「純潔のマリア(TVアニメ動画)」

総合得点
70.5
感想・評価
865
棚に入れた
4485
ランキング
1502
★★★★☆ 3.7 (865)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

悔しいビクンビクン

『純潔のマリア』(Sorcière de gré, pucelle de force、じゅんけつのマリア)は、石川雅之による日本の漫画作品。
2015年1月から3月にかけてテレビアニメが放送された(wikipedia)

これもプラネテスなどと同様に谷口監督の手によって原作のストーリーを根こそぎ変えられてしまった作品。アニメがそれなりに面白かったので原作もと思って読んだら全然話が違う。もしやと思い調べてみたらやっぱりこの監督だったので「まーたやられた!悔しいビクンビクン」ってなことになりました。いやー相変わらずこの方は原作広報の天才かと思います。
(「純潔」のマリアがビクンビクンする話なん?と誤解し、やましい気持ちで当レビューをご覧になられた方、大変申し訳ありませんがビクンビクンしたのは昔のわたしです|^o^|)

驚異的なのは、アニメから原作に入っても尚原作の方が良いと思えることです。だったらそのまま原作の内容をアニメ化しろよ!と思ったりするかもしれませんが、多分そっちじゃ上手くいかなかっただろうなとも思います。プラネテスもそうでしたが、確かに両作品とも独特の空気感が魅力で、それをそのままアニメ化したところで向かなかっただろうなという気は確かにしました。
本当はこの監督のようなやり口は好きではないのですが、少なくとも私自身二度ひっかかって原作まで買ってるので方法論としては案外正しいのかもしれません。最近はこういう露骨なことしてる人は減ってる気がしますが。

アニメも結構面白くはあったのですが、気になるのはあまりにもひけらかしな「中世ヨーロッパ豆知識」が多すぎるということです。なんかもうそこらの本を乱読して使えそうなものを片っ端から取り入れた感がアリアリで、その辺はちょっとどうかなと思ったりしました。動物裁判の描写とか無理に入れたもんだから結局扱いきれずにもてあましてわけのわからんイメージで茶を濁すぐらいしかできてなかったですし。

スコラな知識に関しても、まあ絶対に無いとは言いませんが文書自体の問題もあるのだからあんなに派閥を超えた総合的な知識を持ってるもんかなあ……と思ってたら作品の設定考証されてる方がツイッターで呟いてて、あーなるほどね……もう詰め込むこと前提だったんだなと。

ただそんな方が裏方についてても尚、宿は個室扱いなんだなというのはあります。文献があるなら是非教えて欲しいところなのですが、中世頃の宿のお話は大体巡礼に関連してのものが多く割と雑魚寝前提だったりします(超横長のベッドに男女入り乱れて寝てる絵が残ってたりします)。後は歓待の文脈もありますが、個人的には当時個室だった根拠を見つけてないんですよね。なのでこれは批判とかじゃなくて純粋に資料を教えて欲しいわけなんですけど、英語とかだったらあるのかな。

(と、思ったんですが念のため検索してみたらすぐ出てきました……あれ?でもこれらの本『中世の旅』『異人歓待の歴史』どっちも昔読んでる筈なんだけどなあ……ひょっとしたら当時は中世初期だけにフォーカスあてて読んでたのかもしれない。この作品の舞台は百年戦争真っ最中で概ね15世紀前半頃のフランスの話みたいだから、まあ個室宿も一応無いとは言えないわけか。)
(追記・上記の件間違ってました。「客室」という表記を勝手に「個室」と思い込んでいただけで、やはり実際には当時宿での個室は少なくとも文献としては見当たらないままです。良くも悪くも自分の記憶の方が正しかったわけです……)

投稿 : 2022/07/30
閲覧 : 342
サンキュー:

7

純潔のマリアのレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
純潔のマリアのレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

エイ8が他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ