「心が叫びたがってるんだ。(アニメ映画)」

総合得点
78.3
感想・評価
1198
棚に入れた
6265
ランキング
552
★★★★☆ 4.0 (1198)
物語
3.9
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

一言 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

1クールアニメなら良かったかもしれない

一言で言うと、まあまあ良い映画、でした。


良く言えば、メッセージ性のある青春もの。
悪く言えば、フィーリングで感動を誘う映画。


{netabare}
けど多々描写不足なところもあったなあ。
特に坂上の中学時代。「色々あって」で片づけられてて、いまいち仁藤となぜそこまでこじれたのかが分かりづらかった。
中学時代、坂上には「色々あって」話しづらい雰囲気…だったのかな?ハブられていた…?この辺は推測だけども。
だから、付き合ってるのかと聞かれたとき、それを否定してしまって、そのままなあなあになっている。けれど仁藤自身は今でも坂上と付き合っているつもりでいる……。うーん…なんだかなあ…。
まあでも、その辺をはっきりさせること、言葉にすることが、彼女の「伝えたいこと」なんでしょうね。

けれど、坂上の中学時代の描写(仁藤との過去の絡み)もない上に、坂上自身が成瀬に対して良い人すぎたので、坂上が今でも仁藤に好意を持っているということに驚いた。成瀬に優しくするからてっきり成瀬のことが好きなのかと。「そうだったの!?」って感じでちょっと頭が追い付かないところはありました。
それにこんな良い人じゃ、成瀬が勘違いするのも無理ないなあと…。
坂上の「伝えたいこと」は仁藤への気持ち、だったんですねえ。

こうしてみると恋愛に重きを置いたんだな、という印象。
けれど、冒頭シーンも親から始まるわけだし、そもそも成瀬の声が出なくなった原因は親との関係にあるわけですから、親にもう少し焦点を置いてもよかったんじゃないかなあ……。あれじゃ親との関係が解決したのか分かりづらいじゃない。お母さん冷たそうだったからねえ…。
娘が無口になったのは元夫のせいとは想像できなくても、少なくとも「離婚」のせいだと容易に想像がつくくせにあの態度なんだもの。まあ一人で育てているのだから無理もない…のだけれど、そういう点も含めて、成瀬親子が和解したのか、もう少し描いてほしかったなあ。

まあ青春ものだから、恋愛に重きを置くのもしょうがないんだけどね。
でもそれなら最初から、「離婚」とか「親」を過去のトラウマの題材にせず、「同世代の友人関係のいざこざ」を成瀬の声の出ない原因のトラウマにすべきだったんじゃないのかなあ…。本当に個人的すぎる意見だけども。
だって冒頭からいきなりラブホとか……ちょっと…ねえ、うん。

恋愛関係と言えば、ラストで田崎がいきなり成瀬に告白するのを批判している方が多いようだけど、個人的にここは好印象。
まあ仁藤を好きだって言ってたのに今度は成瀬とかチャラいな!いきなりすぎだろ!って思うかもしれないけど…成瀬が「伝えたいこと(坂上への告白)」を言えたとはいえ、振られたままじゃかわいそうじゃない。
それに、田崎と二人きりで話すシーンもあったし、そこで顔赤らめてた描写もあったから、まあいいんじゃないかな、と個人的には思う。
最初の雰囲気だと、坂上×成瀬、田崎×仁藤のCPかと思っていたけれど、綺麗にひっくり返してくれて、逆に潔いというか。
これもこれでありじゃないかな、と自分は思えましたね。

ラストが坂上と結ばれるご都合主義のハッピーエンドでないところは評価したい。あくまで成瀬は坂上に気持ちを伝えたうえでふられたというのがミソですよね。

まあでももう一つ言うなら、失恋しただけで、それまで頑張ってやってきたミュージカルを放り投げてしまうのは……どうなんだろうか。
成瀬の中では、王子=坂上だったから、その坂上に振られてしまえば、自分はもう…って感じだったのかな、うーん…。でもそれでどうしてミュージカルを放棄する必要がある…?
例えば、坂上に思いを伝えて、それで振られたのなら「本当のことを言っても困らせるだけなんだ…自分は喋らない方がいいんだ…」⇒からの逃避、ならまだわかるんだけれども。別に坂上に面と向かって振られたわけじゃないんだし…ねえ。


全体として、総合的に見ると良い作品だし、起承転結もしっかりしていて良かったんだけれど、期待が大きかっただけに少し辛口な評価になってしまいました。
もっと期待せずにいたらもう少し高評価だったかな…。
『あの花』スタッフが贈る感動青春群像劇!という宣伝文と、心が叫びたがってるんだ。というタイトルに持っていかれ過ぎた感じ。

でも最後は良かったかな。曲もすごく良かったし、演出もよかったし。
主人公が歌いながら入ってくるところはカタルシスを感じました。
まあでもこれ、1クールのアニメだったらかなり良作になったんではないかなあ…。
坂上の過去とか仁藤の心理描写とか詳しく描いて、成瀬の親子関係もしっかり描けていたら、クライマックスでもっと感動できたかも。
でもそれを言ったら、映画もくそもないですからね。アニメ映画なりにとてもよく作られていると思います。全体的には良かったですよ、とても。

演出も良かったし、美術背景も綺麗で、音楽もよかった。スタッフは頑張ってくれたと思います。
キャストの皆さんも合っていたと思います。個人的には細谷さんの演技がとても良かった。
最後の某アイドルの主題歌は批判されてますが、自分はそこまで嫌とは思わなかったなあ。まあ曲云々なしに、某アイドルが歌ってるから嫌だとただ単に嫌っている人がほとんどかと思いますが。
青春ものだし、あれくらい爽やかなのが良いよね。でも某アイドルが歌うとなーんかありきたりな、安っぽい感じが出てしまうというか……映画の最後を盛り上げるために締めくくる歌としては、まあ……微妙かもですね。批判までとはいきませんが、特別良かったなとも感じなかった。曲調は結構よかったけれどね。でもまあ、あえてこの曲を選んだ意味はちょっとわからないですね。
中の人が歌っていたら、きっとどんな合ってない主題歌でもオタクはまず批判しなかったでしょうに…。
{/netabare}

最後に。
前述したように、期待が高すぎたせいもあって辛口評価になりました。100点中、70点くらい、です。
しかし、見て損をしたとは思わない。
でも映画館なら1回見ればいいかな、1000円の日に見れて良かったな、という感じ。
地上波で放送してたら見るだろうけど、わざわざBlu-rayは買わないですかね(自分は本当に気に入った作品以外はめったに買わないので、聞き流してください~)。

でも、リアリティを残しつつアニメ特有の要素もあり、青春ものとして綺麗に描いているなあと感じた映画でした。

投稿 : 2015/10/15
閲覧 : 268
サンキュー:

8

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