーを確立していく物語」でした。

「私は悠二が好き」

紆余曲折を経たラストの、万感を込めた告白に胸打たれます。
…改めて、百凡の量産型ツンデレラブコメとは一線を画す名作だと思ったです。
世界観もバトルもラブコメも一切隙が無い!
最終回は、割と本気で泣けました…
(初見視聴の頃より、年取って涙脆くなってる)w

本作は2期3期と続いていくので、2期以降も見逃せません!


『作画』
2005年度のアニメだが、決して色褪せてはいないと思う。
シャナの可愛さは釘宮さんの好演だけでなく、作画的な綺麗さも大きいはず。
黒髪も可愛い、炎髪モードも美しい。
炎で輝くシャナの作画は、今見ても十分に美少女で綺麗だと思った。
コロコロ変わる表情も魅力あり、メロンパン美味しそうに食べたり、可愛い。

異能バトル面でもヌルヌルと動くタイプでは無いが、十分以上に世界観を表現。
バトルの緊迫感は色褪せていない。多分、演出が優れている。
大掛かりな儀式でとんでも無い事が起こっている感ハンパ無い。
…4.5点か迷うところ。
現代基準だと古い面もあり、しかし当時としてはかなり良かった。

『声優』
ツンデレの女王、釘宮理恵さんのツンデレヒロインの元祖にして今なお代表格の一人。
ツンデレ、というよりも無垢故にイラついてしまうシャナの魅力の大部分、釘宮さんの好演によるもの。
故に釘宮理恵さんを持って5点以外にあり得ない。

川澄綾子さんの大人しめなキャラも絶品、個人的には実は川澄さんの方が好き♪
伊藤静さんは「ハヤテのごとく」だとヒナギクとナギお嬢様だった。

櫻井智さんの懐の深い母親役も非常に大事でした。
マージョリーの生天目仁美さんの好演も良い。
江原正士さん、岩田光央さんの渋い&ワイルドさも素晴らしい。
マッドサイエンティストな教授の飛田さんもナイス♪

『音楽』
前半OP「緋色の空」が一番好きです。
その他もシャナや悠二の心情を的確に突いていたり、テーマソングとして申し分なし。
やはり名作は音楽面でも良いです。

『キャラ』
炎髪灼眼(何故か単語登録してないのに一発変換出来た)のシャナ可愛い!
巷では「ツンデレ」の代表選手なイメージですか…
実は純粋培養なエリート戦士、無知で無垢故の戸惑いが結果的に「ツンデレ」という態度に表れているのですな。
かわいい。とにかく可愛い!
強く、可愛く、脆さもあったり、次第に恋を知っていく過程、全てが可愛すぎる。
「メロンパン」が好きなのも萌え要素ですが、ちゃんとした理由があり増々愛おしく思える。
フレイムヘイズの悲しき使命と芽生えていく恋に戸惑いつつ、時に「うるさい!うるさい!うるさい!」とツン、デレた時の破壊力は凄まじいです。
…未だにラノベヒロインという括りではトップクラスの名ヒロインです♪

悠二は自分の正体知っても自己を保てる強さと、やはり年相応の未熟さ故のシャナとのすれ違いが印象的主人公。
確かにイライラする部分もあるけれど…まあ仕方が無い、若いんだもの。
シャナ程では無いが彼も不器用系であり、二人が共に成長していくのが良いのです。

シャナ一人だけでも十分ですが、他キャラクターの層も厚い。
本作の魅力はキャラクタードラマが重層的で、主要キャラに不要な捨てキャラが一人も居ない事。
マージョリー一味も、一般人でもちゃんと悠二にヒケを取らない物語への関わりがあったり、吉田さんも奥ゆかしい可愛さ…からの恋の手強いライバルだったり。
友人の池にもドラマがあったり、本当にキャラ一人一人が大事にされているのが好感持てる。
…後、どうでも良いかもですが。
坂井、平井、吉田、田中、佐藤…主要キャラ名が平凡なのも特徴かも。
とかく中二的な名前多いラノベにおいて、あえて一般的な名前なのが何気に好感持てます。
名前は平凡でも、存在感は大きいです。

悠二の母・坂井千草がとても大切な役割を果たした。まさにシャナにとって、もう一人の母親ですね。
とても偉大な女性でした。

父代わりのアラストールや姉代わりのヴィルヘルミナも、形は違えどシャナを愛している事が伝わってくる。
千草も含め「若者主役の作品で大人が存在感ある作品は良作」という経験則通りです。

敵側も個性的かつ、単純に憎らしい悪と言うより、各々に目的や願いがあるのが良かった。
例え歪んだ関係でも、当人たちにとっては切実でしょうし。
なので敵にも一定の感情移入できるのが良かったです。
いや、教授はちょっと…w{/netabare}

投稿 : 2015/09/08
閲覧 : 316
サンキュー:

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