「僕だけがいない街(TVアニメ動画)」

総合得点
91.6
感想・評価
3355
棚に入れた
15476
ランキング
29
★★★★☆ 4.0 (3355)
物語
4.2
作画
4.0
声優
3.8
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

愛梨の不遇さ。

アニメーション制作:A-1 Pictures
2016年1月 - 2016年3月に放映された全12話のTVアニメ。

時代は平成18年の夏。主人公・藤沼悟(29)は売れないプロ漫画家。
編集者から作家としての欠陥を指摘され雑誌掲載の見込みがない有様であり、
本業では食べて行けず宅配ピザ屋のアルバイト収入で食いつないでる日々。

アニメでの主人公の第一印象。声がぼそぼそしてて暗すぎる!
舞台俳優が演じてるの?
それにしても、滑舌が悪すぎやしないかなあ?
そんなわけで1話切りしたわけですよ。

んで、その後に漫画喫茶で原作の1~7巻を読んだら凄く面白かったわけです!
それで、アニメ版も最終回まで観てみました。

主人公の悟は、過去に遡る特殊能力「リバイバル(再上映)」を持っています。
どういう原理で発生するのかは不明ですが、
発動条件が身の回りで事件や事故が起こると、
自分の意思とは無関係に数分前にタイムスリップしてしまい、
悟が原因を突き止めて対処するまで延々と繰り返されるもの。

さて、北海道から上京してきた悟の母親・佐知子が物語の序盤で何者かに殺害されてしまい、
悟は、真犯人によって母殺しの濡れ衣を着せられてしまいます。

母親が殺害された動機が、
悟の子供時代に故郷の北海道で起きた小学生連続誘拐殺人事件の犯人が今回の事件と同一人物であり、
過去に全て手がかりがあり、母親が事件の真相にたどり着いてしまったことの口封じ。

そして警察に追い詰められた悟にリバイバルが発動。
悟は、29歳→11歳と18年前の昭和63年2月に巻き戻ってしまいます。
悟は母を救うため、運命を変えるために正体不明の殺人鬼の犯行を防ぐべく、
手始めに事件の被害者の一人で同級生でもあった少女・雛月加代を護るために頑張るわけです。

さて、感想ですね。

悟(大人時)以外の声優の人選は、雛月加代役の悠木碧を筆頭に総じて良かったと思います。

物語の印象として推理モノとしては若干弱く、
子供時代のノスタルジーに浸りつつ、
母と子の触れ合いとか子供同士の友情とか雛月の可愛さを楽しんだりするのが良いのかなあと?

原作の全8巻(最終巻は5月に発売)の4巻までをアニメの9話前半まで使ってじっくりと描いた反面、
後半の展開を大幅にカット&改変しながら12話で完結とアンバランスな構成。

なんでこんなことになったかというと監督さんが雛月をヒロインに子供時代を描きたかったようです。
男の子が女の子を守るというお話は見栄えしますし、共感を得られやすいのは間違いないですし。
おかげで雛月が最高に可愛かったですし、泣けましたよ。
雛月が温かい朝食に涙するシーンとか私も貰い泣きしましたし。

でも…他のことに費やす尺が無くなって作品としては、いろいろと犠牲になった感じ。

アニメでは真犯人の生い立ちと殺人性癖を育み悪の華を咲かせるまでの下り、
そして罪を重ねてきた人生という回想が殆どバッサリと無くなっています。
おかげで、原作にある真犯人の狂気成分が物凄く薄まっているのですよね。
原作での真犯人はアニメで見るよりも狡猾で歪んでいて、
ジョジョ4部でいうところの吉良吉影みたいな立ち位置でした。
ここを雛月の半分でも丁寧にアニメで再現していれば!と残念でなりません。

サイコパスなシリアルキラーと決着をつけたという原作終盤展開が、
アニメの独自性を持った結果、オリジナルのヒューマンドラマチックな結末に変わっています。

悟の親友で協力者の小林賢也。
彼の持つ正義感の根っ子にある部分(真犯人が関与)もアニメではカットされてますし端折り過ぎです。

ヒロインとしてフィーチャーされた雛月ですら、一部のストーリーがオミットされていますね。

何よりもアニメ改変の最大の被害者は片桐愛梨。
実は、悟にとって大切な女性は雛月ではなく愛梨。
愛梨こそが悟の心の灯であり道標といえる存在なのですが後半の大幅短縮の煽りを受けて、
リバイバル後の世界での愛梨との出会いと名シーンが最終話を除いて全部カットされたという。
ううむ、これは原作既読者から批判が出るわけですね。
第1話からして原作序盤にある愛梨の活躍が削除されたりして不遇な扱いだったですけどね。

このアニメは原作をベースに丁寧に味付けすれば情緒たっぷりな素晴らしい内容になる一方で、
そもそも監督が雛月以外をじっくりやる気が最初から無かった気もしますが、
原作の良さを表現するには12話では全然足りなかった気がします。

ただ、原作を全く読まずにアニメだけ観る分には問題が無く楽しめる作品だと思いました。
原作と比較さえしなければアニメオリジナルの最終回も、
原作に沿ったエンディングが感動的であり悪くなかったですし。

もっとも私の認識なんて、
アニメ改変で一番良かったと思ってる部分が、
元の歴史では被害者であり護る対象の一人である中西彩が、
原作とは別人みたいに可愛くなってたことだとか、この程度ですけどねw


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2016/04/14
閲覧 : 439
サンキュー:

76

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