「天気の子(アニメ映画)」

総合得点
84.0
感想・評価
704
棚に入れた
3029
ランキング
297
★★★★☆ 3.9 (704)
物語
3.7
作画
4.5
声優
3.7
音楽
4.0
キャラ
3.7

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ネタバレ

プラ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

好きか好きでないかでいえば、好き。

「君の名は。」の大ヒットのせいで、世間的に期待値が爆上がりしてしまった本作品。そのせいか、オタク向けの映画なのに異常なまでのスポンサーの数になっている。

さて、映画の方は・・・意外にも、冒頭のシーン+CM で流れているフレーズで映画の内容は 8 割ほど理解できてしまう。でも、だからと言ってありふれた作品というわけではないし、残りの 2 割がそうさせている。


映画の内容を要約すると、結構簡単に数行でまとめられそうな内容だが、ラストのシーンがなかなか印象的であった。ファンタジーとしては面白いけど、SF としてはいまひとつ。でも、この作品を好きか好きでないかと聞かれれば、好きと答える。そんな作品。


~~~~~~~~~~~~~~~~
舞台は雨の降り止まない街、東京。ある日、病気で死期が近い母親を見守っていた陽菜(本作の女主人公)は、ふと外に煌々と光が差し込むビルがあるのを見つける。彼女はそれに惹かれるようにして、そのビルに行き着く。光に導かれるようにして屋上に上がると、そこには鳥居が立っていた。陽菜は晴れを願って鳥居をくぐると・・・眼前に広がったのは空の世界であった。その時、陽菜はその意味を理解していなかったが、鳥居は天と地を結ぶゲートであり、陽菜はその因果に縛られることになる。

本作の男主人公、帆高。離島での生活がイヤになって島を飛び出して、東京まで家出してきた 16 歳。16 歳ということで、働かせてくれるところもない。結局、島から出るときに船で出会った男性に拾われる形で、東京での生活をスタートさせる。男性はオカルトや都市伝説系のライターで、その仕事場兼自宅に住まわせてくれるかわりに、帆高は助手として働くことになった。

母親を亡くした陽菜は弟と二人で暮らしていた。生活費を稼ぐために、陽菜はバイトせざるを得なかったが、まだ中学生ということもあって、帆高と同じくまともな店では働くことができない。そんな状況の中、帆高と陽菜は出会う。そして、都市伝説として話題に上っていた「100 % 晴れ女」が陽菜であることを帆高は知る。陽菜の生活費のため、帆高は"出張晴れサービス"を提案し、スタートさせる。

陽菜は個人的な小さな規模の依頼から花火大会などの大きな規模の依頼まですべて受け、降り止まない雨を短時間だけ晴れにさせた。たった晴れにさせるというだけで、空だけでなく人の気分も明るくすることができることに、陽菜は喜びを感じているようだった。

しかし、昔からの言い伝えでもある通り、自然に逆らって天気を変えてしまう行為は、それなりの代償を伴うものであった。陽菜は薄々気付いていたが、その時は突然訪れる。陽菜はいわば生贄として空の世界へと導かれてしまった、東京の天気をずっと晴れにする代わりに。

突然陽菜を失ってしまった穂高は、家出の件などで警察に追われながらも、なんとか振り逃げて、例のビルの屋上へとたどり着く。そして、陽菜を返して欲しいと強く願って鳥居をくぐると・・・次の瞬間、空の世界へ。そこには、横たわっていた陽菜がいた。地上世界の天気を安定に保つために「人柱」として犠牲になるよりも、地上世界に戻ってきたいと帆高は思いを告げ、それを陽菜は受け入れた。

陽菜が地上世界に戻って以降、東京は今でも雨が降り続け、その何割かは水没してしまった。二人の選択によっては、東京を水没から救うこともできたが、結局、二人はありのままの世界を受け入れた。二人が出会ったことで世界は変わってしまったのではない。世界を変えることはできたが、変えなかっただけである。
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なんとも言えない内容である。SF 映画でもないし、そこまで恋愛映画っぽくもない。何かと問われればファンタジーと答えるだろう。そして、このハッピーエンドなのかバッドエンドなのかモヤモヤする感じは、好きだ。本人たちは幸せだけど、ほかの大多数の人たち(本編で言えば東京に住んでいる人たち)は幸せなのかどうか不明という「曖昧さ」が、この作品の良いところだと思う。


作者が意識したかどうかはわからないが、前作「君の名は。」との共通項があったと思う。それは「災害」である。前作では隕石の衝突・今作では都市水没がそれにあたる。ただ、前作と今作では、その向き合い方が違う。前作では時間軸を超えた少女と少年の二人が協力して立ち向かい、隕石の衝突自体は回避できなかったが、死者ゼロ人という奇跡を生み出した。いわゆる過去改変であり、ここが SF 映画っぽい所以である。今作では、天気との因果を持った少女が、いったんは自らの犠牲("死"ではない)のもとに、降り止まない雨による都市の沈没をまぬかれるが、大切な人たちとの関係を失いたくないという思いで、大水害から東京を救う選択をやめた。たぶん、二つの作品のテーマとは違うのであろうが、救った災害と救わなかった災害と受け取れなくもない。たぶん映画を観た人たちからは、二人の選択は正しかったのか?という疑問が浮かぶかもしれない。一人の犠牲(何度も言うが"死"ではない)によって救われたはずの世界が、ただたた大切な人たちとの関係を失いたくないからという個人的事由によって救われなかったからである。でも、こんなもの善悪の物差しで計れるものでもなく、正しい・正しくないの問題ではない。だって、その二人の選択で世界が変わることに気付いているのは、ごく一部の当事者だけなのだから。前作では、隕石衝突によるは人の生死が関係しているし、また世界を変える本人たち自体は犠牲にならないから、それを回避しようとする方が望ましいに決まっている。しかし、今作では降り止まない大雨によって徐々に進行していく都市の水没であるが、世界を変える本人の犠牲をともなうため、選択のどっちが正しいだとか望ましいだとか、判断がつかない。


今作は一回観れば内容が把握できるくらいの濃さ(悪口ではない!)であるが、君の名は。と比較してみると意外と面白いかもしれない。


p.s.
陽菜ちゃんかわいい!!髪型どタイプ!!!!!

投稿 : 2019/07/21
閲覧 : 193
サンキュー:

10

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