「Sonny Boy サニーボーイ(TVアニメ動画)」

総合得点
69.8
感想・評価
282
棚に入れた
791
ランキング
1654
★★★★☆ 3.4 (282)
物語
3.3
作画
3.4
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.4

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ネタバレ

HmFDB75691 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

【解説】このアニメの謎を解いてみた

今期のアニメで考察できそうなのは、この作品くらいなので、考察してみた。

第1話・第2話 舞台について考えてみた
{netabare}
まずは、世界観というか、この物語の舞台について考えてみる。

1.内面世界
夢や無意識の世界。現時点ではこれが一番説明しやすい(後述)。

2.異邦人(宇宙人、未来人、高次元人など)による世界
キャラクターたちが異邦人、または、異邦人によって作られた世界。

3.閉じた世界
実験などで隔離された空間で、外部は未来や荒廃した世界。観察している人物が存在する。

4.AI・量子コンピュータが作り出した世界
さいきんのオリジナルアニメには、この手のものが出てくるようになったので。

5.擬人化された世界
『はたらく細胞』のような体のなかの世界。


現時点では、1かな。ここまで見てきて、辻村深月の『冷たい校舎の時は止まる』の雰囲気を感じたから。このクラスの担任教師になにかがあって命を落とす。長良は現場を目撃したけど無視した。鳥はそれの比喩。原因を突き止めるため、指輪を嵌めていた女子生徒が、この世界を作り出した。

あとは、長良(軽巡洋艦)、瑞穂(水上機母艦)、朝風(駆逐艦)、明星(航空機)といった名前と、8/16という日付から、戦争に関係しそう。ただ、キャラの名前が謎解きのヒントになる可能性は低いと思う。
{/netabare}

第3話 生徒たちの内面世界か
{netabare}
考察が難しい。現時点では、こんな感じ。

長良が見つけるのは、生徒たちの内面世界。トイレは、闇を抱えている生徒がいることを表す。

現在いる場所は、瑞穂の内面と関係する。瑞穂は、祖母に頼めばなんでも手に入る裕福な生活をしていた。だけど、祖母が認知症になって対価を払う必要が出てきた。

失ったもの(または状況)→能力、向き合うもの→ルール、と考えると、炎のルールは、瑞穂が向き合うものだから、瑞穂がみんなと働くようになればなくなる。

長良は、本来、人の気持ちを汲み取る性格だったけど、なにかあって(身近な人を失ったか裏切られたか)、その性格を失ってしまう。失ったものは能力となり、人の心の扉を開く能力となった。

今回の、"仲間外れ外し"はルールなので、向き合うもの。視聴覚室と繋がった世界が瑞穂の内面世界で、暗幕に隠れた三人はシンクロしただけ。瑞穂がフリーズしなかったのは、能力のおかげ(満ち足りている)。長良と一緒に解決して、瑞穂は心が成長したから、視聴覚室と繋がった世界も消えた。

ほかの生徒の能力は説明しにくいけど、この方向で考察していこうと思う。さすがに、宇宙人が能力を与えて、指が光る奴と交信するとかはないだろう。
{/netabare}

第4話 現象学で考えてみた
{netabare}
前回考えた内面世界の考察は変わらないけど、フッサールの現象学を加えてみた。

1.現象学とは(説明は適当)
目の前にリンゴがあるとする。赤い色で甘い匂いもする。だけど、それは五感を働かせた人の認識で、リンゴが目の前にあるという証明にはならない(その人の意識のなかにリンゴがあるだけ)。現象学では、リンゴがあるかどうかを、エポケー(判断中止、一時的な保留)させ、なぜ、リンゴがあると認識したのかを考える。

リンゴを見た人が屋台のリンゴ飴を思い出すと、目の前のリンゴと意識のなかのリンゴにズレが生じる。どんなにリンゴ飴を思っても、目の前のリンゴがリンゴ飴に変わることはない。だから、目の前のリンゴは想像したリンゴではないと認識でき、リンゴがあると確信する。


2.このアニメの世界観
元の世界がエポケーされ、意識のなかの世界となった(元の世界は消えたわけではなく、一時的に隠れている状態)。暗幕や野球をする猿も、意識のなかの現象(現象を出現させる要因は、生徒の内面にある)。意識のなかの世界だから能力も持てる(いくらでも想像できる)。元の世界に戻れば、能力は消える、というか元々持っていない。元の世界がリンゴで、現在の世界がリンゴ飴って感じかな。


3.今回の野球について
これも同様に、審判を元の世界、ピッチャーや観客を現在の世界と考えればいい。意識の世界は、いくらでも改ざんできるけど、元の世界が変わることは決してない。そういったことの比喩だと思った。
元の世界にいない人が、現在の世界では存在することも考えられる。希や長良があやしそう。
{/netabare}

【考察】結末まで考えてみた
{netabare}
〇現象学で考察

「野球とはなに?」と問われれば、たいていは、ボールを投げてバットで打つ球技と答える。「野球」を現象学で考えてみる。まず、五感で捉えている「野球」をエポケーする(一時的に考えないようにする)。
そして、また「野球とはなに?」と問えば、例えば、Aは「ユニホームを汚しながら仲間と練習したのが野球」と答え、Bは「手作りのボールとバットで友達と遊んだのが野球」と答え、それぞれにとって違う「野球」が現れる。これを現象学で、還元と言う(たぶん)。

AがBの野球を見たら「あんなの野球じゃない」と争いになるけど、「野球」をエポケーして、お互いの意識のなかの「野球」を知れば歩み寄れる。

キャップにとっての野球は、猿のように楽しむのが野球なので、猿が出現した(元の世界はエポケーされ、意識の世界と考察中なので)。長良はその気持ちを理解できたから猿が見えた。
エースは周囲の期待に応えるのが野球で、楽しんではいない。楽しい気持ちは陰に隠れて灯りを照らさないと見えない。だから、楽しく野球をやっている人を見て落ち込む。能力は失ったものと考察中なので、エースは楽しく野球をやっていたときは水道の水もおいしく飲めた。


〇結末まで考えてみる

元の世界で、長良と希は親しく、希が故人だと仮定する。長良にとっての「世界」は希がいる世界。長良が世界を認識するときは、希がいる世界を意識してから、希のいない世界を五感で捉える。ズレがあるために、長良は自分がどこにいるのかわからなくなり、希がいない世界をエポケーして、(長良の)意識世界に閉じこもった。長良の意識世界だから、元の世界に戻るのも、長良しかできない。

希だけが世界のズレに気づいている。希のいない世界でも楽しく過ごせると希が導いて、長良の意識の世界と五感で捉える世界が一致して、元の世界に戻る。
{/netabare}

第5話 意識と無意識の世界
{netabare}
哲学と心理学で考察すると、とても面白い。

〇これまでの考察
元の世界で、長良と希は親しく、希は故人。長良は希のいない元の世界から、希がいる(長良の)意識世界に閉じこもった。希だけが世界のズレに気づいている(希はズレそのもの)。漂流しているのは長良の意識で、戻りたくない気持ちがあるので戻れない。希は長良を導く存在で、光の先に長良が戻るべき(これまでとは違う価値観の)世界がある。


〇ルールがあるのは超自我の世界
学校と孤島にはルールがあるので、フロイトの超自我だと思う。超自我は、しつけや道徳に関係する。生徒会が仕切っているのも、それっぽい。長良の意識世界なら、ルールは長良が親から受けたしつけ。暗幕や猿はルールではなく、意識に起こる現象。長良に心の変化があれば、新しい世界(意識)が出現する。


〇地下には無意識の世界がある
イドという本能や欲望の世界(無意識に存在)が出てくると思う。意識と無意識は、海に浮いた氷山で説明したりする(このアニメでは孤島)。孤島の地下に長良の無意識がある。海(無意識)から上がってきたあき先生は、長良にとっての欲望の象徴。朝風を利用して無意識に通じる穴を開けている。生徒たちはあき先生を信じているから無意識の世界に行く。もしくは、穴から何かが現れる。

 /\  意識 
/孤島\
――――――海
\地下/
 \/  無意識

{/netabare}

【考察】時系列で並べてみた
{netabare}
長良の家は、高火力(青い炎)で料理する上海(中華)料理のお店で、父親からは「店を手伝わないと飯抜き(対価)」と罰が与えられたり、雷を落とされる(叱られる)。長良は押し入れに逃げたりした……と仮定する。

時系列で並べてみる(考察も含む)。

1.長良が進路相談を受ける→2.希になにかがあり、長良が相当ショックを受ける→3.長良は意識(心)の世界に逃避→4.学校の屋上(意識世界)で、(上海の)雷が落ちる→5.学校が暗幕で覆われる(漂流したのは長良の意識で学校は動いていない)→6.超自我(父親のしつけ)に押しつぶされ、校舎も沈んでいく→7.希の導きで、新しい世界(意識)、孤島Aへ→8.孤島Aが燃えて、孤島Bへ→9.暗幕の現象を解決し、長良の心が成長→10.海(イド)からあき先生(抑圧された欲望の心)が現れる→11.ネズミの世界を解決し、超自我に縛られた心が解かれる→12.生徒たちに問い詰められ、上海の雷で、オレンジ色の空間に逃避→13.長良だけが孤島Aに逃避→14.希たちと合流し、遺物で孤島Bに戻る
{/netabare}

【考察】キャッチャーになりたいと思っている
{netabare}
『ライ麦畑でつかまえて』のネタバレがあるので注意。
長良の能力は二つあると思う。

1.雷が落ちる(叱られることの比喩だと思う)と、暗幕に覆われる
屋上で雷が落ちて、学校が暗幕に覆われ(第1話)、みんなに問い詰められ、上海の雷で(色は違うけど)暗幕に覆われた。

2.新しい世界(意識)を生む
以前の考察した意識、無意識に、前意識を追加する。前意識は、努力すれば意識できる領域。意識を学校や長良が新しく生む世界、前意識を孤島、無意識を孤島の地下や海の中とする。

意識  □◇〇(学校や新世界)
    ――――――
前意識  /\  ↑気づき 
    /孤島\ │
    ――――――海
無意識 \地下/
     \/  

前回、長良は元の世界に戻ろうとしたけど戻れなかった。長良は戻れないことを、孤島(前意識)で気づいた。その"気づき"によって、今回のネズミの世界(意識)が新しく生まれた。

赤いネズミが長良で、引っ越しが元の世界に戻ること。価値観を変えることで、引っ越しに成功した。価値観が変わった長良の意識にあるのが『ライ麦畑でつかまえて』なら、崖から落ちそうになる人を捕まえる役になりたいと思っている。光に向かってダッシュした希を捕まえたのも伏線になると思う。
{/netabare}

第6話 二つの世界のズレが原因かな
{netabare}
前半の終りで、ある程度の謎を明かすのは好印象。解釈はさらに難しくはなったけど。自分の考察に沿って整理してみる。

A.長良の意識世界(これまでの世界)
進路相談で教師が親身になってくれる→屋上で希が教科書を破いている→屋上のドアがあかない→雷が落ちて学校が暗幕に覆われる→(ハテノ)島に移動

B.長良が五感で捉えている世界(元の世界)
進路相談で教師が冷たい→屋上に希がいない(破れた教科書は希のものか?)→屋上のドアをあけて、学校を出る


〇現時点での解釈
現在の長良の意識で世界を知覚すると、心が壊れる(島が沈む)からあき先生は阻止しようとした。あき先生の妨害をくぐり抜け、AとBの世界を重ねよう(一致させよう)としたけど、希というズレがあったために成功しなかった。

元の世界は変えられないので、希は故人のまま。だから、長良の意識を変えて、(希がいない)世界の見方を変える。そのために、いままで意識世界で成長してきた。超自我はクリアしたけど、イド(無意識)が残っている。

映写室の世界に、希に関する記憶がある気がする。例えば、長良と希が海に行って楽しく過ごしたけど、その帰りに事故に遭った。その記憶を抑圧したから、現在は希を転校生としか見ていないし、希がいない元の世界も可能性の一つとして見ているだけ。
{/netabare}

【考察】8/16と時間についての解釈
{netabare}
意識世界では何に意識を向けるかによって、時間の流れ方も変わる。長良の場合は希で、8/16に希が命を落としたから、長良の意識世界では、8/16からの未来は存在せず過去しかない。学校は時間が戻る。

・夏服で進路相談(希がいる)は、意識の世界
・冬服で進路相談(希がいない)は、長良が五感で捉えている元の世界、意識のなかは8/16で止まったまま

希に関する記憶は無意識に抑圧されて、それを知っているのがあき先生。抑圧したまま元の世界に戻っても、長良の意識世界の時間は進まないので、あき先生は阻止した。

あき先生の正体は瑞穂かな。猫の餌を鳥に盗まれた瑞穂が火で追い払おうとして木に引火。それを長良が目撃。希は落ちた鳥を助けようとして犠牲になる。瑞穂の家は金持ちで校長が口止め。長良は耐えられず記憶を抑圧し、意識(心)の漂流が始まる。

抑圧しても意識に上がるので、耐えられるようあき先生の姿(中身は瑞穂)で現れた。過去にも校長によって心が漂流した生徒がいた。朝風は、そういう大人に抗う長良の心(朝風に憧れる気持ちから生まれた、ある意味コピー)。
{/netabare}

【考察】能力と思考実験の関係
{netabare}
今回のラストで、こうもり傘のコウモリ先輩が出てきた。哲学の思考実験に、『コウモリであるとはどのようなことか』がある。コウモリになるには、コウモリの身体や脳を持つ必要があるので、想像はできるけど知りようがない、という結論に至る。

やまびこ先輩は、これの犬版と思ったりした。ただ、パブロフの犬も考えられる。犬にチョコを与えては駄目なので、チョコの匂いで涎を垂らすのは、人間の脳を持った犬と考えられる。しゃべっている時点でそうだけど……。

やまびこ先輩は長良の弟(両親は離婚)かな。兄弟で思考実験をして、人間の脳を持つ犬が誕生するには五千年はかかると弟が答えた。
コウモリ先輩の隣にいたツノの人物がカブトムシ先輩なら『箱の中のカブトムシ』が該当する。

キャラクター(または能力)に思考実験が当てはまるなら、瑞穂は『シュレーディンガーの猫』、マグロ缶を頼んだのにちゅーるを運んだりして、箱をあけるまで中身がわからない。上海は『中国語の部屋』。ポニーは、『テセウスの船』かな。生徒会長を船に例えて、ポニーという部品を取り替えた。
{/netabare}

第7話 大人(親、教師)vs子供がありそう
{netabare}
元の世界は変えられないので、希は故人のまま。だから、長良の意識を変えて、(希がいない)世界の見方を変える。そのために、いままで意識世界で成長してきた、と考察中。

今回の話も、心の成長が描かれたと思う(細かいところは次の考察で)。長良の意識にあったのは、"救世主"になること。その考えが変わったので生徒たちも去った(意識から遠ざかった)。元の世界で起こったことを考えてみた。

8/16より前に火災事故があって、エース(犯人)、長良(目撃者)、希(犠牲者)とする。
エースの親は政治家で、ある国にきれいな水を提供する政策を打ち出していた。息子が放火犯になると、責任を問われ政策も実行されず、何千という人がきれいな水を飲めなくなる。長良は何千という人を助ける救世主のような立場に立たされる。

長良は8/16に学校に行って嘘の証言をし、その結果、心が漂流する。第2話のように、火災現場にいた瑞穂(猫を捜していた)を目撃して、そのことを校長に告げたのかも。

能力は親の職業と関係があるようにも思える。瑞穂は宅配業者、はやとは囲碁棋士、ヒカルの碁からの発想、対戦相手を分析もするだろうし……。能力については適当だけど、元の世界に戻ってから、大人(親、教師)vs子供という闘いはある気がしている。
{/netabare}

【考察】今回の話の細かいところの解釈
{netabare}
『天気の子』のレビューでも書いたけど、相手の考え方や物の見方を理解すると、その人の世界が見える。妖精が見える人を理解すると妖精が見えるし、陽菜を理解したから帆高は雲の上に行けた。

長良は、二つ星の食べる物を食べず、流れ星も信じなかった。洞窟のなかで二つ星が差し出した物を食べたから流れ星が見えた(二つ星の世界が見えた)。だけど、ラジダニのことを思い出して、長良が景色を上書きした。

おそらく、長良は希と一緒に流れ星を見ている。流れ星は命を落とした希を連想させるから、流れ星は命を奪うものに変わる。塔の世界は、コウモリ(と呼ばれた少年)と接したときにできた意識世界。彼は、周りからコウモリと馬鹿にされても気にしない人間。長良はコウモリと馬鹿にされたくない、疑問を持たずに周りと同じように行動する人間だから、指示に従って黙々と石を運ぶ世界ができている。

コウモリ先輩→長良の心の住民、コウモリ少年→現実にいる人。
コウモリ少年を理解できたから、長良は逆方向に歩き出した(周りを気にせず行動する)。塔の世界を作り出したのは、長良の心なので、長良は申し訳なく思っている。長良は自分がどこにいるのかわかったのかも。

ネガティブをポジティブに変えるには、楽しかったときの記憶を思い出せばいい。長良にとっては野球だろう。そのときの日向の匂いを嗅げば、今後、落ち込むことがあっても立ち直れる。そして、長良が目指すのは、希の世界だと思う。
{/netabare}

【考察】漂流の原因を考えてみた
{netabare}
キャラクター紹介にエースがいないのは、長良=エースだからと仮定し、さらに、煙草の不始末による火災事故があり、長良(犯人)、希(犠牲者)、瑞穂(冤罪)とする。

長良の父親は政治家で(両親は離婚)、ある国にきれいな水を提供する政策を打ち出していた。火災事故の犯人が長良と知れたら、父親は責任を問われ、何千という人がきれいな水を飲めなくなる。

長良は救世主のような立場に立たされる。深読みすると、サブミナル効果を利用して、何者かが長良の潜在意識に『救世主になれ』と植え付けた。

長良は8/16に学校に行って、瑞穂(猫を捜していた)が火災現場にいたと校長に告げる。瑞穂は冤罪をかけられ、瑞穂のフィアンセ(?)の教師が罪をかぶり教師の職を辞する。希と瑞穂を犠牲にして救世主になったが、心が漂流する。

あき先生の正体が、抑圧された本当の瑞穂。あき先生は浮き上がる存在で、朝風はそれを押し返す存在。バランスが取れているので、長良は正常を保っていられる。

能力は親の職業か、将来なりたい職業のようにも思える。
瑞穂(宅配業者)、朝風(宇宙飛行士)、ラジダニ(SE)、明星(クリエイター)、ポニー(マジシャン)、キャップ(職人)、はやと(囲碁棋士)
上海は、長良の妹かな。妹にはエースだと嘘をついている。
{/netabare}

第8話 長良と希の話だと思う
{netabare}
視聴者を気にせず好き放題に作っている印象。こちらも好きなように解釈してみる。

元の世界(希は故人)は変えられないので、(希がいない)世界の見方を変える。そのために意識世界で成長してきた。長良(=エース)が起こした火災事故で希が犠牲になり、瑞穂が冤罪をかけられる(フィアンセが身代わり)。長良は罪を逃れたので父親の政策(数千の人がきれいな水を飲める)が実行され、救世主になったが、対価が見合わず心が漂流した。能力はなりたい職業と考察中。

今回は、長良(やまびこ)と希(こだま)の話で、希と接したときに出来た意識世界と解釈。希の命を奪ったから、5千年前の出来事のように遠ざけている。塔の世界は野球時代の記憶で、忘れたいミスがあるから2百年前。年数は意識から遠ざけている尺度。(ベルリンから帰国した)希の本来の外見は、こだまのほう。

戦争はタナトス。長良の心がタナトスに支配されて、命を絶とうとする気持ちが疫病となり、希の世界を破壊した。
希と瑞穂に関する記憶は無意識に抑圧している。瑞穂は冤罪だけで心の負担が重くないので、無意識から浮上し、あき先生の姿となって現れた。現在の瑞穂は、火を点けたことを謝る都合のいい瑞穂だから、彼女を見ても長良は正常でいられる。

『意識』  学校、ネズミの世界、塔の世界   火災事故の記憶
 ↑↓   意識に上がったり、前意識に戻ったりする  ↓
『前意識』 あき先生  やまびこ先輩         ↓抑圧
(検閲)   ↑      ↑            ↓
『無意識』 瑞 穂    長 良←←検閲を通って姿を変えれば意識に上がる
{/netabare}

【考察】前回の考察を少し変更
{netabare}
やまびこは長良の弟で、こだまは希。長良には、「後悔ばかり」と言えば「後悔の天才」とポジティブに返してくれる人が二人いた。一人は優秀な弟。だけど、弟は病で命を落とす(ゴミ袋放置の理由)。弟を失って長良は荒れて学校の窓ガラスを割ったりした。そのときに現れたのが希(外見はこだまのほう)。

戦争はタナトス。ここでのタナトスは、破壊と再生の、破壊かな。やまびこ先輩(弟)が破壊されて(疫病を患ったシーンが少しある)、やまびこ先輩(長良)となって再生した。再生のきっかけになったのが、希。
長良の心にある弟の世界に、希(こだま)が住むようになり、心も安定していたけど、希もまた失ってしまう。

弟が犬だったから、希は鳥になって再生かな。能力はなりたい職業と考察中なので、希は医者。
{/netabare}

【考察】長良を立ち直らせた希のセリフ
{netabare}
長良と希の関係や、漂流が二度目という考察をしてみる。

〇長良
家族構成は、長良、両親、弟(やまびこ先輩)、妹(上海)。弟は長良の理解者で、話しかければ応えるやまびこのような存在。

弟を失い(赤い結晶から血液のがん、白血病と推測)、長良の最初の漂流が始まり、学校で窓ガラスを割ったり素行が悪くなる。両親は離婚し、妹は父親に引き取られ、中国語を学ばされている。長良は山田から姓が変わる。

エースは、長良が理想とする息子や兄。妹には野球部でエースと嘘をついていた。汚れた水をきれいにする父親の政策(または事業)を、将来継ぐように言われている。エース(理想的な長良)の能力なので、長良自身はその職業を望んでいない。


〇希
現実世界の希は、生徒たちの悩みを聞いてくれる良き相談相手。能力のMはマインド。流れ星を眺めながら、長良が弟の話をすると、希が「ぼくが、きみのこだまになってあげるよ」と言って、最初の漂流が止まる。

将来、父親の仕事を継ぐ長良に、希は自信を持たせるために、"救世主"になることを勧めた。長良は希を信じて救世主になったが、心の傷を深めてしまった。

希は病気だった、と考察する人がいたけど、自分もそちらに傾きつつある。弟と希は、同じような性格で、病気も同じ白血病だったから、希を失ったあと、長良の二度目の漂流が始まった。こだまとやまびこの会話は、入院した希と長良の会話かも。エース(長良の理想)が見つけたこだまの遺物(救世主になる)では戻れなかった。毛玉(野球を楽しんだ気持ち)のほうで戻れる気がする。
{/netabare}

第9話 ユングの心理学で解釈してみた
{netabare}
〇これまでの考察
元の世界(希は故人)は変えられないので世界の見方を変える。そのために意識世界で成長してきた。長良には話せば答える"やまびこ"のような弟がいた。弟を白血病で失い、最初の漂流が始まるが、希に「きみのこだまになってあげるよ」と言われて止まる。父親の仕事(数千人にきれいな水を提供)を継ぐ長良に、希は"救世主"と言って励ます(Mはメシア)。

希も白血病で失い(前回は入院した希と長良の会話)、長良は煙草に手を出して火災事故を起こす。父親が責任を問われると水を提供できないので、瑞穂に罪を負わせた(フィアンセが身代わり)。数千人を救った救世主になるが、対価が見合わず二度目の漂流を始める。エースは長良の理想で現実にはいない、能力はなりたい職業と考察中。


〇影(シャドー)
ユングの心理学で解釈すれば、もう一人の自分(影)との戦い。影を倒したけど、影を失うと、その影の持ち主も生きてはいけない。影は必要不可欠な存在。長良にとっては希で、瑞穂は祖母、鮭茶漬けでは鮭。

影を失った者の末路を朝風に教えるために、あき先生が仕向けた気もする。朝風は能力で、長良の記憶(漂流の原因)を抑圧していると思うので。希(影)を失った長良を助けるには、抑圧を解放し、長良が変わる必要がある。解放すると心に負担がかかるので、そういう意味で希はお荷物。ただ、長良の心は成長して、受け入れられる状態にありそう。
{/netabare}

【考察】瑞穂について考えてみた
{netabare}
ラジダニのゲームは一つだけで、コピーは、長良の心の中のイメージ(心象)と考えている。人物についても、長良と接点があった人が長良の心のなかに現れる。希、瑞穂、朝風のセリフは、長良の心の葛藤かな。

塔の人は野球のメンバーで、忘れたいミス(石を落としたのが、ボールを落とすに該当)があるから2百年前の出来事のように意識から遠ざけている。誠二とはおもちゃの銃で遊んだ仲。学校で命を絶った誠二を生徒たちが遠巻きに見ているとき、希がそばに寄って、抱きかかえたりした。鳥はその比喩かな。つらい記憶なので何千年前。そう考えると、心の奥底に向かっている気がしてくる。

漂流の原因に火が関係しそうなので、火災事故と考察中。花火は目立つので、こっそり吸った煙草の不始末が原因。現実世界の瑞穂は、周囲から疎ましく見られ冤罪をかけられやすい存在だった。第2話のように長良がぽつりと言ったことを周囲が勝手に解釈して、火災事故の犯人にされてしまった。

現在の瑞穂は、火を点けて謝罪する、長良にとっては都合のいい瑞穂。ただし、外見は同じ。あき先生の正体が本来の瑞穂で、その姿が現れないよう朝風が押さえている。だからそばを離れない。
{/netabare}

【考察】瑞穂は、長良の母親か?
{netabare}
長良は、五感では母親を捉えているけど、(心を安定させるため)意識のなかでは母親を瑞穂に変えている。故人である希が意識世界では存在するのと似た感じ。意識世界の瑞穂は母親だから結婚しているが、現実の瑞穂は結婚していない。

母親は祖母がいないと何もできずゴミ放置。三匹の猫は、三人の子供に家事をやらせている比喩。意識世界では兄は明星、弟(故人)はやまびこ先輩、妹は上海に変わる。

漂流前(この時点で漂流していると考察している)から能力を持っている人を推測すると、オーロラを出したのは明星、三億円は瑞穂、雷は上海。さらに、ヴォイスの声も聞こえていたから、ヴォイスを父親と考えると、漂流前は家族が能力を持っていた、となる。時系列で考えてみる。

1.8/16に病院で希が息を引きとる。現実は変えられないので、長良は意識世界のなかで希と出会ったときに戻る(リバース)。第1話の屋上のシーンが漂流前で、学校は8/16から時が進まず、長良の家族(父親は除く)が能力を持つ。

2.上海の雷で学校が暗幕に覆われ、生徒たちも能力を持つ。

こう考えると、ヴォイス(父)に対抗するために能力を持ったような気がしてくる。
長良の意識世界に入り込めるのは、長良を理解している人だけ。候補としては妹。あき先生の正体を妹にしようか、検討中。
{/netabare}

【考察】家族全員同級生か?
{netabare}
長良の母親は、祖母がいないと何もできない、という問題を抱え、息子である長良も悩んでいる。長良が悩むのは、親子というタテの関係があるからで、母親を同級生の瑞穂にして(もちろん、意識世界で)、ヨコの関係に変えると長良の問題ではなくなる。アドラーの心理学を参考に考えてみた。

仮定だが、長良には兄妹がいて、兄に対しては劣等感を抱き、妹にはエースと嘘をついて見栄を張る。これらもタテの関係から発生する問題だから、兄妹も同級生にする。兄は明星か朝風。

父親はヴォイスと考えたけど、誠二のほうが考察が進む。父親は弟の病気を治すため宗教にはまった。弟(白猫のさくら)を祭壇に載せているのを母親(瑞穂)が止めようとした。さくらはコピーの能力を持ち、コピーは同じものを返すから、やまびこと似ている。やまびこ先輩は弟と考察中。さくらとやまびこ先輩はどちらも弟だから会話ができる。

三匹の猫が長良の兄妹として、さらに深読みする。こだまがくしゃみしたときの鼻水と、とら猫の鼻水を一致させる。こだまは希と考察中。現実世界の希は故人だけど、意識世界の希は長良の妹で、現実世界では生きている。危ない状態だけど、やまびこ先輩は「まだ間に合う」と言っている。

長良には双子の弟(やまびこ)と妹(こだま)がいて、弟は白血病で他界。妹も同じ病気だが、弟で移植がうまくいかなかったから、妹も諦めている状態。妹を救うには長良の意識を変える必要がある。そのために、親子兄妹といったタテの関係を、家族全員同級生というヨコの関係に変えた……といった感じで今後は考察していこうと思う。
{/netabare}

【考察】猫の名前は、放浪するあの映画から
{netabare}
猫の名前は『男はつらいよ』からだと思う。放浪しているのは寅さんだから、漂流している長良がとら。漂流から戻ってくるのを待っているのが、妹のさくら。げんは兄かな。長良(とら)、妹(さくら)、兄(げん)、弟(やまびこ)。

長良には、双子の弟と妹がいて、二人とも白血病を患い、やまびこのような弟が他界。妹も危ない状態で、父や兄が神の力で治そうと妹を連れ出す。『止めたいが、父や兄には逆らえないので従うしかない』、考え方と行動が一致せず、心が不安定になる(漂流)。救世主のような希に出会い「きみのこだまになってあげる」と言われる。『希のような人がいるなら、妹を神にゆだねるのは正しい』、行動を変えずに、考え方を変えることで心が安定する。

希も白血病で、息を引き取る前に「本当の世界に戻って」と言い残すが、二度目の漂流。卒業式のころに神にすがっても妹は助からないと気づき、バベルの塔を逆に歩くころから考え方を変える。タテの関係では父や兄に逆らえないから、意識世界で家族全員を同級生にして、現実に立ち向かう。考え方と行動が一致して、長良(とら)は漂流から戻り、妹(さくら)を父や兄から取り返し、治療を受けて回復する結末。
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第10話 瑞穂の能力について考えてみた
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〇これまでの考察
長良の家族(仮定)にキャラをあてはめて考察する。
長良(とら、エース)、妹(さくら、上海)、兄(げん、明星)、弟(やまびこ)、母(瑞穂)、父(誠二)

長良には、白血病で危険な状態の妹がいる。長良は、『病院で治すのが正しいから(考え方)、病院に連れていく(行動)』としたいが、父と兄は神の力で治そうと宗教団体に連れていこうとする。父や兄に逆らえないから、『病院で治すのが正しいけど、宗教団体に連れていく』となり、考え方と行動が一致せず、心が不安定になる(漂流)。

不安定を解消するには、どちらかを変える必要があるが、行動を変えるのは困難。そこに、救世主のような希が現れたことで、『病院で治すのが正しい』→『神の力で治そう』と考え方が変わり、心が安定する。

救世主のような希も、白血病で助からず、『神の力で治そう』を疑い、心が不安定になる。父や兄というタテの関係が行動の妨げになるので、意識世界で家族全員を同級生にして現実に立ち向かい、『病院で治すのが正しいから、病院に連れていく』と一致させ、妹を救い出す結末。
妹(さくら)は漂流の原因の一つであるが、妹を助けるには、漂流は必要だった。


〇意識の流れ
サブタイトルは、宮沢賢治の『春と修羅』から。この作品に関係するのが、心理学者ウィリアム・ジェームズの『意識の流れ』。意識は、ブツブツに切れた状態ではなく、川の流れのように連なっているもの、といった感じかな。いままで、色々な場所に移り変わったのも、すべて意識の流れで繋がっている、と言いたいのかも。


〇エロスとタナトス
あき先生はエロスで、朝風がタナトス(戦争)。こだま(希)と戦争という関係だから好きになれず、希を助けなかった。深読みすると、あき先生が妹で、朝風が弟(故人)かも。二つのものは双子を示すと思う。古代ローマの双子の像もあったし。ただ、最終回を見たあとで解釈が変わりそう。


〇瑞穂の能力
ニャマゾンの能力は猫のもの。瑞穂がいつも注文したから瑞穂の能力に見えた。瑞穂は蘇生させる能力。例えば、生きた魚を注文して料理すると、魚が生き返る。それを確かめるためニワトリで実験した。長良たちから向かって右が瑞穂で、左が長良。両方に刃を入れた(両方に血がある)ところ、瑞穂のほうだけ生き返った。

この能力を持った理由は、瑞穂が母親(瑞穂=母親ではなく、役割を演じている感じ)で、息子(長良にとっては弟)を失ったから。
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【考察】いろいろ深読みしてみる
{netabare}
考察を簡単にまとめると、長良が妹を助けるために、意識世界で家族を同級生にして、考え方と行動を一致させる、という話。自分の考察を補強するために、いろいろ深読みしてみる。

〇長良と朝風
卒業式が終わったあと、勢いよく門を出る朝風が、希を好きとは思えない。好きなら希の机のそばにいると思う。だから、エースと同じように長良の分身とする。エースは理想的な長良で現実にはいない。朝風は、長良のマイナス面。マイナス面を解決するには、現実の朝風を必要とするから心のなかにいる。

〇あき先生の役割
あき先生は、考え方と行動が一致しない生徒をキャンプで鍛えた。骨折は、相手にされない朝風についていくという矛盾を抱え、スマホを捨てたときに解消した。朝風は、希のようになれないと認めたとき。ウニは『ハリネズミのジレンマ』、近づきすぎると(嫌われて)傷つく。

あき先生は生きる手助けをするエロス(愛の神でもある)。崖の世界は、命を奪えても、命を救えないタナトスの世界だったから、希を助けられなかった。朝風(長良の分身)が、希のように考え方と行動が一致したから、希とさよならしたとも考えられそう。

〇やまびこ先輩の言う「あのとき」と「このこと」
「あのとき」は卒業式を終えて門を出たときで、「このこと」は漂流の原因がさくら(妹)、ということ。このことに気づいて朝風に声をかけて協力を求めていたら、その時点で妹を助けられた。
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【考察】意識から無意識に変えてみる
{netabare}
意識世界と考えたのを、無意識に変えてみる。ただし、学校だけはほかと違う気がするので、意識としておく。

・学校(意識)……双子の弟と妹が入学を楽しみにして、8/16に弟が他界したから静止?
・ハテノ島(前意識、努力で意識できる領域)……山と木があり、弟と希と考察中
・この世界(無意識)……待ち合わせた希と時間のズレがあったり、時間の流れが違う?


意識   逃げる    学校(8/16で静止?)  考え方
‐‐‐‐‐↑‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐↓‐
前意識   /\     /\
     /山びこ(弟) /\木だま(希)  
    ――――――――――――――――――――――ハテノ島
    スカート 毛玉 マウス 芋虫 コピー? コンパス
‐‐‐‐‐↑‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐↓‐‐ 
無意識  暗幕  猿  ネズミ 塔  映写室   希
‐‐‐‐‐↑‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐↓‐‐ 
身体  視・聴覚 嗅覚 触覚? 味覚 記憶・脳?
‐‐‐‐‐↑‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐↓‐‐ 
世界  妹に叱られる            一致する行動


攻略した世界や能力遺物は、身体(主に五感)に関係すると思う。暗幕は、最初、"視聴覚"室だったので、視覚と聴覚。猿の野球の遺物は毛玉なので嗅覚。ネズミの世界はマウスになったので触覚。塔の世界で、長良がヒメにあげた芋虫が遺物なら味覚となる。映写室が視覚のような気もするが、記録があるので、脳ではないかと思う。

例えば、現実世界で妹(上海と考察中)に大声で叱られる(雷はその比喩)と、怒った顔と声が視覚と聴覚を刺激し、暗幕の世界から遺物のスカートとなり、"逃げる"と意識する。
希のコンパスは、考え方と行動を一致させるもの。告白したい(意識)→コンパス(前意識)→希(無意識)→言葉を発する(身体)→告白する(世界)

静止すべきもの(世界?)が動いて、動くべきものが静止して、逆転している気がしている。ヴォイスのメガネが逆さメガネだと逆転の逆転で、ヴォイスだけが世界を正しく見ている。あき先生にメガネを奪ってほしい。
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【考察】心の世界を、本当の世界と思っている
{netabare}
長良は、心の世界を、本当の世界と思い、異世界を漂流していると考えている。「ここは本当の世界ではない!」と叫んだ瞬間に、現実世界(外界)に切り替わるのかも。

心は見えないが、心の世界では、身体や世界(外界)が見えなくなる。映写室を通ったときだけ逆転して、身体や世界が表に出てきた。心(生徒たち)は見えないのが正しい気もする(外界の人からは見えていない)。卒業式は、現実世界が本当の世界と気づく機会だったけど、コピーとこじつけたから、また心の世界に戻ってしまった。

意識(学校)―前意識(ハテノ島)―無意識(塔などの世界)―身体(見えない)―世界(見えない)

現実世界の長良の意識は静止、自発的になにもしない状態で、命じられたら動くだけ。だから、意識→……世界といった流れはなく、世界→……前意識という流れしかない。

心の世界では、身体と世界(外界)は見えない。見えないけど何かが起きて、(無意識で)塔の世界やネズミの世界が現れる。そして、能力遺物をハテノ島(前意識)に運ぶ、ということがくり返される。

塔を逆に歩くのは意識的(自発的)だから静止が解除された(解除中は二つ星は生き返らない※)と考えると、ニワトリの実験も解釈が変わってくる。長良が自発的に注文したニワトリは静止が解除され、瑞穂は解除されないニワトリとなる。そうすると、瑞穂の能力は蘇生ではなくなり、能力不明となる。
※意識が途切れると静止状態に戻り二つ星が復活するから「二つ星によろしく」と長良は言った。
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第11話 衝撃的な最終回になると思う
{netabare}
元の世界は変わらないので、(希のいない)世界の見方を変える、そのために長良の心のなかで鍛えてきた、と考察してきたけど、その雰囲気が少し出てきた気がした。

まず、明星は命を絶とうとした長良の心。卒業式はその葛藤があったけど、希によって救われた。こだまの遺物をセットした箱舟が、元の世界に戻ったら、(現実の)長良は命を絶っていた。やまびこが「彼女の選択を正すべきだった」と言っていて、希=こだまと考えると、希は(病が重くなり)命を絶っていた。戦争はやはりタナトスで、勲章は命を絶ってきた人の数を言っていると思う。

長良は心の世界に閉じこもって、希を止められなかった。崖が崩れて落ちていく希を、朝風が救えなかったことと繋がる。おまえ(長良)のせいだと書かれたポストカードの差出人は、朝風でも誰でも、(長良の心だから)長良となる。長良は希とまだ形のない未来を、この世界で作ろうとしていた。
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【考察】現実世界の出来事を推測(前編)
{netabare}
最終回の予想にもなると思うので、現実世界の出来事を推測してみる。

双子は伏線があるので、長良には双子の弟と妹がいる。残り1話なので、妹は元気としておく。瑞穂だけ一緒に戻るのは、母親をヨコの関係(同級生)と見方を変えるため。現実世界[現]と心の世界[心]とに分け、漂流が始まるまでを時系列で考えてみる。表裏一体なので、[現]で起きたことは[心]に反映される。

[現]8/16、白血病だった弟の最期を見たくない長良は『弟が危ないのに学校に行く』と矛盾した行動をとるが、長良は選挙の集計係でポニーを生徒会長にする考えがあり、『学校に行く』が正当化される。

屋上に行き、教科書を破る希に出会う。屋上で、妹から連絡をもらい、弟が他界したと知る。どんな考えも正当化できず、心が不安定になり、心の世界を本当の世界と思いこむ。弟のそばにいなかった兄に対し、「お兄ちゃんのバカ」と妹が叱る。

[心]学校静止、家族を同級生にする。母親→瑞穂となり三億円(治療費?)を能力で出す。選挙の不正を明星がやったことにして(弟が見たかった)オーロラを出す。ここまでが漂流前。妹→上海の雷で学校が暗幕に覆われ、漂流開始。

希が漂流の原因とするより、漂流中だったから希を止められなかったとするほうが、やまびこの語りとも一致すると思う。
{/netabare}

【考察】現実世界の出来事を推測(後編)
{netabare}
前回の続きで、漂流後の現実世界を推測してみる。
(補足)最初の心の世界は屋上。現実と変わらないから本当の世界と思う。そのつぎが学校と続き、徐々に異世界のような景色に変わっていく。

[現]希が転校してきて、長良を連れまわす→[心]希に引っ張られ、ハテノ島へ
[現]希が「こだまになってあげる」と言う→[心]後述の命日のとき、こだまとして現れる
[現]長良の両親が離婚         →[心]瑞穂の指から指輪が消える
[現]希が命を絶つ           →[心]ハテノ島の木が燃える

第3話~第5話は、長良の成長過程だと思う。第6話の卒業式は、長良が命を絶とうとして、心のなかの希や妹が止めた感じかな。あき先生も「世界が終わる」と言って阻止しようとした。あき先生に正体があるなら妹。白猫と白衣で(強引に)繋げた。卒業後、妹(上海)に見栄を張る長良(エース)は意識から遠ざかる。妹は骨折としてふたたび現れる。

第7話以降は、弟と希の1年目、2年目の命日で、その人を思い返している。
(1年目)
第7話(塔の世界)……二つ星が弟に該当、オーロラや流れ星から弟は南極に行きたかった。それが寒そうな世界に繋がる。自分を責める日でもあるので、漂流被害者の会が長良を責めた。
第8話(祝祭の森)……こだまが希に該当、同じ病気を患った人がいる病院? 希を止めなかった後悔を表す。

(2年目)
第9話(南極?)……誠二は父親を表す。命日なので離婚した父親を訪ねると、長良以上にひどい生活。妹は足を骨折してベッドで寝ている状態。
第10話(崖の世界)……希が心に描いた場所かな。空っぽの生徒は、二年間の長良を表す。希と親しかった妹から遺品を渡され、それが現実に戻る気持ちを高めた?
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【考察まとめ】このアニメは何を見せたかったのか
{netabare}
〇物語の舞台
マインドワンダリング(心ここにあらず)になった長良の心の側から描かれた物語だと思う(wanderは"さまよう")。
コインの裏側をずっと見せられたようなもので、時間の流れは違うけど、物語は表側(最終回でまとめて出てくると思う)と同じように進んでいる。


〇哲学・心理学
各話には、哲学や心理学が絡んでいる。『ソフィーの世界』みたいなのを作りたかったのか、長良の家に哲学書がたくさんあるのか。以下、サールとアームストロングは合っていると思う。
第1話(アドラー)、第2話(フェスティンガー)、第3話(フッサール)、第4話(サール)、第5話(アームストロング)、第6話(デカルト?)、第7話(サルトル?)、第8話(ヘーゲル、キルケゴール、サルトル)、第9話(ユング)、第10話(ジェームズ、ヘーゲル)、第11話(キルケゴール?)


〇ストーリー
唯一、視聴者が理解できるのが最終回のストーリー。以下の三つは必要と考えている。
1.命を絶つ希を、長良が止められなかったこと
2.弟を失ったことで、長良が心の世界に閉じこもったこと
3.親の問題(離婚)を、長良の問題と考えたこと

これら三つも唐突で難しいと思う。だから、希がこだまと同じセリフを言うシーンがあれば、視聴者も理解でき、泣きアニメにもなると思う。

あらすじを考えてみた。
弟を失って心の世界に閉じこもる長良に、希はそこから出してあげようと考えた。だけど、長良は希の言うことを何でもきく、受け身の人間になり、飛び立つ邪魔をしてしまう。希も病が重くなり、自分の心境を描いたポストカードを長良に送る。それを見た長良は不安を感じつつも、希を信じて、過ちを犯すとは思わなかった。さらに、両親の離婚問題に関わってしまい、希に会いに行かなかった。希は、病が重くなったり、長良に対して責任を感じたのもあって命を絶つ。

ここからは少し解釈を入れる。
弟がジェンガが好きだったのを、一年目の命日のときに思い返し、塔の世界になる。二年目は南極を思い返し、骨折した妹を助けたことで、生きている人のほうが大事と考え方が大きく変わる。

希の一年目の命日は、病院にいたころを思い返す。崖の世界は、長良の心のなかにある希の心。そこには深い傷があり、空っぽの長良がいる。飛べなくなった長良が希の心の傷となっていた。それを取り除くことは、希の願いを叶えることで、長良は心ここにあらずから抜け出す。二年目の希の命日に、希が一緒に歩きたかった外の世界に長良はたどり着く。

一緒に外の世界を歩きたかった希と、それを叶えてやれなかった長良、そのシーンというより、そのすれ違い感を、このアニメが一番見せたいところかな。
{/netabare}

最終話 いつものオリジナルアニメだった
{netabare}
Aパートが終わったとき嫌な予感しかしなかった。結局、謎を放置したまま終わるいつものオリジナルアニメだった。大切な人が復活したけど忘れてしまうのは『ワンエグ』と同じパターン。考察で考えた物語はオリジナル作品として、どこかに投稿しようと思う。

この作品で、哲学の知識が増えたのはよかったと思う。とくに現象学を知ったのは大きいと思う。現象学を使ったアニメ作品は今後も出てくるのではないかと思う。

最後に一つ考察すると、キャラの名前が電車の名前なのは、電車を乗り換えるように、希から瑞穂に乗り換えるってことだった、とか。
{/netabare}

【解説】このアニメの謎を解いてみた
{netabare}
各話の謎には哲学が絡んでいる。合っていると思う順に並べてみた。

〇アームストロング(第5話)
アームストロングは、唯一名前が出てくる哲学者。アームストロングには、『現代普遍論争入門』という著書がある。著書の内容ではなく、普遍論争が関係すると思う。
長良が名前だけの救世主なのか、本当に元の世界に戻してくれるのか、生徒たちの間で論争になったことを指すと思う。

〇サール(第4話)
サールは意識についての特徴を考えた哲学者。キャップの長話はサールの哲学で説明できる。サールと猿をかけたのは言うまでもない。以下、説明は適当。
人と話しているとき、あれも話したい、これも話したいという気持ちになったりする。『あれもこれも』を意識に上げてしゃべっていると、また、あれも話したい、これも話したいという気持ちになる。そのようにして話が長くなっていく。

〇ヘーゲルとキルケゴール(ほぼ全話)
赤と青の描写が多かったと思うが、赤はヘーゲルで、青がキルケゴール。これは『ソフィーの世界』からの引用だと思う。適当に説明すると、ヘーゲルはすべてを一つとする考え方、キルケ―ゴールはその逆で、一つ一つが貴重な存在という考え方。
わかりやすいのが、希がヌシを釣ろうとしたシーン。赤いウキでヌシを釣ろうとしたのが、ヘーゲル。水の中(暗かったけど海なので青)で、ヌシの正体が魚の集団だったことが、キルケゴールとなる。瑞穂のものを盗んだときの青い炎や希の赤いセーターも同じ。ほかにも赤と青はあるので、同じように考えれば、少しは謎が解けると思う。

〇フェスティンガー(第2話)
生徒たちは『働く』という行動を変えられない状態(炎が出たり、元の世界に戻れるかわからない)にいて、対価が見合わず心が不安定になったが、「働くのも楽しい」「体を動かすのは気持ちがいい」と考え方を変えて心を安定させた。見合わない対価を、物ではなく心で満たした。それができない三人は暗幕に隠れてしまった。

〇フッサール(第3話)
暗幕の現象は、フッサールの現象学だと思う。いるかいないかわからない三人をエポケー(一時的に考えないようにする)して、三人を詳しく知ることで暗幕の世界(彼らの世界)に入れた。本当は出たいことを理解し助けてあげた。

〇ジム・ローン(第7話)
名言集からの引用かな。該当しそうなのを挙げてみる。
『運命を一夜で変えることはできないが、あなたが進む方向を変えることは一夜でできる。』
『大人がアリを踏みつけて歩いているとき、子供はアリをじっくり観察している。』

〇サルトル(第8話)
『ソフィーの世界』におけるサルトルの説明が、やまびことこだまに該当すると思う。あとは、希と会うのに遅刻したのが、サルトルの『存在と無』のなかにある15分の遅刻だと思う。

〇ユング(第9話)、ジェームズ(第10話)
以前、説明したので省略。

ヘーゲル(第6話)、キルケゴール(第11話)
赤い遺物をセットした箱舟をひとつのまとまりと考えれば、第6話はヘーゲルだろう。第11話はキルケゴールのように思える。

〇カント(第1話)、ハイデガー(最終話)
第1話をカントとすれば、英知界(可想界とも言う。理性で認識する世界)にいたと解釈もできる。元の世界は、感覚界(知覚で認識する世界)。

いままであたりまえのようにあったものが突然なくなると、その存在が強く感じられる、というのがハイデガーの哲学(説明は適当)。電車がなくなったら困りはするが、車を使えばいい。だけど、人間は代わりがいない。最終話はそういうことを言いたかったのかなあ。


改めて、このアニメを考えてみる。
まず、多世界解釈なので、希がいる世界といない世界が同時に存在する。長良も多世界の住人だから、長良もたくさんいる。長良が観測したら世界が増えるわけではない。希がいない世界がオリジナルで、長良たちはコピーだからその世界には戻れない。英知界でもイデア界でもいいが、そこでコピーから唯一無二のオリジナルへと変わり、希のいる世界へと戻った。
{/netabare}

投稿 : 2021/10/03
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サンキュー:

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