「怪~ayakashi~Japanese Classic Horror[アヤカシ](TVアニメ動画)」

総合得点
63.2
感想・評価
197
棚に入れた
921
ランキング
4381
★★★★☆ 3.6 (197)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

Maskwell さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 4.0 作画 : 2.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

様々な視点から興味深い(珍しく本気でコメントします)

全三部から成る古典怪談のリメイクを中心としたホラー作品。
アニメ・古典文学・考古学様々な視点からおもしろい作品だった。

かなり大人向けの作品。
二部・三部は女性も楽しめる。

どのパートから見ても連続性はないので大丈夫。
本当によくできている。

EDが作品にとても合っていてよかった。

一部「四谷怪談」
有名な「お岩さん」の霊のお話。
彼女が何故生まれたのか、どうなったのかが描かれている。

二部「天守物語」
泉鏡花の同名の小説が雛形。
ストーリーや設定の変更点が多く、ほぼオリジナルストーリーになっている。(らしい、原作知らない無知でごめんなさい)
姫路城(白鷺城)を舞台に物の怪(忘れ神)の姫様とイケメン鷹匠の恋話。

三部「化猫」
同ノイタミナ枠「モノノ怪」主人公の薬売りが主人公。
ストーリーはオリジナル。
物の怪の形と真と理を探る。
独特のテンポ、独特の作画が魅力的。この回だけなら作画評価4.0.


----以下ネタバレ有り
●一部
四谷怪談原作者・鶴屋南北(つるや なんぼく)が語り部として登場する。
彼は言う。四谷怪談を私が書いているのか、それとも書かされているのか…と。

お岩さんの劇中には二つの復讐が交錯する。
お岩と伊右衛門。お岩の義理の妹―お袖とかつて四谷家で下働きをしていた男―直助権兵衛(なおすけ ごんべえ)。


お岩はごく普通の女でだった。だが、民谷伊右衛門(たみや いえもん)という男と関わったのが全ての始まりであった。
お岩と伊右衛門は元々夫婦であったが、伊右衛門が浪人になったことをきっかけに離縁となった。
伊右衛門はお岩と結ばれる為にお岩の父を辻斬りに見せかけて殺し、仇討ちの約束と共に元鞘に戻る。
子供が産まれるとお岩は体調を崩す、貧乏な暮らしも相まって伊右衛門は苛立ちをあらわにする日々が続く。
そこに伊右衛門に恋をした若い娘―梅。彼女は有力な武家の孫で自分が欲しいものは何でも手に入れたいというわがままぶり。
お梅は産後の血の通い良く薬とお岩に「顔が崩れる」薬を飲ませる。
ここからお岩の悲しい物語が始まる。

 薬を飲んだあとのシーンは心が痛くなった。
なんの罪もない女性が苦しみ、醜くい姿になっていく様はあまりにもむごたらしい。
彼女の呪いによって伊右衛門の周囲の人間は殺されていく。

伊右衛門がお岩の父―四谷左門(よつや さもん)を辻斬りの仕業に見せかけて殺したとき、奇しくも同じように殺している人物がいた。
それがもう一つの物語の線に登場する直助権兵衛である。
彼はもともとお袖に恋焦がれていたが、佐藤与茂七(さとう よもしち)というお袖の許婚によって追い払われ逆恨みから与茂七を殺害する。
お袖は与茂七を殺した犯人を捜すため、左門と仮の夫婦となる。

 このお袖も可愛そうな人生である。
義理の姉の死、好きでもない男との生活。
そして最後は自ら選ぶ死。

全てが終わった後再び登場する鶴屋南北。
彼はお岩に謝罪する。たとえ物語の中であってもあまりにも可愛そうなことをしてしまったと。

四谷怪談という古典的な怪談に改めて考えさせられる作品だった。
お岩という幽霊を中心として、登場人物それぞれの思いがきっちりと描かれている話。

●二部
忘れ神の長である美しい姫君―富姫(とみひめ)と武田播磨守に仕える鷹匠―姫川図書之助(ひめかわ ずしょのすけ)との異人間の恋愛劇。
姫川図書之助には人間の恋人―お静(おしず)がいるというのがこの話を悲しいものへとさせてしまっている一因といえる。

忘れ神は人間と恋をすると腐れ神となってしまう。
図書之助は殿が将軍へ献上する白い鷹を預かっていたが、ある日鷹は白鷺城へと逃げてしまう。
そこで図書之助は富姫と出会う。
図書之助は富姫が人間でないことを知っても彼女を受け入れる。
富姫は図書之助と恋に落ちるが、腐れ神となってしまっては配下の物の怪たちが消えてしまう。
彼女は身を裂く思いで、図書之助を人里へ追い返す。
図書之助はお静と結婚し幸せな日々をすごす。
しかし、殿が鷹に固執し白鷺城を落とすことを決意。
図書之助は富姫を救う為、白鷺城を目指す。
図書之助は最後は人間ですらなくなってしまうが、その恋を貫く。

最後の富姫がRPGのラスボス最終形態みたいになったのはシュールで笑った。
話はすごいシンプル。作画はいまいちだった。
自分勝手な人間と理を重んじる神。この対比を楽しむ話。

●三部
モノノ怪の主人公薬売りが、とある旗本の娘が輿入れする矢先に怪死するところに出くわすところから話は始まる。
この娘を殺した物の怪から逃げる為、立てこもった先で形と真と理を探っていく。

結末はかなり胸糞悪い。
しかし、そんな中にも救いがあるストーリでとても見ごたえがあった。
薬売りさんが必死にシュババとお札を貼るシーンは笑える。


●総括
どの話も人間の醜さというのが際立つ作品になっている。
人がいるから物の怪が生まれる。
本当に恐ろしいのは物の怪か人か。

神や物の怪はある種システムとして世界に存在するだけなのかもしれない。

モノノ怪を見る前に三部だけを見るも良し、ホラーとして見るも良し。
個人的に二部は毛色が合わなかったが、多角的な面白さを含んだ良作と呼べるものだった。

投稿 : 2017/11/19
閲覧 : 303
サンキュー:

2

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