退会済のユーザー さんの感想・評価

4.5
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態：観終わった

世にも奇妙な物語。視聴者はハルヒの意志でアニメをみているのか？　自分の意志でみているのか？

「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。
　この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、
　あたしのところに来なさい。以上。」

有名なハルヒの自己紹介から物語がはじまります。
タイトルにある通り退屈な日常にハルヒは憂鬱しているわけですが
この物語の世界は創造主がハルヒであって
メインキャラ達はハルヒによって生み出された人間という事になります。
宇宙人、未来人、超能力者の3人がそうです。
異世界人はハルヒの世界で生まれたとしたら異世界人とは言えません
別世界から来た人間でなければなりませんから


ハルヒは自分の存在を普通の高校生として認識していますが
その設定すらも自分でつくったのでしょう。。
創造主である記憶は全くなく、完全な普通の少女になりきっています。

しかし、ハルヒが無自覚で望んだことが世界に影響を与えることは
間違いないようでその監視、ケア役として
宇宙人、未来人、超能力者が動きまわるわけですね。


異世界人はどこで何をしているのでしょう？原作は書籍、
アニメなら画面の外が異世界ということになります。
異世界人とは視聴者のことです。
彼女の自己紹介シーンによって視聴者はヘルヒ世界へ呼び込まれており
視聴者のハルヒ世界での姿がキョンということになります。
なぜなら、彼はハルヒの影響をうけず物語の語り部を担当するのが
キョンだからです。


劇中のキョンのハルヒに対する行動、
ハルヒへの想いは視聴者の代行というカラクリですね。
この設定の斬新さは類を見ませんよね。。


ハルヒの観ている日常世界は平凡で憂鬱
キョンを介して視聴者がみる世界は非日常でいっぱいです
この奇妙な構図が涼宮ハルヒの憂鬱の面白さであり
名作とされる所以でしょうか。。


06年放送の初回は「ミクルの冒険」というハルヒ監督の元で
映画製作をする内容になっています。

映画撮影の為に登場人物はハルヒにいわれた役柄を演じるわけですが
映画という『ハルヒが作ったセカイ』を観るハルヒ
出来栄えに喜ぶハルヒを観る『視聴者のセカイ』
キョンが視聴者であり、ハルヒが創作者である構図を
初回で示すことで物語のカラクリを明かしているわけです。

なんとも奇妙で不思議な物語ですね。。
ハルヒが萌えるキャラを集めると宣言したとおり
みくる、長門と萌えキャラもしっかり存在していますから
ＳＦだけでなく、和やかな日常回も楽しくみれますね。。

物語のメインキャラの行動までハルヒが無自覚で想定したものだとしたら
メインキャラたちの自我は本当のものなのでしょうか？

ナントモ興味深い。。
話題となった作品ですがこの謎深い作品の魅力は10年が過ぎた今も
色あせることがありません。
ハルヒの日常回が出来がよすぎた為に、その後日常アニメが溢れたのは
複雑な気分です。。

神がかりな設定と構成の素晴らしさは見事の一言
06年ハルヒの放送順でみてこそ、価値がわかる作品だと断言できます。
ぜひ、その目でご覧いただけましたら幸いです。