「コードギアス 反逆のルルーシュ R2(TVアニメ動画)」

総合得点
92.9
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14
ネタバレ

聖剣 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

( ゚д゚)ファッ!! からの…

あまりに高い評価のレビューばかりで
生来の天の邪鬼気質から
モーレツに批判したくなる気持ちをグッと抑えて
できる限り適正な評価を下すと

悪くはないが、ソコまでじゃない

やっぱ批判するんじゃないか!って思うかもしれないけど
一応それなり理由があるので説明したい


まず、
作品の評価において
『良し悪し』と『好き嫌い』は似て非なるものと考えており
好き嫌いを優先しすぎて、
作品の本質を見誤る傾向が無いように先に整理しておく
例えば
キャラデザが好みじゃないとか
人間離れした頭身バランスがダメだとか
ロボットアニメなのにロボットが目立ってない、
しかもそれほどカッコよくないとか
リアリティの感じられない世界観だとか
OPにFLOW?お前はエウレカだろ!とかは
概ね『好き嫌い』の方に分類されるので対象外
つまり
あまり好みじゃない類みたいだ(笑)

それを踏まえて
{netabare}論点は、ストーリー展開とキャラクターのあり方としたい

たぶんリアタイで見ていた人はきっと
二転三転する展開に毎週ヤキモキしながらも楽しみだったに違いない
一方、
一気見した人は、激しく入り乱れる展開に、
止めどころを見失って徹夜してまで見続けた人もいるんだろう
逆に、早い展開に見ていて疲れてしまった人もいるのでは?
この作品の魅力はまさにソコで
早い展開で状況が変わり、息をつく暇もないところにあって
次から次へと予想もつかない展開にワクワクさせられたんだろう

実はここが重要で
この早い展開は、視聴者を飽きさせない仕掛けであり
細かな部分に気を止める前に次の展開に移行してしまう
逆に
この展開に乗り遅れてしまうと
話に入って行けず
置いてけぼりを喰わされてしまうといった状況がありえるでしょう


もっと掘り下げて見ると
{netabare}
① ○○なく展開するストーリー
② ○○としてのキャラクター

の2点

まず①のストーリー展開について
{netabare}こういった知的戦力を謳う話において重要なのは
首尾一貫とした整合性が求められるだろうが、
過剰に前後関係に囚われすぎると
予測の範疇を逸脱することが無く驚きが少なくなってくる
つまり、面白くないってこと
要は、少しくらい矛盾したって構わない!
多少なり『論理の飛躍』があってこそ面白くなるってことだよ
これはアニメらしいケレン味と言い換えても良い

本作において、その『飛躍』は…十分に足りている
じゃ、何が問題かって言うと、『飛躍』し過ぎている点だ

具体的に言うと
飛躍そのものは過不足無く「ほどよい」跳躍の距離感なのだが
なにせ回数が多すぎる
そして、
このストーリーには伏線らしきものがほぼ無い
ルルーシュの復讐達成という大きな命題があるものの、
個々のエピソードにまつわる謎はだいたい1,2話で答えが判明している
つまりそれは、
各話の完結性を高めることで分かり易さを獲得し
物語全体では、切り替えの早い展開で飽きさせない仕掛けになっていると考える

じゃ、何が悪いのか?

物語全体を掛けて解明するような大きな伏線に比べ、
数話単位で完結してしまう謎には薄っぺらくインパクトが弱い
それが繰り返されると都合の良さばかりが際立つ
通して見ると、それがより顕著に感じるだろう
また
この作品の特徴でもあるが
事前に知り得たであろう情報が唐突に出てくることが多く、
これがまた取って付けたように感じてしまう
例えば
スザクの出自やシャーリーの親が軍人であること、
皇位継承権をもつ兄弟たちの存在、
ナイトオブラウンズなどという直属の騎士の存在、
周辺国や反乱分子の存在と動向や
新兵器の登場が該当していると思っている

展開が早いがゆえに気付かずやり過ごしてしまうが
一気観することで、皮肉にも
1話1話を盛り上げるために行ったことが付け焼き刃に感じ
逆に裏目に出ていると感じてしまった


①に入る答えは『{netabare}脈絡{/netabare}』
個人的にこの物語の展開に深みがなく、
「あぁ、これじゃ何でもありぢゃねぇか」と思ってしまったのがマズかった
{/netabare}

次に②のキャラクターについて
{netabare}他の方のレビューにも言及されているが
主人公ルルーシュの数奇な運命にシンパシーを感じる声が多い
一方で
その親友スザクには少々辛辣なコメントが目立つ

この傾向については自分も概ね同意できるが、
私にはルルーシュが最後まで魅力的であるとは思えなかった
この根拠については
当初、「あぁ、たぶんデスノートみたいにしたかったんだな」って勝手に解釈して
少し軽率に扱ったのも起因している

この程度はミクロな視点で
物語を読み解くに連れ、行き着いた答えには自分自身で納得している
それは
ルルーシュを取り巻くキャラには一定の法則で動いているということ
もっとわかりやすく言うと
ルルーシュ、スザク、カレンを除く全てのキャラクターは
人格を有しない舞台装置として存在していると思っている

分かり易い例としてユーフェミアがいる
彼女の存在はルルーシュとスザクの友情に亀裂を入れ
深い信頼の裏返しに起因する憎悪から物語は加速的に進んでいく
そのキッカケのためだけに存在し
そしてタヒぬまでが彼女の役割だ
また
ロロ、ディートハルト、ヴィレッタあたりは
常に寝返る要素を含んだ不安要素として
ルルーシュを取り巻く物語の緊張感を高める役割を成している
その他、
例を挙げれば切りがないが
各キャラを整理してみると、行動原理は極めて単純で分かり易い
まるでそれは、
ボタンを押せば同じアクションを繰り返す機械人形のようにも見えてくる
キャラクター(人格)というよりツール(装置)だ

ただ
それだけで物語が成立するほど簡単ではない
主人公ルルーシュが立ち向かう出来事に対し
脊髄反射の返答をする人形たちだけでは不都合な状況は必ず生まれる
そこでスザク、カレンの登場だ
彼らはその不都合なギャップを埋めるように行動し物語を成立させていく
都合よく使われるからこそ、
あのスザクの虚ろなキャラクターが出来上がる
前述の彼の評価が低い理由にも一定の理解が及ぶだろう
つまりキャラがブレブレなんだ
同じく、
カレンも同じ位置づけと考えており
同様にギャップを埋めるべく都合よく使われている
ただスザクほど物語に大きく関与しているわけではないので
それほど目立ったヘイトは稼いでいないが、
ゼロに心酔する経緯は良しとしても
日本人とブリタニア人とのハーフであることや
いつの間にかルルーシュに好意を抱いていくあたりは
都合良すぎる存在である論拠と思ってしまうのだ

よって②の答えは『{netabare}舞台装置{/netabare}』だ{/netabare}
{/netabare}

とまぁ長々と書き連ねたものの
客観的には関連作品を含めとして成功しているので
私のように素直に「面白い!」って言えないのは不幸なんだろうw
それに
ただ単純にエンターテイメント作品として見るだけでなく、
戦中戦後の日本の歩みを下地にしたと思われる各エピソードを
歴史教材として読み解き
太平洋戦争や全共闘、赤軍派等の、激動の日本史について
改めて知る機会として捉えても面白いのでは?と思っているが、どうだろう
{/netabare}

投稿 : 2019/08/17
閲覧 : 290
サンキュー:

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