「トータル・イクリプス(TVアニメ動画)」

総合得点
67.6
感想・評価
811
棚に入れた
4010
ランキング
2321
★★★★☆ 3.5 (811)
物語
3.3
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.4
キャラ
3.6

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ネタバレ

RFC さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

命のはかなさと尊さ、人の愚かさと弱さと強さ

マブラヴ本編はすべてプレイ済み。
トータルイクリプスは未読。
マブラヴオルタが名作だったため、その派生作品ということで視聴開始。


【作品概要】
 西暦2000年ごろの物語。
 1958年に人類は地球外生命体(BETA)と接触。
 ところがそのBETAは人類に非常に攻撃的で、
 1973年に中国に侵入を許して以降、ユーラシア全域を
 占拠され、地球上の人口は10億人まで減少させられている。

 BETAに最も有効な兵器として開発された戦術機。
 (ガンダムみたいなのを想像していただければ)
 本作はアラスカのユーコン基地での戦術機開発部隊の物語。

【作品に対する感想】
 最初にこの作品を視聴した時、抱いたのは違和感。
 「あれ?マブラヴオルタってこんな余裕がある世界だったっけ?」
 というのが、マブラヴオルタは日本が舞台ですが、国土の半分
 (横浜以西)がBETAに占拠された世界。
 一般市民ですら死は常に隣り合わせの状況。
 食料も困窮し、肉なんて合成たんぱく質しか手に入らない世界。
 水着回やら温泉回などレクリエーション回があるたびに
 「え?」と思わざるを得なかったです。

 ただ、しばらく時間をおいてマブラブオルタの悲壮感がちょっと
 抜けたころに視聴してみると、十分良作であると思えました。

 そもそもマブラヴオルタの世界がきつすぎる状況の物語で、
 多少そこから息抜きしたところで、普通のアニメの設定からすると
 十分きつい状況には違いないのです。

 あと数年で絶滅する事態になっても、
 策謀・差別・利権・保身で足の引っ張り合いをする人類。
 愚か過ぎますがまたそれも人類。
 
 区切りがいいところで終ってますが、続きがあればぜひ見たいです。

1)物語
 まず、前情報入れずに視聴開始した方…
 開始15分までは地球侵略をたくらむ宇宙人を
 女子がキャッキャウフフでわちゃわちゃしながら撃破していく
 アニメを想像したのでは?

 で1話15分目からがマブラヴオルタの本編です。
 視聴者(プレイヤー)を一気に絶望のどん底に突き落とすこのやりくち
 実にageらしいです。

 人は想定を超える危機に迫ると、感覚が追い付かず
 根拠なく「自分は大丈夫」と思う傾向があるようです。

 ユーラシア大陸がBETAに占拠されていく中、日本は大丈夫と
 根拠なくお気楽に振る舞う姿がリアル。
 そして日本が一気に蹂躙され、なお現実が認識できない。
 恐怖がリミッターを超えたとき人はまともな判断はできなくなる。
 それがちゃんと描かれていて、リアリティが半端ない。
 戦争の悲惨さを淡々と描いています。
 奇跡なんてありません。
 山積みの死の中のほんの少しの生、
 山積みの絶望の中のほんの少しの希望。
 そんな世界の物語です。

 バタバタ人は死ぬし、グロも遠慮なしなので、
 そういうのが苦手な方は要注意です。

 ただ、今作品は決してグロが売りなわけではなく、
 過酷な状況の中で懸命に生きる人たちの物語です。
 覚悟を背に死に行く先人から何かを受け取って、継承していく…。
 命の尊さを感じられれば良いのではと思います。

 世界観、設定はむちゃくちゃしっかりしているので、そこは安心できます。
 興味ある方はマブラヴオルタの設定資料集が販売されていますので、
 見てみてはいかがでしょうか?エロゲの設定資料とは思えないボリュームで
 十分おなかいっぱいになります。
 {netabare}なおこの世界は現実世界の並行世界という設定で
 微妙に歴史が現実世界と違います。
 第二次世界大戦で日本は敗北したものの原爆は落とされてないとか、
 首都が京都のままとか。{/netabare}

2)作画
 ①戦術機の戦闘が超絶すごい
  いや、これすごいです。
  地上戦、空中線、BETA戦。
  リアリティと迫力、両面で半端ないです。 

 ②キャラ
  恐怖の表情、死ぬ瞬間の描写…力の入れようがすごいです。
 
 ③BETA
  原作が電脳紙芝居だったので、実際にBETAがどのくらいの速度で
  どんなふうに動くのか分かりづらかったんですが、
  上手く表現できていたと思います。
  特にタンク級…キモイ。 

4)音楽
 OP 倖田來未 にびっくりしました。
 
 あとage系の作品には欠かせない栗林みな実さん。
 彼女の声を聞くと、やっぱ外せませんよね~と感慨深くなります。
 ED「signs 〜朔月一夜〜」が重厚でよかったです。

5)キャラ
 ①ユウヤ・ブリッジス
  主人公。独断専行型で他人を寄せ付けない面倒くさい奴ですが、
  しだいに成長し、変わっていきます。
  初視聴の際はマブラヴオルタの世界観の中ではちょっと勝手が過ぎると
  印象が悪かったんですが、今視聴するとそこまで酷く感じません。

 ②篁 唯依
  マブラヴオルタの世界観にぴったりの武家の人間。
  この手のキャラが色恋沙汰になると途端に弱くなるのはお約束ですね。
  こういう不器用なキャラ好きです。

 ③ステラ&マカロニ
  小隊の大人組。ユウヤと唯依を大人の視点から適度に転がしている
  感じがにやにや。私もステラさんに転がされたいです。
  
 ④イーニア&クリスカ
  突然人格が変わったり、軍人とは思えない天然だったり、
  オルタを知らない人は「?」と思ったかもしれません。

  アニメでははっきり明言されてませんが、
{netabare}
  キャラデザ的にも多分オルタネイティヴⅢの産物ですよね?
  シェスチナって第6世代という意味らしいです。
  オルタで登場した社霞(本名トリースタ・シェスチナ)の能力が
  心を読み取る能力だったことからも、イーニアの言動が
  そういう能力に基づいたものであることが推測されます。
{/netabare}

6)好きなシーン
{netabare}
 ①京都蹂躙
  誤解なきよう言っておくと、京都が破壊されるのが好きな
  わけではありません。それくらいヤバい状況だというのを
  遠慮なく描き切ったスタッフ陣に拍手を送りたい。
  BETAの危険性がどれだけ高いかをも十分描いていたかと思います。
  BETAって基本数の怖さなんですよね。
  化物語でも、多数決っていう数の怖さを暦が語ってましたが。  
 
  まだ見ぬ脅威と迫る驚異の感覚が合ってないのが見事に
  表現されてました。素晴らしいです。

 ②ユウヤとナタリー、バーで語る 
  ユウヤがちょっと広い視点で物事を見るようになり、
  仲間たちの強さを語り、ナタリーがその理由を話す。
  マブラヴオルタの「継承」という色を強く示したシーン。
  
{/netabare}
 






 

投稿 : 2019/06/02
閲覧 : 994
サンキュー:

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