「エスカ&ロジーのアトリエ~黄昏の空の錬金術士~(TVアニメ動画)」

総合得点
61.7
感想・評価
475
棚に入れた
2631
ランキング
5158
★★★★☆ 3.3 (475)
物語
3.1
作画
3.3
声優
3.4
音楽
3.4
キャラ
3.4

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ネタバレ

どどる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

荒廃した世界の再生

雑と言えば雑で、ゲーム原作の悪いところも出ているアニメです。
ところどころ重大な問題を「ここは流れで」という感じで違和感をサクっと流してしまう部分があり、減点で見るタイプの人、減点してしまう気分の時は乗り切れないであろう作品。
ゲームだと自分のプレイで埋まる部分のシナリオの空白のいくつかがうまく補完できなかったのかなという印象。
もっとアニメに最適化した流れが作れていれば一段上の作品になったという余地はあります。

ジャンルでいうと終末ものの中でも特に「心地よい破滅」がピタっとはまる作品で、世界全体は楽観できる状態ではないが、主人公たちの生存圏は直接的にはおびやかされていないという世界観。
しかし、破滅に任せるでなく再生を目指して生活を営んでいるのが特徴です。

良いところは、作中で荒廃した世界が提示されていること。
街をちょっと出ると砂漠や荒れ地になっていて、そういう場所を通る場面があるので、荒廃した世界と小さな社会の実感をともないます。
また良いのは、そういう世界で暮らす人たちがけっして荒れていないこと。
持続性のある方法で土壌を改良しようとしていたり、個人がそれなりに夢を持ったりしています。
破滅と再生は素晴らしいテーマですが一度破滅する必要から話が重くなりがちです。
エスカ&ロジーのアトリエは破滅を世界の方に委託していて「キャラクターに今まさに差し迫っている破滅」は無いので重さが緩和されていて、再生のストーリーの心地良さも持っている。
お得!

細かい話で特に気に入ったのは、
{netabare}
リンゴ園が重要な部分をになっていることです。
主に6話と12話でリンゴ園の話が上がってきます。
一本の苗木から始まったリンゴ園が少しずつ広がっているということに作中時間の流れを感じますし、確かな再生を感じるのが心地よい。
スケールの大きさを表現する終盤も具体的に何百年と言わずに「一本の苗木だったリンゴが、大きなリンゴ園になるまでの時間」というばくぜんとした表現が使われているのはとてもポエットです。

また他に良いことは、主人公2人はもちろん、登場するすべてのキャラクターがぜんいん異なる目的を持っていることです。
これは私にとっては超重要なことです。
人間それぞれ違うことを考えて生きていて、仲が良いあの子にも私の知らない友達がいるし、私の知らない生活がある。
同じような目的を持っている仲間を見つけたとしてもその強度が違うのが当然。5を目指す人間と10を目指す人間では生き方も変わってきます。
そして、そういうバラバラで当たり前の人たちの目的が一致する瞬間というのがカタルシスで、エスカ&ロジーのアトリエはまずまずそれを満たしていました。

その瞬間のあと、エスカはコルセイトの町を維持し良くしていくのが目的で、ロジーには飛行船の開発をしたいという目的があってそれは中央でやることだから、同じ場所にいてはおたがいの目的には叶わない。
目的のために1つになった仲間が、また目的のために別れてゆく。
こういうの好きです。
{/netabare}

投稿 : 2020/12/11
閲覧 : 315
サンキュー:

5

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