「へうげもの(TVアニメ動画)」

総合得点
67.2
感想・評価
248
棚に入れた
1228
ランキング
2490
★★★★☆ 3.8 (248)
物語
4.0
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.9

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

数奇に魅せられた、ある武人

 原作は現在も読破中。
 戦国から安土桃山時代を描いた歴史ものだが、この手の作品
では大概は戦や政治の中心となる人物が主人公であったり
するが、古田織部という武将でありながら、茶道などの文化に
魅せられた男を中心に描く観点はなかなか新鮮で面白い。
 ただ、今でこそ政治と文化は基本的には別モノ(影響はある)
となっているが、この時代における茶の湯は政治とかなり
密接なものであり、茶道等の文化的ファクターを通して見る
政治史ものにもなっている。

 毎回、冒頭に「フィクションである」と明言している
ように、かなりフィクション要素が多いが、この混入具合が
個人的には非常にバランス良く絶妙に思える。なんと言うか
メチャクチャの一歩手前といった印象。人によっては「もっと
リアルに」とか、「もっとハチャメチャでもいい」とか、色々
あるでしょうが。
 フィクションと言えば、原作者の考えたフィクション以外
にも、巷で唱えられている諸説がうまく取り込まれている。
前半の山場である「本能寺の変」の原因や、後半の山場である
豊臣秀吉と千利休の確執の原因などは、未だに定説がない
だけに色々な説があり、その辺がうまく取り込まれている。

 主役の古田はかなりコミカルに描かれているが、なかなか
魅力的な男である。
 おそらく彼の熱意は武将としての道より、数奇者としての
自分に向けられているのだろうが、数奇を追求するには
それなりに金が要るわけで、その金を得るには武将としての
出世が必要。この辺の古田のジレンマがよく描かれており、
単純に「武か、数奇か」という二者択一論でないところが
奥深い。
 この作品に登場する人物は古田を始め、皆おのれの欲に実に
忠実である。欲の内容が数奇の追求だったり、武人としての
出世だったり、自分の思想を世に広めたいだったりと様々
だが。
 織田信長が舞った「敦盛」に「人間五十年」とあるように
平均寿命が今より短い時代。加えて度重なる戦により、いつ
殺されてもおかしくない状況。生きていられる期間が今より
短いゆえに、限られた人生を謳歌しようとしているように
見受けられる。
 欲と言えば、原作では性愛に対する欲も描かれていたが、
その辺は結構省かれていた。残念と言えば残念だが、あらゆる
世代が視聴できるアニメ(内容からしてターゲット層は成人だと
思うが)で、NHK作品となれば仕方ないか。

 キャストはベテランの声優さんが中心で安定した印象。
 加藤清正は元々原作のキャラが具志堅用高さんをモデルに
していたため、本人が出演するのはまあ妥当なのかなと。
声優に関しては素人であるため、かなり棒読みであったが、
この作品における加藤清正はかなり朴訥としたキャラであった
ため、それはほどひどくならずに済んだかなと。
 そして、伊達政宗の中井和哉さん。「戦国BASARA」と同じ
伊達政宗だが、この辺は狙ってやったんだろうな。こういった遊びは楽しい。

投稿 : 2012/02/12
閲覧 : 257
サンキュー:

4

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