「荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)」

総合得点
79.7
感想・評価
602
棚に入れた
2244
ランキング
482
★★★★☆ 3.8 (602)
物語
3.8
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.8

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ネタバレ

はあつ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

「どうしてみんなアレを・・・そんなのって、イヤーっ!」

浮かび上がるタイトルに煽られるように発する乙女達の性的衝動。
オープニングの出鼻だけで釘付けにされるほど心を揺さぶられたのは初めて!
結果的にその歌と映像に、作品のストーリーと演出の方向性が全てつまっていたと言えます。

《ストーリー》

ほとんどのメンバーが、どちらかと言うと地味でオクテな文芸部の女子高生5人。
早ければ中学生で男子同士、女子同士でセックスを話題にキャッキャウフフと盛り上がるところを、高校の部活動をきっかけにようやく性を意識。
そこに初恋が重なるもんだから、突如と迫る性のリアルにパニクるところが面白い。
ラストまで性を意識しながらの恋の葛藤が赤裸々に描かれます。

こうした思春期の性と恋をテーマにした作品は珍しくありませんが、1クールのアニメ内で5人もの女の子にそれぞれ男キャラを対応させ、ほぼ同時進行で全員の個性的魅力を引き出せてるのが凄い。
あれだけ多くの生々しい心情の変化を、毎話巧妙に絡める緻密な脚本は、数多の群像劇を作り上げてきた岡田麿里さんならではです。

一人一人の陰と陽の感情の波をずらしたり、シリアスとコミカルな演出をテンポ良く織り交ぜる事で、視聴感が重くならないよう各話とも軽快なバランスをキープしつつ、最後に爽快感が沸き上がる気持ちのよい青春劇でした。

《作画》

体のラインを強調しないふんわりとしたキャラクターデザインと、全体的に淡く柔らかな作画で、結構エッチぃ描写でもエロくなり過ぎず、さらりと見易い。
性を題材に下ネタを織り混ぜてても下品に感じず、あくまで青春物としての爽やかな雰囲気を出せてます。
1話と最終話は背景を含め特に高クオリティで、全般的に登場人物の感情表現はしっかり描けてて、キャラ達と一緒に一喜一憂出来ました。

《音楽》

OPは言うまでもなく最高ですが、麻倉ももさんのEDも少女漫画っぽくて可愛らしい。作品を毎度爽やかに締めてくれました。
そして挿入歌もイイ!
1話のトレトレは歌詞が描写にハマり過ぎて自分の世代的にも最高の選曲♪ただ10代20代の人達にはどうだったのかな?
8話のチコハニの曲も、作品中屈指の胸キュンシーンを盛り上げてくれました。

《声優さん》

皆さんイイ演技でしたが、一番頑張ってたと感じたのは小野寺和紗役の河野ひよりさん。
嬉し恥ずかしの表現が生可愛く今回初主演(今期「ソウナンですか?」も主要役で出演)とは思えない上手さ。今後注目の声優さんですね。

もうお一方は私のお気に入り、黒沢ともよさん。
本郷ひと葉の個性を際立たせる演技は彼女ならではのもの。
私だけかもですが、黒沢さんの声ってアニメ声というより身近にいそうな地元声って感じで親しみが持てるんですよね。そんな親近感ある声と俳優で培った演技力で2次元キャラにリアルを感じれるのが好きなんです。
今期は「彼方のアストラ」でも演じられてましたが、個人的にはSFより日常の現実的な役柄が似合うと思います。

《キャラ》
以下はネタバレ感想です
{netabare}
「和紗」

私の本作一番のお気に入りキャラ。
強烈インパクトの1話の爆走はもちろん大爆笑でしたが、11話、菅原氏との「友よ」に、もーちんが絡んで不穏な雲行きになるのかと思ってたらまさかの再爆走!あまりの意外さに仰天の笑いでした♪
好きな相手から(悪気はないとはいえ)ヒドイことを度々言われますが、感情の切り換えが軽妙で彼女の陽性な純朴さが作品全体に明るさと和みをもたらしてました。
特に8話と最終話、菅原氏と泉の関係にショックを受けながらもすぐに前向きさを見せるのが好ましかったです。

「おそね部長」

イイ男に見そめられた一番のラッキーガールでしたが、容姿でからかわれたトラウマが充分に伝わったので彼女の幸せには素直に喜べました。
イメチェン後の容姿は天城くんだけじゃなく私も好み♪
作文添削やキャンプファイヤーの二人には年甲斐もなくキュンキュンさせられました。
貞操観念が強く潔癖症で男女交際に最も否定的だったのが、真っ先に彼氏持ちとなりお花畑のアリスちゃんに変貌。
自分も童貞時は性経験を自慢気に語る友人に「俺は彼女できたら一生一穴でいいんや」などと純潔一筋をうそぶいてたけどアレを知れば世界観が変わりました。(チョッと違う?)

「ヒトト先輩」

見た目と行動に最もギャップがあり一番アニメ映えするキャラ。
過激な行動にワクワクさせられましたが、ミロ先生の立場なら自分も同じ反応だろう・・(でも公園のゴミ箱からは部長に代わりお持ち帰りしたい~コラ)
ラストの語りはデビュー小説だろうか?

「菅原氏」

クールビューティーな魔性の娘。
和紗も陥落のデレた時の破壊力は凄まじく、一人だけ短いスカート丈は満員電車に乗車禁止です♪
ロリコン演出家に見初められたのは不幸だったかもしれないけど、鼻毛に白いのが混じる私としてはあのパンチ力にビビりました。

「もーちん百々子」

他の4人と進行上のバランスをとるために唯一、陽から陰へと闇落ちさせられた不幸な女の子。
最初に絡んだ男がチャラ男でなく、ミロ先生なら体型的にうまくいって男嫌いにならなかったかも?
とは言え元々百合気質を持ってたかも知れないので、ラストの改札シーン、菅原氏と恋仲になれたと見てあげるのもあり♪

《最後に》

終盤の学校立て籠り時は、これ、あと1話で話を畳められるの?と不安視しましたが、最終話もあくまで教師陣は滑稽に仕立て、深刻にする事なく軽妙に解決させる巧い纏め方に大満足!
校舎の横断幕で鮮やかに色づき、部室で燃え尽きて眠る乙女どもの美しさには鳥肌が立ちました。

そんな訳で本作、
私のあにこれお気に入り棚に、今年観たアニメ作品で初めて・・

   「入った♪」{/netabare}

投稿 : 2019/09/23
閲覧 : 308
サンキュー:

34

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