Ka-ZZ（★） さんの感想・評価

3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

「君が好き」って言えない君へ…

この作品の原作は未読ですが、いのすけ、あやねるに小倉さんが出演されると知り視聴を決めた作品です。
事前の情報は声優さんくらいだったのですが、放送が始まりキャストのテロップを見てビックリ…
この作品の監督は金子ひらくさんだったんです。
金子ひらく監督といえば、聖痕のクェイサーやVALKYRIE DRIVE -MERMAID-など、豊満な女性が登場する作品が頭に浮かんできますが、その様な作品と本作品との立ち位置はまるで真逆…

監督さんには得意分野があるのではと朧げに考えていましたが、きっと様々なジャンルの作品が手掛けられないと務まらない業種なのかもしれません…
でも、そう考えると例えば岸誠二監督だってこれまで様々なジャンルの作品を手掛けられてきたと思います。
瀬戸の花嫁、Angel Beats!、蒼き鋼のアルペジオ、結城友奈、暗殺教室に月がきれい…
こうしてみるとジャンルは全然違いますね。
でも「泣ける」という共通項で括れそうな気のする作品がずらり並んでいますけれど…

なので、金子ひらく監督の作品も複数を並べてみたら、共通項が見つかるのかもしれない…こんな風に考えながら視聴していました。

物語はオムニバス形式となっており、複数のキャラの物語が同じ時間軸で進行するスタイルが取られています。
登場するキャラの殆どは恋愛経験皆無で純情な少年少女ばかり…

今の関係を一歩進めたい…だけど、その方法が分からない…
自分で考えてみたけれど、これで良いのか全然自身ないよ…
若かりし頃、このような葛藤をした経験のある方はきっと多いと思います。
私もそんな葛藤を何度も経験してきました。

だって一歩進むのがどれ程のリスクを抱えているかが分からないんですもん…
そしてその中には考えうる限りの最悪…嫌われた上での関係崩壊のカードが必ず1枚含まれているんです。
そのカードを引き当てる確率が何分の一なのかは分かりません。
二分の一なのか、十分の一なのか、それとも百分の一なのか…
限りなく確率は低いのかもしれません。
ですが、どこまでいってもゼロにはならないんです。

ゼロにならない、という事がどれほど怖い事なのか…
経験した人ならきっと分かると思います。

そんな初々しい気持ちをこの作品では丁寧に取り上げて描いています。
一つとして同じ状況はなく、キャラの多様性を保ったまま抱える気持ちから発展する出来事…
時には勇気だったり、時には躊躇だったり…
同じ状況でも受け止め方や立ち位置が違えば反応も印象もまるで変ってくると思いますが、この作品はその微妙な違いの捉え方が秀逸な作品だと思いました。

そんな今を一生懸命生きようとしているキャラにいのすけ、あやねる、小倉さんたちが命を吹き込んでくれるんです。
この物語の魅力が声優さんによって一気に高まるのが私の拙い言葉で伝えられれば良いんですけれど…

きっと誰もが一度は抱いた淡い恋心…
手を繋ぐ、繋がないで一喜一憂していたあの頃…
そんな若かりし頃の懐かしさをこの作品は思い出させてくれます。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、いのすけの「アイマイモコ」
エンディングテーマは、小倉唯さんの「Dear」
お気に入りはいのすけの曲なのですが、小倉さんの曲も気になる曲でした。
何故なら曲の雰囲気がリゼロでレムが歌った「Wishing」みたいだったから…

1クール12話で1話15分のショート作品でした。
普通の高校生の普通の心模様を等身大で描かれていたので総じて好印象で楽しめた作品だたと思います。
ですが一つ一つの物語に焦点を当ててみると、未だ道半ば状況が殆どだと思います。
続編…制作されるなら絶対に見ます。