明日は明日の風 さんの感想・評価

4.3
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

恋物語でありながら、深いところの問題まで突っ込んでくる作品

とにかく絵が綺麗。物語と相まって、その綺麗さが際立つ作品でした。PAの作りこみのすごさが良く分かります。

この作品は恋愛の話が中心です。{netabare}光、まなか、ちさき、要、紡。後半には美海とさゆも加わって、それぞれの恋愛模様を視聴者が心情を読み解くように作られています。見た人がそれぞれの感想を持てるような微妙な心理描写がとてもうまいです。また、海神様とおじょしさまの物語もなくてはならないものでした。{/netabare}
まなかと紡の出逢いのシーンはずるいです。{netabare}紡が引き上げた網にまなかが引っかかってしまうシーン。{/netabare}あんな出逢い方したら普通のアニメはその二人を軸にしていくと思うでしょう…いい意味で裏切られました。あとは後半の美海でしょうか。{netabare}光と出会ったころは小学生で、ほぼ初恋の彼が、同じ歳になって再び出会う。初恋は恋愛に変わっていくのに光は恋愛対象としてではなく、自分を見ている。そして、光はぶれずにまなかに向かっていく。{/netabare}結局、美海の恋は成就しません。切ないけれど、それで美海が成長していくように作ったのだと思って見てました。最後はすっかり大人になってた感じを受けましたし。

こんな恋の話だけかと思いきや、恋愛だけを取り上げているわけではありません。違う価値観をもった人々の交流だったり、地域間の問題だったりと、けっこう深いです。世界に広がっているような問題を「海の世界と人々」と「陸の世界と人々」に置き換え問題提起している感じを受けました。それぞれ抱えた事情を互いがどう理解し、どのように付き合っていくのか、考えるような場面がいくつもあります。それを難しく見せないところがこの作品の良いところではないかと思います。

画面が美しく、人の心を考える、入り込んだら最後まで見てしまう作品です。青春ものを見たい人、心情を読み解くような物語が好きな人にはお勧めな良作です。

【AT-X初放送で再視聴の感想】(H29)
せっかくの機会なので、１話ずつ感想書こうかと思います。いろいろ思い出したり、再発見したりできるかもしれません。
１話…{netabare}OPが本当に綺麗。PAの描く風景は見る者を引き付けます。OPの曲は個人的に一期の方が圧倒的に好きです。でも…作った川田まみも、歌ったRayも、表舞台から姿消すんですよね…。
やっぱり冒頭の紡がまなかを網で引き上げてしまうシーン、ずるいです。１話時点では光とまなかの組み合わせは、光の一方的な思いで終わるものだと思ってしまいます。でも、よく見ていくと、ラストの方で重要な伏線張ってあったんですね。紡には恥ずかしくないけど、光には恥ずかしい…。なるほどね、岡田マリーが書きそうな流れです。あと、岡田マリーっぽいと言えば、結局、誰と誰が最後にくっつくのか、曖昧にしてしまうところでしょうか。そこがもどかしくてついつい見てしまう要因かも。自分なんか、圧倒的にハマるタイプです(苦笑){/netabare}

２話…{netabare}光がうざい。こんなにうざかったっけ?というくらい、最初の頃は光が要らない子でした。この物語は光の成長物語でもあるんですよね。
まなかの立ち位置もよく分からない印象でしたね。どこをどう見ても紡に気があるようにしか見えません。これがどう逆転するのか見ものなのですが、実は最初から一筋になっていたなんて、さすがにこの回では図りかねます。
後半に軸となる美海と光の絡み、要とさゆの出会いがあり、紡が実は…だったという伏線みたいなものがこの回にあったんですね。{/netabare}

３話から５話…{netabare}この辺り、序盤のヤマと後半の伏線を張っていたところです。
海の生徒と陸の生徒と和解、海と陸の掟、あかりの恋、美海の気持ち、ひかりふとまなかとちさきの心の三角模様、ずいぶん濃く詰まれています。どの話も気持ちを入れてしまうくらいの面白さです。が、詰めすぎて一回では見逃してしまうところもあったなという感じはあります。この辺りだと、ちさきの光への気持ちの強さ、けっこう見逃していたように思います。それと、美海が放った言葉の重さもそうです。「好きにならなければつらくならない」これ、後期まで繋がっていくし、美海がこの言葉からいかに解放されていったのかが分かる、重い言葉だったんだなと思いました。
それから、紡がちさきをいつ好きになっていたのか、ずっとチェックしているのですが、いまだに出ていないような…。あるいは５話でちさきを待っていたような描写がそうなのか?{/netabare}