101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは
六歌仙、三十六歌仙の一人、在原業平朝臣による秋の歌である。
竜田川に降り積もったもみじが真っ赤に燃えている。
神代の時代にも見たことがないような絶景。
それを見事に歌った一首である。
……が、業平を知る当時の上流階級の人々は、
これがただの季節の歌などではないことを誰もが知っている。
業平は『伊勢物語』に登場する主人公モデルと囁かれるほど、有名なプレイボーイ。
この歌もまた、天皇家に嫁いで遠ざけられてしまった想い人に、
近衛府役人として遠い所から見守る傍ら、
后となった想い人の屋敷にて、紅葉で埋まった竜田川を描いた屏風を眺め、
かつての燃え上がるような二人の日々を想い歌った、恋の歌でもあるのだ。
本作は、マイナーな競技かるたに対し、
個性的なキャラクターたちの異なる視点をぶつけていくことで、
かるたの様々な魅力を視聴者に伝えつつ物語に引き込んでいく……。
構成が大変巧みな逸品ですが、
それは、主人公千早の札である、この歌についても同様。
最初は {netabare}かるた初心者の千早が初めて取れた札、
詠み出す前から何故か予感できる札として、
主人公の感の良さ、かるたを好きになる過程を鮮やかに描写。
その内に、歌の内容を重視するキャラの視点から、
札を色分けで感じる風情で、歌に関する歴史も伝えつつ、次の段階に進む。
そして、やがて歌に秘められた恋物語の始まりを予感させ、
視聴者をさらにストーリーに引き込んでいく……。{/netabare}
いちいち上手すぎる“試合運び”でかるたを語り尽くされたら、
百人一首を一つも覚えていない素人でも、
きっとかるたに夢中にならざるを得ないと思います。
{netabare}鳥人間コンテスト{/netabare}なんて見てる場合じゃありませんw
千早がこの歌の札を畳からぶっこ抜く度に、
この“世界一のかるたアニメ”に引き込まれたら、
もうこの札はちはやの札にしか見えんよ。
参考文献『学研まんがシリーズ まんが百人一首事典』
『「ちはやふる」公式和歌ガイドブック ちはやと覚える百人一首』