「さよならの朝に約束の花をかざろう(アニメ映画)」

総合得点
88.9
感想・評価
651
棚に入れた
3475
ランキング
93
★★★★★ 4.2 (651)
物語
4.2
作画
4.5
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.1

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ネタバレ

コマキノ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

母子愛と命のストーリー

視聴済み。レンタルで視聴

{netabare}

十代半ばの姿のまま数百年生きる不老長寿の種族、イオルフの主人公マキアは、襲撃された故郷から流れ着いた先で人間の赤ん坊を見つける。エリアルと名付けられたその赤ん坊はマキアのもとで育てられるが、成長とともにマキアとの血が繋がっていないことを悟り、葛藤を抱えながら生き続ける。マキアも自分の母親としての資格の有無に悩みながら、己や周りの環境と闘いながら成長していく

前情報無しにこの作品を見たこともあり、何をテーマとしたものなのかは開始15分まで謎のままだったのですが、異世界風な世界観から織り成す母子愛と命の物語という題材を扱った感動ストーリーに終始圧巻されました

イオルフはその長寿な生態から人間との別れを数多く経験する不幸な種族として描かれており、この作品のもっとも重要なキーポイントになっています。マキアとエリアルもその運命に翻弄され、すれ違いや葛藤を引き起こす大きな要因として描かれています

(以下全体の感想)

まずこの作品、時系列や登場人物を整理するのが比較的難しいものになっています。イオルフは個々で見た目にさほど差がなく、見た目だけで判断するのも難しい。またシーンの変わり目で一気に数年後に移ることもあり、その場合子どもだった人物が大人の外見に成長するなんていうこともあります。
それでもとりわけ整理不可能というわけでもなく、それなりに考えれば理解できる作りになっている所はひとつ高評価に挙げてもいい点だと思っています

そしてマキアとエリアルの母子関係
イオルフのマキアと人間のエリアルでは時間とともにどうしても容姿に差が出てしまい、エリアルが思春期に至った頃にはお互いに溝が生まれてしまう。そして時代の流れにより命を繋げていく人間(エリアル)とそれを看取っていくイオルフ(マキア)
血縁関係の無い親子という現実にも存在する社会的なテーマと命の移り変わりという二重のテーマをフィクションの人種と絡めて深く、複雑に掘り下げたストーリー展開はとても斬新であり、メッセージ性としてもとても説得力のあるものになっていました

最も印象に残った場面が、終盤マキアがディタの出産に付き添うシーン
赤ちゃんが産まれる場面と城内の戦闘で兵士たちが次々と命を落とす場面を交互に映すシーンは生と死、命の重さと軽さの対比を表したこの作品最大級の見せ場だと思います。戦闘で軽々命を落とす兵士一人一人の人生にも、かつて彼らの親や誰かの慈愛を受けて成長した証がある。命の扱い方に強弱をつけることによって命という漠然としたテーマを見る側に訴えかけた、高度な演出だと感心しました。
その後もマキアが産まれた赤ん坊の手を握り、それをエリアルとの出会いの瞬間と重ねる場面に繋げる。命の誕生とその移り変わりを示した一連の演出には圧倒的な映像、演出センスを感じました

ただ最後まで見終わって私自身正直に泣けたかと言われると、ギリギリ泣くことはできませんでした
物語のクライマックス、エリアルの死でそれまでのエリアルとの思い出がフラッシュバックされる演出には正直くどさを感じました。感極まって涙を流し、流れるようにそのままひっそりと家を去るという展開なら個人的にはもっと感動できたかなと思います
{/netabare}

全体を通して、高度な作画、表現演出。それも相まって説得力のあるメッセージ性。作品としてのレベルはとても高く、十分に感動できるものに仕上がっていると思います
他人に自信を持って薦められる良作でした

(11/21 加筆)

投稿 : 2018/11/21
閲覧 : 298
サンキュー:

11

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