「僕だけがいない街(TVアニメ動画)」

総合得点
91.6
感想・評価
3355
棚に入れた
15475
ランキング
29
★★★★☆ 4.0 (3355)
物語
4.2
作画
4.0
声優
3.8
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

タイムリープ+サスペンスで女子小学生を救え!1話辺りの面白さはこのジャンル屈指の良作

タイムリープ(時間遡って「やり直し」)出来る青年が、子ども時代に戻って、同級生の少女が殺されるのを阻止しようと奮闘する…。
全12話のタイムリープ+サスペンスです。
…総合的な名作度ではシュタインズゲートに及びませんが、本作は1話からノンストップで引き込まれる抜群の面白さあり。
1クールなのもあり「タイムリープ系でとりあえず面白いアニメ」お探しならば、真っ先にオススメ候補筆頭です。
おそらく、2016年度を代表する良作の一角。

{netabare}『物語』
1988年の北海道を舞台に、「リバイバル」というタイムリープ(時間遡行&やり直し)能力を持つ29歳の主人公・悟(さとる)が、小学生に戻って、未来では殺されてしまう同級生の雛月加代(ひなづき・かよ)を救うべくがんばる。
本作の魅力はサスペンスとして終始ハラハラさせられる緊迫感と、一方で悟が加代と少しずつ打ち解けていく微笑ましさが、相乗効果でドラマを深めていく展開にあり。
頭脳は大人な悟視点で、幾度かのバットエンド繰り返しつつ試行錯誤で解決を模索していく過程に目が離せず、続きが気になる度では2016冬随一(2016全般でもリゼロと双璧)だった。

…舞台となる冬季の北海道を活かした雰囲気も魅力。
「したっけー!」(さようなら)などの方言も小学生らしい可愛さ相まって非常に良い。
北海道民でなくとも、どことなくノスタルジーを感じさせる情景描写も良いです。
1988年(昭和の最末期)特有の子ども達の描写、当時スマホはおろか携帯すらありません。
※余談ですが私ほぼ悟と同世代なので、子どもだった当時がとても懐かしいです。


実態の見えぬ犯人の不気味な脅威に脅かされながらも、着々と構築されていく「雛月を救う条件」
犯人探しよりも、「孤独な少女を一人にしない事」を重視する悟の戦略により、中身は大人だけど十分小学生らしい男の子が、孤独な少女を精神的にも救っていく流れは、サスペンス抜きにしても非常に萌える!
…この書き方だけだと「事案」?
いやいや。悟は確かに頭脳は29歳なんですが、今(1988年)出来る事や立場は男子小学生そのものなので。
なので、マセている小学生の男の子が健気に頑張って女の子を守ろうとしている構図として全く違和感無し!

あぁ^~加代ちゃんかわいいんじゃ^~
辛い家庭環境故の孤独と心を閉ざした少女、雛月加代。彼女を救う第一条件は謎の犯人の毒牙から守る事なんですが、その過程での級友たちも交えた交流も心温まる。
まるで雪が解けるように。かじかんだ小さな手が温まるように。
小さいけれど力強い手に引かれ、加代の心は悟に惹かれていく…。

小学生らしい関係性と、頭脳が大人ならではの解決能力の相乗効果が凄い。
…悟の母・佐知子の粋な計らいで家庭の温かさを知り涙する加代ちゃんがバツグンに可愛い&ハートフル!
アニオリシーンらしく、これをもってアニメ版の本作の評価上がりました。


8話までは正にノンストップな面白さだったのですが。
犯人と対峙する以降はやや失速した感も。
それでも終幕は「僕だけがいない街」のタイトルに相応しい余韻あり。
自分だけが皆と異なる時間を生きてきた代償…けれど得た、かけがえのないモノ。
一抹の切なさと、未来への希望を感じさせる良ラストだと思いました。
…未来のカップリングについては。
悟は29歳ですから。別に加代ちゃん恋愛対象じゃありませんから!
本作に限ればこれで良かったんですよ、きっと。


総じて、小学生編に限れば5点満点で良い位引き込まれました。
思うに本作は「サスペンスやSF(タイムリープ)は本筋ではない」のでしょう。
サスペンスとして見ると「犯人が早い段階で見え見え、意外性も乏しい」
SFとして見ると「タイムリープが整合性乏しくご都合主義」
なんですが、それらは別に本作の評価を下げてはいないです。
本作で大事なのは「タイムリープする条件での、悟が雛月を救う過程での緊迫感&交流劇」なので。
タイムリープもサスペンスもあくまで舞台装置、小学生ふたりのドラマこそが良かった。

…ここから余談。
アニメ制作側が事前に大言壮語したアニメはスペる可能性高い経験則…
を、覆したのは伊藤智彦監督お見事。
12話という余裕の無い尺で、原作補完も含めた構成も素晴らしかった。
削られた展開など惜しい面はありますが、12話で最善を尽くしたアニメ化だったと高評価です。


『作画』
冬の北海道、1988年のノスタルジックな情景描写が素晴らしい。
また、加代ちゃんのキャラデザと表情変化が原作よりもバツグンに可愛いのもどらむろ的にポイント高い!

『声優』
本作の目玉として主人公(青年)主人公(少年)それぞれ本職の声優ではない俳優起用なんですが、アニメ的な上手さはなくとも本作の作風に合ってました。
満島真之介さんの朴訥な感じ、土屋太鳳さんの少年演技良いです。
この他の配役も大地葉さん、鬼頭明里さん、菊池幸利さんなど脇役多数の若手中心、飾らない小学生っぽくて良かった。
…放送前の大言壮語もあり悪い予感してましたが(失礼ながら)意外と配役悪くなかったです。

でもMVPは雛月加代ちゃん役の悠木碧さん。
「ばかなの」あぁ^~かわいいんじゃ^~
悟の家でご飯を食べて泣くシーンも流石は悠木さん素晴らしい。

高山みなみさんの肝っ玉の大きい母親役も絶妙。コナンのイメージは無かったです。
高山みなみさんといえば、年上のお姉さんやらせても一流ですから。
…悟母50代なんですがそう感じさせない。


『音楽』
OP「Re:Re:」よりもED「それは小さな光のような」の方が比較的好みです。
梶浦由記さんの作詞好き。終盤の余韻が良い感じ。
BGMも悟と加代の交流を静かに盛り上げていたり、ピンチの緊迫感煽ったり。


『キャラ』
なんといっても雛月加代ちゃんがかわいいに尽きますねぇ~。
心を閉ざした孤独でぶっきらぼうな女子小学生…アニメでいそうで意外といない。
ツンデレ…とも微妙に違うけれど、次第に凍った心が解けていく過程が可愛くないハズが無い!
怯えたり不安に押しつぶされそうになったり、悟に物理的にも精神的にも守られたり、その過程で見せる口数少ないセリフの数々。
「ばかなの」あぁ^~
これは「守ってあげたくなる女子小学生ヒロイン」という括りでは最高に可愛かった♪
…余談ですが加代ちゃん、私より少しお姉さんだった…漫画やアニメでこういうのフシギな気分。

悟は大人らしい冷静さと、小学生でも違和感ない向こう見ずさの絶妙なバランスが良かった。
小学生悟、カッコ良すぎる。可愛さも併せ持っている。

賢也…なんて良く出来た男子小学生なんだ。小学生の時、友達にいてほしかったタイプですな。
非常に頼れる友達であった。
他級友たちもいずれも良い味出していた。

悟母の存在感も大きい。52歳とは思えぬ若さ、息子を信じる強さとやさしさ。
彼女も理想的な母親でした。

犯人は…怪しすぎて逆に無いかとおもいきや…。
狂人の心理はよくわからんです。

原作では真ヒロインな愛梨ちゃんも非常に良い子で可愛いのですが、アニメ版では影が薄くて残念。{/netabare}

投稿 : 2016/09/01
閲覧 : 357
サンキュー:

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