「放課後ていぼう日誌(TVアニメ動画)」

総合得点
79.1
感想・評価
448
棚に入れた
1576
ランキング
513
★★★★☆ 3.7 (448)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

タック二階堂 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

動画工房が放つJK釣り部の日常系アニメ。

詳細は公式でも。

海沿いの田舎町に引っ越してきた陽渚は、ひょんなことから先輩の悠希と知り合い、海野高校ていぼう部に入部することになってしまいます。もともと手芸が得意な陽渚ですが、手芸が得意とかしゅげー!
ちなみに聖地は熊本県芦北町あたりと予想します。海浦という内海かしらね。水俣市の少し北で、八代に近いあたりじゃないかと。

で、生き物が苦手な陽渚ですが、幼なじみの夏海や、物静かで優しい真先輩のいるていぼう部で、釣りをやることを決めます。初回は小アジををたくさん釣って、天ぷらにして食べました。ゆるい釣り日常系アニメですね。

劇伴が特にそうですが、かなーり「ゆるキャン△」を意識している印象ですね。

制作は日常系アニメを作らせたら右に出る者はいない安心安定の動画工房です。前々期の「恋アス」は、僕は合いませんでしたが、人気はあったみたいですし、前期のもう1本、「イエスタデイをうたって」も作画に関しては非の打ち所がない出来。京アニの完全復活までは、動画工房が業界を牽引していくことを期待したいですね。

もちろん、この作品も言うことなし!
さすがとしか言えません。当然、継続視聴です。

=====第2話視聴後、追記です。
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本格的に「ていぼう部」に入った陽渚。夏海と一緒に楽しく釣りをしていきますよ。

今回はキャスティングの基本を教えてもらいます。
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というお話。

2話でストーリーが本格的に動き出して、さらに面白さにブーストがかかってきましたよ。

作画も丁寧で素晴らしいです。
キャラデザも、原作を上手にアレンジしつつ、動画工房らしい可愛らしさを実現しています。

声優に歌わせているOP、EDですが、曲が良い。作風に合ったキレイなメロディですよ。
{/netabare}
※新型コロナの影響で、次の3話まで放送したら、延期されるそうです。いつになるか未定だそうで、号泣していますよ……。

=====第3話視聴後、追記です。
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ちゅうこって、新型コロナの感染拡大の影響で夏アニメに延期されていましたが、ようやく待望の放送再開。仕切り直して1話からのリスタートです。
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ていぼう部の活動も本格始動ということで、隣の亀が浜でマゴチを狙おうということに。

ジグヘッドとワームを、ぎゃんしてぎゃんして、こぎゃんして仕掛けを作って、マゴチに悟られないように動かして喰いつかせるという部長からのアドバイス。しかし、釣れるのはゴミばかり。

と、そんなとき、陽渚の竿にヒットが!
大型の魚が怖い陽渚は、いったいどうする!?
{/netabare}
というお話です。

部長の熊本弁がツボりますw
リアカーに乗せられた陽渚と夏海の面倒を見る大野を見て一言。「野良仕事帰りの子連れ親子んごた」には爆笑しましたw

そして、この作品の白眉なところは、{netabare}見事マゴチを釣り上げた陽渚に、トドメを刺すように指示する描写{/netabare}にも表されていますが、釣った魚の命をいただくというのは、釣り人としての責任ということをちゃんと教えているところです。

スポーツフィッシングとかいって、キャッチアンドリリースしたり、人によっては釣り上げた外道の魚をそのへんに捨てる輩も多いマナーの悪い釣り人が多いです。立ち入り禁止の場所で釣ったり、終わったら仕掛けを捨てて帰るなど、とかく釣りをする人は自分勝手な連中が多いわけですが、そういった民度の低い釣り人に警鐘を鳴らし、マナーを啓蒙するという意図が強く感じられる作品です。

ようやく待ちに待った話の続きが観られるのでワクワクしていますよ。
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====第4話視聴後、追記です。
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帽子もヤッケもない陽渚は、ていぼう部のみんなと電車に乗って、町の釣具店に買い物に行きます。でも陽渚が望む可愛い色やデザインのヤッケは、Chumsをはじめ高いものばかり。おこづかい前借りした1万円では、とても買えません。

そんな時、半額セールの可愛いペンギンマークのついたピンクのヤッケが、9,000円になっていました。陽渚は帽子を諦めて買うことにします。でも、帰りの電車で夏海から、なんと欲しかった帽子がプレゼントされます。ていぼう部みんなでお金を出し合い、陽渚にプレゼントしてくれたのです。

Bはイカ釣り。エギというエビを模したルアーで釣ります。しかし、誰にもアタリが来ません。もう引き上げようかという時、イカが泳いでいるのを発見。陽渚も夏海も狙いますが、見向きもされません。そこで大野先輩がエギを投げ込むと……。
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というお話です。

待ちに待った放送再開ですね。延期の影響を感じさせない安定感抜群の作画。ストーリーも、ほっこりする素敵な話でしたね。

延期やらなにやらで、思いのほか多士済々となった今期ですが、トップ争いできる良作。期待しかないですね。
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=====第5話視聴後、追記です。
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いつものていぼう部。今日は何する?
黒岩部長が言い出したのは「潮干狩り」!

というわけで、4人で干潟に行きますよ。アサリとかハマグリは漁業権があるので、勝手に採ってはいけません。漁協が無料開放している干潟で潮干狩りしますよ。

干潟はドロドロ。汚れたくない陽渚ですが、夏海が悪ふざけで泥をなすりつけようと追いかけます。そして、ぬかるみで足が抜けなくなって、結局ふたりとも泥んこになってしまいますよ。そんな時、陽渚の足に何か当たります。なんと、なかなか採れないハマグリでした!

Bパートは採ってきたアサリやハマグリを酒蒸しにしたり、七輪で焼いて食べようということに。ところが、そんな時に聞き慣れたピックアップトラックのエンジン音が。なんと顧問の小谷先生が登場です。一見やさしそうな保健の先生ですが、はたしてどんな顧問なんでしょうか。
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というお話です。

背景美術の美しさに、動画工房の日常モノキャラデザがしっかり噛み合って、作画は本当に素晴らしいですね。キャラの表情もすごく丁寧に描かれて、とても魅力的です。

顧問の小谷先生は、まるで「ゆるキャン△」のぐび姉のようです。楽しい新キャラが加わって、面白さが加速しそうですね。

嫌なキャラが誰ひとりいない、ストレスフリーの完璧な日常アニメです。それこそ「ゆるキャン△」レベルのムーブメントになってもおかしくない作品だと思います。が、やっぱり、なんとなく女子受けはしなそうな作りかなって。「ゆるキャン△」は、これに女子が好きそうな「おしゃれ」が加わっているからかな。
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=====第9話視聴後、追記です。
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今回は、Aパートでは海に落ちたときの救命について学びます。着衣で水に浮く方法と、救命胴衣の重要性などをプールで実習しますよ。なんと、さやかちゃんは大学時代にライフセーバーのバイトをしていて、資格も持っているという。泳げない、水が怖い大野先輩も、この最新救命胴衣があれば安心ですね!

Bパートでは、釣り糸が足に絡まったアオサギを助けるお話。釣り人が捨てていった仕掛けや糸などが足に絡まって、怪我をしたり命を落とす野生動物は多い。もちろん、すべての動物を救う活動は大掛かりすぎて簡単にはできないですが、陽渚たちはとりあえず見てしまったアオサギぐらいは救いたいという気持ちで捕獲し、無事に仕掛けを取ってあげます。

怖い思いをしたアオサギは、もう釣った魚を狙いに来ないだろうと思いましたが、まんまと次に日にもやってくるタフな奴でしたw
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というお話。

今回は、海で釣りをすることの怖さと、責任というものを啓蒙する内容でした。この手の話はさんざん議論されてきたわけですが、それでも凝りもせずに海や川で水難事故に遭うニュースは毎年、夏になるとありますし、釣り人のマナーの悪さは恒常的に言われ続けてきて、今年も立入禁止の場所に鍵を壊して夜釣りする輩が報道されていましたね。これもう、釣り人がマナーが悪いのではなく、人間は放っておくとマナー違反を犯す生き物だということでしょう。

この作品の上手なのところは、ややもするとこういった内容の話ってお説教臭くなってしまいがちなのに、ちゃんとコメディとして成立させていること。さすが水産庁推薦アニメw

テーマがしっかりしているので、話の軸がブレず、しかもキャラが活きているのでメインの釣りではない今回のような話でも面白く観られるのではないかと思います。しかも、ギャグ一辺倒ではなく、環境問題と大きく捉えるほどではないけど、陽渚のやさしい視点と、それに同調するていぼう部のメンバーのやさしさが溢れた素敵な話でした。
{/netabare}
=====第11話視聴後、追記です。
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いつものように堤防で釣りを楽しむ陽渚と夏海。と、陽渚のウキが沈んで、釣り上げたのはバリ(正式名称はアイゴ)という、ヒレに毒があって、しかも臭みのある魚。夏海は美味しくないからと陽渚にリリースさせてしまいます。

それを見ていた黒岩部長。「なんしよっとか。バリはめっちゃうまかぞ。大野、1年に教えてやれ」とのことで、大野先輩がバリの捌き方を伝授。刺し身で食べたら臭みもなく美味でしたよと。

そして、晩ごはんで食べたキスの天ぷらが美味しくて感動した陽渚は、ていぼう部の面々にキス釣りがしたいと提案。しかし、なぜかみんなは乗り気ではなく……。その理由は、キス釣りに使われる餌が陽渚の苦手な青イソメだったからでした。さて、陽渚は無事にキス釣りを楽しむことができるのでしょうか。
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というお話。

ラス前に来て、ここまで1話完結だったストーリーに初めて前後編が設けられました。

初回からずっと一貫して、作画の素晴らしさはキープしてきて、しかもストーリー展開がサクッと楽しめる日常系アニメでありながら、釣りをする際のマナー啓発や海釣りにおける安全対策、そして何より釣りの魅力を存分に見せてくれています(次回の全話まとめで書けばよかった……)。

そして今回、ここまでビギナーズラックで狙った魚を簡単に釣り上げてきた陽渚に大きな試練が立ちはだかります。いわゆる「坊主」。青イソメが苦手だからと、疑似餌の「パワーイソメ」を使ったわけですが、虫餌で釣っていた夏海や黒岩、大野がどんどんキスを釣り上げているのに、疑似餌の陽渚はさっぱり釣れません。

「やっぱり虫餌じゃないとダメなんだ。私にはキス釣りは無理だ」と諦めかけた陽渚に、黒岩部長が「釣れんかったとは、たぶん疑似餌のせいじゃなかとぞ。疑似餌は疑似餌の釣り方があっとじゃなかかな。なんで釣れんかったか、自分なりに考えてみ。で、明日また釣ってみればよかたい。虫餌は使い切ったけん、私らも疑似餌やね」と優しくヒントをくれるんです。

釣りは大袈裟な言い方ですが、魚の命がけの抵抗に向かっていくこと。簡単に釣れるものではないし、それに勝つために自分なりの方法論や創意工夫を凝らすことで、釣果が得られるということなんです。ここまで、すべて受け身で部活をしてきて、自発的に何かアクションを起こそうとする陽渚に、ていぼう部のメンバーは優しく背中を押してくれるのです。これが陽渚の成長へとつながる。地味な回に見えるかもしれませんが、このラス前が次回の最終回に大きく効いてくる予感がします。

新型コロナで放送時期が春から夏へとズレ込みましたが、今期でも文句無しでトップクラスの良作です。さすが動画工房としか言いようがありません。
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=====最終話視聴後、感想です。
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前回の続きから。

キス釣りが上手くいかず、坊主だった陽渚はネットで疑似餌によるキス釣りのコツなどを情報収集します。そして、決定的な違いを知った陽渚は、ていぼう部の面々とキス釣りのリベンジを果たすために砂浜へ。

とりあえず、疑似餌を少し長めにして、虫餌と同じように動かすことでアタリが来ますが、ヒットとまではいかず落ち込む陽渚。そこに麦茶を持って励ましに来る夏海。ネットの情報をまんまやるのではなく、工夫することが大事。そこでYouTube動画との決定的な違いである釣り上げたキスのサイズについて気づいた陽渚は、疑似餌を少し短めに切ることで、ついに念願のキスを釣り上げることができました。

そしてBパートは、陽渚が手芸部に未練はないのかと夏海に聞かれ、手芸は趣味でもできる。釣りも楽しい。それに手芸部には男子しかいないので怖い。ということで、みんなに魚のフェルトぬいぐるみを作ってあげて、これからもていぼう部の活動は続くENDでした。
{/netabare}
というお話です。

新コロの影響で春アニメからスライドした本作でしたが、万全の準備をしてきただけあって、作画は文句のつけようがなく、ストーリーも1クール12話を非常に上手に使ったいい作品だったと思います。

釣りのアニメと聞いて、どんなイメージを持ちますか?

いにしえの名作「釣りキチ三平」が頭に浮かぶように、少年マンガで釣果を競う作品がイメージされるかと思います。まあ、この作品の場合、サムネがあんな感じなのでスポーツフィッシング要素はないだろうなと予想はされていましたが、フタを開けてみれば高校の「ていぼう部」メンバーによる、ゆるい釣り日常アニメといったものとなっています。

出だしこそ、黒岩部長の悪巧みによって陽渚がタコを釣り上げ、下半身に入ってきそうになるという微エロなシーンでスタートしましたが、基本的にはそういった要素は5話の潮干狩り回で、陽渚と夏海が泥から足が抜けなくなって悪戦苦闘している際、夏海にジャージのズボンを脱がされて水玉パンツが丸見えになるシーンぐらいなものです。日常系でありがちな、テコ入れの水着回などもなく、基本はちゃんと釣りやっています。

ただ、釣りだけにとどまらず、海で遊ぶための安全面やマナー面について、きちんと啓蒙しているところは、さすが農林水産省のお墨付き。ゴミは持ち帰る。魚は釣ったら食べるといった、リアルの釣り人が聞いたら耳が痛くなるような当たり前のマナーをちゃんと教えてくれるのは良かったと思います。しかも、それが変にお説教くさくならず、軽めのコメディとして浸透させようという意図がしっかりしているため、嫌味にならないんですね。

背景美術の美しさは、さすが動画工房。そして、キャラデザの処理も見事です。原作のイメージを損なわず、それでいてアニメ化に向けて可愛らしさをアップさせているのは、これも日常系アニメに高い実績を持つ動画工房ならでは。CVもキャストそれぞれ、イメージ通りの配役でした。

そして、意外なことにキャストが歌ったOPEDが、どちらも耳に残る良曲だったという点も見逃せません。最近のアニメ作品は、本編に出ていない声優シンガーに歌わせたり、キャストが歌う場合には予算の関係なのか、カバーということも多いのですが、どちらも書き下ろし。キャストが歌うことで、作品のイメージとリンクして相乗効果で作品が良い感じになっています。このへんは、テーマが違いますが「けいおん!」のやり方と同じで、ハマれば作品自体が楽曲も含めて印象に残るいいやり方だと思います。

ただ、これは言ってもどうにもならない話ではありますが、基本の設定がベタな日常系アニメなので、量産型と受け止められてしまう点。「ゆるキャン△」「のんのんびより」「ヤマノススメ」などなど、エッセンスがちょいちょい似てくる作品が過去にたくさんあるので、釣り+JKというテーマは目新しいものの、新鮮味に欠けているというのが難点かもしれません。

もうひとつ。キャンプは意外と受け入れやすいと思いますが、さすがに釣り、しかも海釣りはハードルが高い。視聴者が漁港の近くに住んでいるならまだしも、長野とか埼玉など海無し県に住んでいる人だと、ほいほい海に釣りに行くという気にはならないかと。そのへんが、この作品が「ゆるキャン△」ほどの社会現象にまではならなかった要因だと思います。

ついでに言えば、前も指摘しましたが、「ゆるキャン△」はJK+キャンプ+おしゃれが組み合わさって女性ファンも増えたわけですが、この作品は釣りのときも制服。まあ、学校のシーンが極端に少ないから、JKであることを表すために部活動中だからという理由をつけて制服なわけですが、これがどうしても萌えオタ向けに見えてしまう。このへんは制作側も、どこにターゲットを絞るかで苦慮したところかと想像できます。で、まあ女子受けは無理だろうと。なら、得意分野である萌えオタを取り込む方向でいいという判断だったんじゃないかと思います。

とは言え、観ている側としては面白ければ何でもいいです。作品としてのクオリティが非常に高く、満足度の高いアニメだったと思います。2期も作れる終わらせ方だったので、豪雨で自宅が被災した作者の方の環境が整い、ストックが貯まるまで待ちたいと思います。
{/netabare}

投稿 : 2020/09/23
閲覧 : 410
サンキュー:

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