「まえせつ!(TVアニメ動画)」

総合得点
57.1
感想・評価
117
棚に入れた
293
ランキング
6929
★★★☆☆ 2.7 (117)
物語
2.4
作画
2.8
声優
2.7
音楽
2.8
キャラ
2.7

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ネタバレ

TaXSe33187 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 2.0 作画 : 2.5 声優 : 2.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

テーマにあわないテンポの悪さ

漫才コンビとしての成功を目指す女の子たちの話かな?
タイトルの感じ的に前説として下積みをこなしていく、あるいは前説としてでも観客の前に出たい!みたいな感じだと思う

2話視聴
{netabare}設定の性質上漫才パートが面白くないのは当然だし、その滑った空気感をちゃんと描くというのは成功していると思う
ただ、日常パートの部分すらテンポが悪く、『アニメとしての』魅力が感じられないのが問題

会話のセリフがいちいち妙に説明的で、知り合い同士の会話としては違和感がある
「〇〇高校の出身だから~」「〇〇さんのお姉ちゃんの〇〇さんよね?」のような
高校名はそもそも重要な情報じゃないし、会話している当人に向けてフルネームで「〇〇さんの~」なんて言う必要はない
連載誌であれば途中から読み始めた読者に向けて地名や人名を伝える意味でも必要なセリフだと思う
ただ、アニメ1話で人物紹介を終えた直後というタイミングだと冗長なだけで不要なセリフ

他にも馴染みの喫茶店の裏メニューが充実してる、みたいなものは唐突に出されても困惑するしかない
2話で舞台を作ってもらって「なんでもあるなー」ってネタのフリにしてるのは分かる
でも『裏メニュー』と『即席舞台』に関連性はないからネタフリとしても中途半端

入り浸ってネタ出しやらライブ準備やらしてるとこに少しずつ裏メニューをだして、
最終的に奇抜な謎メニューを出さないと笑えないでしょ
ダベってるうちにバイトの時間がきてさようならー、
の数分間の上にマスターとの絡みも薄い段階でやられても何も伝わらない

主人公たちが『趣味の延長』から『プロとしてのお笑い』を目指すという転機を2話までに終わらせたかった感があまりに強い
そのために原作(原案?)にあった序盤の情報を詰め込めるだけ詰め込んどこう、
みたいな感覚で取捨選択や精査をしなかった印象

展開はシンプルだしやりたいことは伝わるけど、そのための描写が甘すぎてアニメとしてのテンポ感が完全に損なわれている
お笑いをテーマにするならなおさらテンポの軽妙さは重要だったんじゃないの?
日常パートからお笑いパートまで全編通してぎこちないテンポで続くせいで、
『アマチュア芸人の成長』を描く緩急がない
このテンポ感が後半に行くにつれて変化してくれると嬉しいかな
{/netabare}

あと、これは書くか迷ったけど{netabare}
1話冒頭のエアバンドは何考えてるの?
そりゃ素人のエアバンドなんて下手に決まってるし上半身以外動かないのは分かるよ?

でもこれアニメ冒頭の特殊OPじゃん
そんなとこでいきなり棒立ちキャラがぼーっと手だけ動かしてるシーンを見せて、しかも本筋には関係ないっておかしいでしょ
素人集団のエアバンドだから棒立ちなのはわかるよ?
それに文化祭で気分が高揚してるからあのクオリティでも観客が盛り上がるってのもわかる
でも、さっきから言ってるけどアニメとしては全く面白くない描写じゃん?

あそこはエアバンドとしての実力を盛ってでもアニメとして映える演出をするべき
というか棒立ちなのにAメロの歌いだしから汗だくってどうなってんの?
カメラワークも遠景かキャラアップかの二択で魅力もないし、正直最初っから手抜きをしてるのかと思った

原作が美水かがみってこともあって『らきすた』のキャラからネタをもってくるシーンがある
加えて4話でミクル伝説を歌っていたりと、どうにも往年の京アニを雑に擦ってる印象が強い
そうなると逆説的にハルヒの文化祭シーンをオマージュしてるつもりなのかなって思えてくる
ただ、作画の質もカメラワークもキャラの汗のかきかたも表情の付け方も全くそのクオリティに届いていない

まぁここをハルヒから引用したってのはこじつけかもしれないけど、それ以降のネタからあの頃の作品を参考にしたのは伝わってくる
それなら当然あのシーンを見ているはずで、それにも関わらずあの雑なエアバンドをOPにして満足してると思うと……

エアバンドに限らず『登場人物はみんな素人だからしかたない』を免罪符に、
アニメとしての完成度を妥協しているのが見て取れるのは純粋に不快
{/netabare}

ちなみに、キャストに本物の芸人を起用して、芸人自身の漫才をアニメとして描写する試みは面白いと思う
ただ、どうしても本職の声優でないためにアニメとしてのクオリティが下ってしまっているのがもったいない

特にサブキャラとして登場している新人芸人はぎこちなさが本当に辛い
芸人としてのキャリアすらまだ積めていないところに声優としての技量まで要求するのは酷なものがある
メインキャストも微妙な演技をしているので芸人の演技とバランスが取れてはいるけど、それはそれでどうなんだろうって思ったり

話は決して悪くないのに、アニメとしての描き方に工夫がないため全体的な完成度は低い印象
声優の問題は漫才の質とトレードオフと思って受け入れるとして、
アニメとしてしっかり仕上げられているかどうかで今後の視聴を決めるかな

最終話視聴
{netabare}一人で見るのが辛くなったけど、abemaの一挙でなんとか全話見終わった
やっぱ問題点が多すぎるという印象が強い

脚本の粗もそうだけど、シナリオの全体的な構成があまりにも甘い
これは原作の部分にも問題があるんだろうなという印象
『らきすた』もそうなんだけど、部分的に重なり合った人間関係のなかで少しずつ話を展開する構成になっている
これ自体は一概に悪いとは言えないけど、1クールアニメでやれるスタイルではなかった

この作品で言えば
プロを目指して少しずつ経験を積む主人公グループ
主人公たちの情熱に触発された妹たちのコンビ
新人から目標にされながら、自分自身も新人として努力するJKクール

ここに先輩芸人やら同級生やらが絡む形なんだけど、1クールの中でそれぞれの出番を出そうとして本筋が散らかっている印象
妹コンビの挫折だのなんだのが中盤で描かれるけど、描写が半端すぎて脇道で勝手に盛り上がって勝手に落ち込んでるだけでしかない

仮に2クールあるならメイン4人をちゃんと掘り下げつつ、サブキャラ回をきちんと作って掘り下げられただろうに
というか根本的なことをいうと挫折だとか成長だとかはメインキャラでやるべき
脇道に逸れたと思ったらメインでやるべき話をサクッと1話で片付けるなら出番カットで良かったんじゃないの?

JKクールにしても「芸人は売れ始めても大変なんですぅ~」を描きたいのは分かるけど出番としては特に必要性がない
色々な立場の芸人を出すことで世界観を広げたいんだろうけど、
先輩もライバルも後輩も目標もみんな近所だから世界観はむしろかなり狭い
この狭い世界で「芸人は辛いけど笑ってもらえると嬉しい!」とか言われても……

大阪のプロを見てスランプになってボケ・ツッコミを入れ替える展開とかは嫌いじゃない
一回目は失敗した旅館での営業を二回目で成功させるのも成長を描く意味ではしっかりしてる
ただ、最終話でR凸を欠場させる場面は単純に不必要だろうと
仲良しグループから脱却するって転機にしたいんだろうけど、それは片方を予選落ちさせるだけで十分だった
無意味に喉を悪くさせて無意味に仲良し欠場とかやって無意味に絆アピールするのは展開として唐突かつ強引で無駄

というか舞台裏が大変とかそういう本分と別のところで芸人って職業を上質なものと見せかけようとするのって普通にしょっぱいよなって
アイドルアニメとかもそうだけど、舞台に立つ姿で感動させるのが面白いのであって裏での葛藤はスパイスでしかない
そこを勘違いして『影で頑張る芸人は高尚で素晴らしいものなの!』とかやるのはむしろ間抜けに見える
{/netabare}

色々思うところはあるけど、雑な構成と演出に方向性のズレた芸人すごいアピールが噛み合った結果、
やりたいことに対して魅力が見えない作品になったというのが総評

投稿 : 2021/04/12
閲覧 : 215
サンキュー:

5

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