「東のエデン-Paradise Lost-パラダイスロスト(アニメ映画)」

総合得点
73.1
感想・評価
1082
棚に入れた
5958
ランキング
1028
★★★★☆ 3.8 (1082)
物語
3.9
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

岬ヶ丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

この国の未来を創るのは誰か

劇場版完結編。小説版も併せて読了。

本作はあがりを決め込んだ上の世代と、その世代によって搾取され、踊らされている若い世代の立ち位置を、ニートや王様という存在を用いて意欲的に表現した。また日本に漂う独特の閉塞感、いわゆる目に見えない空気と闘う、滝沢という一人の青年を、彼に惹かれた女の子の視点から描いている。

滝沢朗は、魅力的で謎に満ちた不思議な人物である。今私たちはこの瞬間も、この閉塞感漂う世の中から脱却するため、彼のようなヒーローを待ち望んでいるのではないか。いわば彼は私たちにとって一筋の希望の光なのだ。ではこの国の未来を創るのは、彼なのだろうか?いや

「この国の未来を創るのは、良くも悪くもやっぱり、私たちなのではないか。」

と、改めて考えさせられた一作だった。社会や世界は劇的には変わらない、100億のセレソンゲームでもそうなのだから、現実の社会では言わずもがなである。それでも作品を見終えて、落胆や絶望感よりもむしろ、何とも表現しがたいわずかな希望を感じた。それはもしかしたら希望であってほしいという、自分から自分に対する励ましなのかもしれない。
それでも自分が感じたこの気持ちを無駄にしたくない。この気持ちが無駄であってほしくない、と素直にそう思う。

謎の多いセレソンゲームも一応の決着を見て、いくばくかの余韻を残すラストになっている。物語は頭脳戦というよりもパワーゲームになってしまった感や、滝沢の出生の秘密など、物語の方向性が変わってしまった気もする。それでもなんとか一つの作品を描き切ったという点は評価したい。ただ劇場版を2作で描かなかった物語かといえば、少々の疑問も感じる。特に劇場版に関しては賛否両論は避けられないだろう。

それでも本作が私にとって大きな影響を与えたことは事実であり、これからもそれは変わらないと思う。非常に多くのメッセージが散りばめられた意欲作であり、今後のたくさんの人に見てもらいたい作品である。

Noblesse Oblige... 今後の私たちがよりよい救世主たらんことを。

投稿 : 2016/09/20
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サンキュー:

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