「イヴの時間 劇場版(アニメ映画)」

総合得点
78.2
感想・評価
1414
棚に入れた
7616
ランキング
556
★★★★☆ 3.9 (1414)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

童謡「おもちゃのチャチャチャ」の、恐怖と可能性

[文量→大盛り・内容→考察系]

〈2010冬 個人内ランキング 9位〉

【総括】
アニメ映画としてはかなり高いクオリティにあると思います。ストーリーは、シリアス且つハートフル。やや笑いもある。「意識高い系」にも「とりあえず感動して泣きたい系」にも対応できる懐の深さがある。そのバランス感覚は流石だと思う。頭空っぽに、というよりは、色々考えながら観るアニメです。

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
時代設定は近未来。アンドロイド(人型ロボット)が実用化された直後の世界。

「アンドロイドを人間扱いするか否か?」

というテーマは最早古典的なもので、テーマ自体に目新しさはない。が、「アンドロイド」や「VR」「ナノマシン」などは今後、現実世界でも様々な問題を抱えそうなテーマだけに、今の(まだ実用化されてない)うちに、ファンタジーの分野で色々と妄想しておくのは良いことだと思う。

この作品で大事な装置として働くのが、「イヴの時間」という喫茶店。この喫茶店のルールは、「人間とロボットを区別しない」というもの。この喫茶店の中では、人間とロボットの見分けがつかないようになっている。

「人間の知らないところで、ロボットが自分の時間を謳歌している」

それは、希望でもあり、恐怖でもある。そういえば昔、「おもちゃのチャチャチャ」(みんなスヤスヤ眠る頃 おもちゃは箱を飛び出して チャチャチャおもちゃのチャチャチャ)を聴いた時、楽しそうな曲だというより、うすら怖さを感じた。人間は、自分達の存在を脅かす(理解の及ばない)存在に対して、やはり無条件に恐怖を感じているのだと思う。

この閉ざされた世界での人間ドラマ(密室での群像劇)は、映画「キサラギ」に似ているかも。全人類規模の大きなテーマを小さな喫茶店の一室に落とし込む構成は興味深かった。

2013年(本作発表の3年後)には、オックスフォード大学の試算により、今後20年以内に、47%の仕事がAI(人工知能)によって行われる可能性があるというデータが発表された(ことからも、時代を先取りした作品だと分かる)。ただ、「演奏家(芸術家)」関連は、最も代替確率が低い仕事の1つとされてるけどね(そういう意味では、今から40~50年後の未来なのかもしれない)。

さて、タイトル「イヴの時間」だが、私は初めはこれを「クリスマス・イヴ」の「イヴ」かと思っていたが、「アダムとイヴ」の「イヴ」のようだ。

作中では、アンドロイドが「イヴの時間」に来られる条件がはっきりとは示していないが、私は「人間に名付けられること」だと考えている。

「アダムとイヴ」は誰もが知る旧約聖書の物語だが、もしかして「アダムとイヴは共に人類最初の存在」だと思っていないだろうか? 旧約聖書によると、アダムは確かに創造主ヤハウェが作った最初の人類とされているが、そのアダムの妻にするべく、アダムの肋骨より作られたのがイヴである(つまりイヴは人間のために生まれた)。そしてポイントは、「イヴという名はアダムが名付けた」「有名な禁断の果実(知恵の実)を初めて食べたのはアダムではなくイヴ」であるという点である。

やはり、「名前」というのは、己の存在を確定させるための、大事なものなのだろう。また、「ロボットが知恵(感情)を得た」という比喩としても、「イヴ」に例えたのは上手いと思う。

人間に愛され、人としての感情を得た個体だけが訪れることができる、喫茶店。その設定は秀逸だったと思う。

ただまぁ、やはり問題提起だけで終わった感が強くて、消化不良です(汗) オススメは、オススメです。観ている間なら、評価4ですよ♪
{/netabare}

【蛇足~A-TXの嫌味w~】
{netabare}
別に良いんだけど、2016年の12月25日にA-TXで放送してました。まあ、「イヴ」と「クリスマス」をかけての特別放送でしょうが、「クリスマスなのにアニメ観てんの?」という嫌味に捉えられても仕方ないっすよ(笑)
{/netabare}

投稿 : 2017/11/14
閲覧 : 569
サンキュー:

39

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