「ハロー!! きんいろモザイク(TVアニメ動画)」

総合得点
71.6
感想・評価
840
棚に入れた
4487
ランキング
1265
★★★★☆ 3.8 (840)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
4.1

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

Alice? Youは何をしに日本へ?

アニメーション制作:Studio五組
2015年4 - 6月に放映された全12話のTVアニメ。

原作は、原悠衣による『まんがタイムきららMAX』にて連載中の漫画作品。
監督は天衝。

【概要/あらすじ】

『アリスが日本に来て1年以上経ちました。
17歳になっても身長は139cmから全く伸びず小学生みたいで可愛いです』

大宮忍、アリス・カータレット、小路綾、猪熊陽子、九条カレンは二年生に進級。
クラス替えでふた手に別れたり、新たな担任、友達関係がちょっぴり増えたりしています。

ゆるふわで金色に彩られた日常コメディの2期目でも、
相変わらずマイペースな5人の女の子は今日も元気です。

【感想】

原作漫画は、8巻まで読みました。2期は、3巻途中から5巻途中までを消化。
原作5巻にある学校祭以前の二学期エピソードを夏休み前に時系列を変更していますね。

『きんモザ』だけに限らず“きらら系”の4コマ漫画原作アニメの多くは、
種無しブドウ、骨抜きの魚の切り身、殻を取り除いたアサリの剥き身のパックなイメージ。
要は堪能するのに邪魔な要素を予め取り除いてストレス無くファンが味わえるように、
制作されたアニメ作品。

その象徴の代表的な事例として女性キャラの恋愛対象となる男性キャラを作らない。
同年代の男性はモブであり、男が登場しても女性キャラの父親や幼い弟など。
『ラブライブ!』でもそうであり、今時のアニメの傾向ではありますが。

また、女の子同士が百合百合ラブラブしていれば視聴者が幸せになれるということがあり、
それに相反する要素は徹底的にオミットされますね。

1期でも書きましたが、凄く気になったことを書きますね。

ホームステイで仲良くなった忍と一緒に暮らしたいから、
今まで愛情込めて育ててくれたパパとママと離れて日本で暮らす!というアリスの動機が凄い。
なりたい仕事があるから地元では学べないことを修めるために故郷を離れる、
例を挙げればバイオリン工房に弟子入りするためにイタリア留学するみたいな、
客観的にみて納得な理由が無くシノと一緒に暮らしてイチャつきたいがためだけの、
親の金を使ってのアリスの日本行きをアリスの両親はどんな気持ちで許して見送ったの?
アリスのパパは背景同然ですし、
ママはいつもニコニコして優しく見守るだけで気持ちが読めません。
見た目が小学生みたいな大事な一人娘を異国の地にやって心配してないのか?
そのへんの感情や、やりとりが萌えアニメには不要なものとして排除されてないかい?
原作でそのへんの描写が皆無ですし、
作者がそこまで考えて漫画を描いてないよ!と言ってしまえば、それまでですが。

リアルではネグレクトや壊れた親子関係が存在しますが、
アリスが両親と不仲で顔を合わせづらいという様子は微塵もなく、
アリスの望郷の念の希薄さが不思議に思えたり、
シノと一日でも会えないと寂しくて泣きそうになるのに、
優しい両親、愛犬のポピー、故郷の見慣れた風景、見慣れた人々。

イギリスでもカレン以外にもアリスの友達がいただろうに、
それらの繋がりを全部置き去りにして、『シノー!シノー!シノー!』
シノがいて日本を堪能できればそれで自己完結しちゃってるのか?
アリスの忍LOVEは15年の間、自分を育んでくれた全てに優先するものなのか?
シノと片時も離れたくないから、里帰りに消極的であり、
たまには両親に元気な顔を見せに行こうという発想が生まれないアリス。
アリスのシノラブを可愛いとは思えなく、不人情に見えて人の子としてどうなの?という疑問。

結局のところ作品内で萌えキャラ同士のイチャラブを目的としたコミュニティ、
少女たちの横のつながりを至上のものとしてファンに提供したいがために、
それに相反するものを蔑ろにするのが、この系統の作品全般の特色ですよね。

1年近く会ってない母親への手紙(2期第1話の)で、『シノとクラスが別れて寂しい』と綴ったアリス。
更には来日してから1年と数カ月ぶりにイギリスに帰省してすら、親の前で『シノー!シノー!』
と言い続けて禁断症状が重たいアリスは自分のことしか見えていなく無神経ですね。
『シノー!』と騒ぎすぎるので逆に日本にいる間は親にずっと会ってないことを、
寂しいと思わないのが薄情に見えます。母親の気持ちを考えたことがないのでしょうか?
『忍とずっと一緒にいたい』といった趣旨の発言をしているアリス。
アリスは、家族や友人や自分の人間関係全般についてどう思ってるのか?
どう考えて序列化したの?とアリスに問い詰めたくなってしまいますね。
ファンが欲しがってるものが女の子同士のイチャイチャに他ならないのですので、
意図的にアリスに、それに相反する感情が発生しないように話が作られていますね。

アニメスタッフも、原作そのままの描写では母子の繋がりが薄すぎ?と思ったのか、
アニメ2期の最終回にてアリスとアリスのママの触れ合いのシーンを増やして、
母娘で絆があるように見えるように補完に努めていますよね。
気持ちを言葉にしてないという点でまだ説明不足に思いますが、まずまず良い改変であったと思います。

普通に、ただ萌えアニメとして楽しめれば美味しいことには美味しく、
原作ファンから見たら100点満点に近い良作であることには違いないのですが、
私の視点から見れば理解不能・不可思議な部分が引っかかり続ける作品でした。
たかがフィクションであり、然程に深いものではないにせよ!でもありましてもね。
萌えアニメとしての記号以上のものを決して求めずに、
リアルの人間が抱く類の感情をこの作品のキャラに期待しないほうがいいと思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2017/08/09
閲覧 : 345
サンキュー:

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