「ねらわれた学園(アニメ映画)」

総合得点
64.0
感想・評価
296
棚に入れた
1477
ランキング
3945
★★★★☆ 3.7 (296)
物語
3.4
作画
4.2
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ひろたん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

この作品では、現実世界には存在しない「光」が見える。これは、なにかの暗示?

この作品を観ていて、まず、すごいなと思うのは、「光」です。
美しい景色を背景に、「光」の反射を多用したエフェクトがあふれます。
まるで風景写真集のような映像を見せてくれます。

この光のエフェクトは、フレア、ゴースト、オーブと言うそうです。
コーティングを施していない古いタイプのレンズを使うと出る特性だそうです。
フレアは、コントラストが下がってぼやけたような感じ。
ゴーストは、虹のような光の帯。
オーブは、光の玉。
これらに共通することは、現実世界には存在しない「光」です。


この作品は、エフェクトにより古い写真を見ているようなノスタルジーを感じます。
実際、この物語の原作も古く、ストーリー自体にもノスタルジーを感じます。
この作品のジャンルはSFです。
しかし、この時代の作品には、科学的な背景や緻密な設定はありません。
結果的にそのような状況になっていると言う、状況的SFが多い気がします。
つまり、その状況になった根拠や原因には、あまり触れないと言うことです。

そうなると、このような作品は、むしろ学園ものとしてとらえる方が面白いです。
ただ、普通の学園ものと違うのは、やはりそこにSF的な要素が入ることです。
そのことにより、当然、現実と矛盾することがでてくるのです。
それが、結果的にミステリーやサスペンスに繋がっていきます。
その結果、それが一種のスパイスとなり、恋愛物語にも深みが出てきます。

しかし、この作品は、原作の持つその要素を省いたため面白さが半減しています。
そのため、謎の転校生「京極」と「カホリ」の関係の説得力が弱く感じました。
同じ時代の小説に「時をかける少女」があります。
こちらもアニメ化する際、サスペンス的な要素を省いてしまって面白さ半減でした。
残念ながら同じ轍を踏んでしまっていると言わざるをえません。


しかし、その一方で、主人公「ケンジ」と「ナツキ」の関係は面白かったです。
恋愛では、自分の気持ちを伝えたい、相手の気持ちを知りたいと思うのは当然です。
そして、それとなく相手に合図を送ってみたり、探りを入れてみたりします。
しかし、なかなか相手に気持ちが伝わらず、やきもきするのが常です。

昔は、伝える手段も限られていましたので、余計に悩みは尽きませんでした。
しかし、テクノロジーが進んだ今ならどうでしょうか?
携帯電話やメール等があればそんな悩みはなくなるのでしょうか?
この作品では、そんなことは無いと断言します。
なぜなら、伝える側、受け取る側、双方にその気が無ければ・・・。
相手に「好き」だと言う気持ちは、伝わらないからです。
伝える手段や方法の問題ではないのです。
結局のところ、これこそが、恋愛の一番の悩みどころであり、切ない部分です。
そして、恋愛物語として、一番面白いところでもあります。
この作品は、ここをちゃんと描いたことは、とても評価できます。


この作品は、最初にご紹介した通り、現実世界には存在しない「光」が見えます。
それは、写真の中だけでしか見ることができない「光」です。
しかし、その写真を見ると、あたかもその光が実際に存在したかのように感じます。
写真とは、記憶や思い出の一部を切り取ったものと言えます。
つまり、これは記憶や思い出の中に現実には存在しなかったものが入り込んでいる。
と、言うことに他なりません。

そして、この物語も、実は、・・・。


この作品は、他では見られないめずらしい映像を観る事ができます。
一度は観ても損は無いと思います。

投稿 : 2021/12/16
閲覧 : 435
サンキュー:

18

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