「イノセンス -INNOCENCE(アニメ映画)」

総合得点
75.9
感想・評価
766
棚に入れた
4230
ランキング
744
★★★★★ 4.1 (766)
物語
3.8
作画
4.4
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.0

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ネタバレ

waon.n さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

少女の慟哭、バトーの見つめる先は

 犬って良いですよね。いや、猫の方が好きだったりするんですが、まぁ動物って良いですよね。昨今ではあつまれ動物の森がとても流行っていますが、動物や植物という自然と触れ合うというのは何とも良いものですね。
 …たとえゲームという仮想空間でも。

 この作品には純粋な人間が出てきません。今まで唯一の人間だったトグサも電脳化してしまい脳の一部が機械となってしまった。
 まぁツッコミとしては子供が出てきてるじゃんって所なんですが、子供はまだ人間になれていない存在だと作中で語っております。私の個人的な意見はここには不要でしょう。
 押井守はこの作品で見せたかったもの、いやもしかしたら自分自身が見たかったものを作りだしたのかもしれない。それは人形=機械の生きる世界。人間と機械の差別が曖昧になりはじめた世界では人であるというアイデンティティーは希薄になりはじめる。
 情報社会の行く末に人間の脳はその情報量にのまれてしまいこのままでは処理しきれない。そこで外部記憶や電脳化によってそれを克服しようという流れをこの世界観は持っている。
 引用を多用している理由もそこにあって、外部記憶という装置を使っている。そしてその電脳の恩恵によって会話が成立していて、この物語は機械が作り出している事を暗に示している。だから内容なんて基本どうでもよくて、演出としてある引用なんだと私は受け取っている。
 まずはここをおさえた上で見なければこの映画の中から物語を抽出することは難しいかもしれない。
 しかし、一回見ただけで感じろというのも中々酷な話でしっかり視聴者を置いてけぼりにしている。でも、初見でこれスゴイなと感じた人は多分2回か3回は見るんじゃなかろうか、その上で発見する事もできるだろうと思う。
 前作も見ていないと分からないし、好きな人には刺さるけれど、この作品が初めての攻殻だとしたらちょっと難しいですな、でも惹きつける魅力はあると思うので、ハードSFの世界観に圧倒されずに、飛び込んで欲しいな。そしてSFをもっと流行らせていこうぜ。
 ちょっと話がそれましたね。
 
 少女は叫ぶ、{netabare}「だって私は人形になりたくなかったんだもの!」{/netabare}ものすごいよね、何がって? このセリフが彼女のエゴに聞こえるってところが凄いんだよね。
 リアルではつまり視聴者の世界観では人形と人間だったら疑いようもなく人間の方が大事でしかも子供なんて保護の対象になるはずなんだよ。でもね、バトーは言うんだ。
{netabare}「人間の事じゃねぇ、魂を吹き込まれた人形がどうなるか考えなかったのか」{/netabare}って。
 多分ここで二つに分かれる。
 物語に入れているか、、そうでないか。
 バトーの言い分に理解を示してしまったあなたはもうこの世界の住人です(笑)そうはいっても私は最初はちょっと何言ってるんだこの子が可哀想じゃんってなってたけれどね。

 これはバトーの物語でバトーの視点なんだよね。だからこのセリフに共感できるかどうかはすごく大事だと私は感じるんです。
 ラストシーンでバトーの見つめる先にはトグサの子供ではなく、それを抱える人形に向いている。見つめる先に少佐を感じるのか。また自分達の生末を感じているのか。彼の義眼にしか見えない世界を私は想像し、SFを存分に私は楽しんでいます。

投稿 : 2020/05/31
閲覧 : 254
サンキュー:

6

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