「ハイスクール・フリート (はいふり)(TVアニメ動画)」

総合得点
74.5
感想・評価
945
棚に入れた
4054
ランキング
882
★★★★☆ 3.5 (945)
物語
3.2
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 1.5 作画 : 2.5 声優 : 3.0 音楽 : 1.5 キャラ : 1.5 状態:観終わった

理解不能

【はじめに】
日本列島の大半が沈没した架空の日本が舞台。
海の治安維持を目的にした、女性のみで構成されたブルーマーメイド。
主人公は、その養成機関である、横須賀女子海洋学校に入学する。
早速、主人公は晴風の艦長に配属され、いきなり始まる海洋実習に向けて、乗組員と共に出航するが…

【ミリタリーアニメの難しさ】
{netabare}
本作はいわゆる、美少女ミリタリーアニメである。
本来、無骨で男性中心のコンテンツであるミリタリー分野に、美少女を足すと、時に化学反応のような絶大に人気を集めるコンテンツになりうる。
本作はそれらに倣ったアニメだ。
具体的に言うと某戦車道アニメに追従したかったのだろう。

結論から言うと、本作は駄作である。
ミリタリーと美少女、難しい組み合わせの食材を、下手に調理したせいで食中毒を起こすレベルの代物が誕生してしまった。

そもそも、ミリタリーアニメ自体が、かなり扱いの難しいジャンルだ。
緻密な考証は必要な上に、反戦思想のこの現代社会で、どうやって戦争を描き、表現するのか…懸念材料は盛りだくさんだ。
そこにオタク受けしか考えていない中身の無い美少女キャラを放り込んだらどうなるのか。

兵器を扱う以上、戦いのテーマからは逃れられない。とは言え、美少女キャラたちを血生臭い環境下に放り込むことは作り手も避けるだろう。
そこで、大抵のアニメは、兵器による戦いを、競技や、遊戯に置き換えるのだ。
上手な作り手だと、高尚なスポ根アニメにまで昇華させることができる。
しかし、本作は何故かそれをしなかった。

あくまで、砲弾は実弾、戦艦は戦うための兵器だと、自ら定義付けた。これはつまり、物語に登場人物の死の可能性を含ませ、兵器による命を懸けた戦いを誠実に描くことを宣言したようなものである。
が…、この宣言が忠実に守られることは、ほぼ無かった。
{/netabare}
【シリアスとコミカルの不調和】
{netabare}
さて、先述の通り、本作は美少女ミリタリーアニメとしては珍しい、設定をシリアスにしてしまった。
冒頭の展開も、主人公が艦長を務める晴風は訓練中に発砲してきた教習艦に対し、苦悩の末、応戦したところ、反逆者の烙印を押され、主人公一行は逃亡生活を余儀なくされる、といったようにシリアスだ。

正直、この時の私の本作に対する評価は高かった。
タイトルは日常系アニメを彷彿とさせる「はいふり」から、本格派戦艦ストラテジーを予感させる「ハイスクール・フリート」へと変わる。
そして、1話の段階で、シリアスの方向へ舵を切り、多くの視聴者が望む、可憐な少女たちが、必死に戦い、生存を勝ち取る重厚なストーリーへと全速前進していくものだと思っていた。

しかし、そんな淡い期待は早くも裏切られる。
本作は、コミカルの要素を捨て切ることができなかったのだ。
まぁ、まだ非戦闘時に多少の冗談を言い合ったりは良い。
硬派なミリタリー映画ですら、それはやる。
問題なのは、おふざけレベルのコミカルを戦闘中にやっていることだ。
展開をシリアスからコミカルに方向転換するのは頑張れば出来ることかもしれない。
だが、設定だけは変えようがないことを作り手は理解しているのだろうか。
設定が変えられない以上、15歳の美少女キャラたちは、殺傷力十分の砲弾が飛び交う中、おふざけをしていることになるのだが…
キャラたちの設定はひょっとして小学生だったのか…?

更にに腑抜けたBGMがより一層、この意味不明な状況を掻き立てる。
こうして、創作としてのハイスクール・フリートという作品は4話を目前にして、論理性を失い、終焉を迎えたのであった。
{/netabare}
【設定、伏線の投げっぱなし】
{netabare}
シリアスからコミカルへの急旋回はこれだけでは終わらない。
主人公たちが反逆者として追われる原因となった教習艦の暴走だが、原因はネズミを媒介とするウイルスだった。
もはや突っ込む気すら湧かないが、主人公たちの無罪は証明されることに。
そして、新たに課せられた任務は、主人公の幼馴染が乗っていたとされている武蔵を捜索することだった。
これ、逃げる流れ必要だったか…?
そもそも、初の海洋実習すら行えていない、主人公一行に何を求めるというのか。
出来の悪い脚本は無意味な行動を取らせて時間稼ぎをしようとする。

その後は猫を救ったり、お祭りで馬鹿騒ぎしたりして、寄り道しながらも、遂に武蔵と対峙することになる。
何故かここだけ大真面目に戦闘をこなしていたが、今までの主人公たちの体たらくを見ていたら、それは恐怖映像にしか見えない。
必死にBGMもOPで盛り上げてくるが、焼け石に水だ。
なんやかんやで主人公たちは勝利を収め、武蔵の乗組員も全員無事だ。
最後の最後で大真面目に兵器として役目を務めた晴風は唐突に沈没を始めるが、このシーンはこのアニメ屈指のギャグと言っても過言ではない。
これをもって、このアニメは閉幕するのだが、ネズミやウイルス、その他謎、伏線諸々は回収されない。
別に驚くことは無い。
今までの脚本の拙さを感じ取っていれば。
{/netabare}

【おわりに】
これほど酷い脚本は見たことがない。
どんなアニメにもテーマの一つや二つは垣間見ることができるものだが、この作品に至ってはテーマが一つも見当たらない。
何故かBlu-rayの売り上げが好調だったが、アニメ史における珍事件と言ってもいいだろう。
キャラクターが気に入ったなら、本作のキャラクター原案を担当している、あっと氏が原作を務めている「のんのんびより」を観た方が大いに良いと思う。
少なくとも脚本で混乱させられることは無い。

投稿 : 2018/08/31
閲覧 : 257

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