「インセクトランド(TVアニメ動画)」

総合得点
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感想・評価
6
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19
ランキング
7719
★★★★☆ 3.4 (6)
物語
3.4
作画
3.5
声優
3.5
音楽
3.4
キャラ
3.3

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ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

第8話までとインタビュー動画の感想

2022年4月放送開始の幼児向け5分アニメ。
原作は香川照之著作の同名の絵本シリーズ。
監督はアンパンマンやルパン、ダイナミック作品に定期的に携わる川越淳。シリーズ構成はDr.STONEや映像研には手を出すな!の構成だった木戸雄一郎。
トムス・エンタテインメント制作、Eテレにて放送中です。

川越監督のファンなので…。基本的にトムスを軸足にお仕事されている監督なので、今回オファーが来たんでしょうね。
まずは第1話のみ感想を書き、次回以降は書きたくなったら加筆していきます。

【第1話感想】
{netabare}インセクトランド1話とても良かったです。
ヒメボタルのアダムは恥ずかしがりやで、ドキドキするとお腹が光ってしまうことが少しコンプレックス。移り住んだインセクトランドの仲間たちに馴染んでいけるか、というお話。

第1話なだけに監督が絵コンテ。作画もとても可愛らしく美しいですね。

宇宙に浮かぶ地球全体を見せてから地表へ降りて人間の目線になるのが良い。地球の大きさを表現してほしいという原作者の要望を満たして地球と自然を写す「マクロの目」→虫眼鏡からアダムを覗き込む「人間の子供の目」→昆虫の「ミクロの目」に移り替わるのがとてもスムーズ!
夕日が落ちて花が閉じるのが時間経過を表現していて、他の作品でもよくあるオーソドックスな手法。けれども自然を題材にしているこのアニメでその表現を選択してることが、さりげなくも丁寧に作ってあるのを感じる。

お話は王道で言葉も簡単なので未就学児向けと思うけど、アダムが新しい環境に不安と期待を持って入っていくの、保育園や小学校に入る子が感情移入しやすいと思う。自分では短所だと思っていたことが長所になりうるということも。
EDのダンス、ユニークな動きを簡単にできるような振り付けなのもいい。

4月放送開始に最大限合わせた内容になってるし5分アニメとしては盛りだくさんだったかと。お話の展開も詰め込んでいないのに一つのメッセージだけに留まらず、知育要素や体を動かす切欠となるEDも入れている。これは良い。(2022.4.4){/netabare}


【原作絵本第1巻読了】
{netabare}インセクトランド「ホタルのアダムとほしぞらパーティー」読了。思った以上に正統派。お話本編の中に知育要素を無理に入れたりしていないのが良いですね。

絵本からアニメの変更点はアダムは元々インセクトランドの住民で、パーティーは歓迎会ではない所。最後のページに昆虫のことと作者からのメッセージあり。昔の絵本にはよく作者メッセージがありましたね。少し懐かしい作りです。
川越監督の演出、絵本の口絵やタイトルページを上手くアニメとして消化してある。最初に宇宙から地球が見えるのはオリジナル。
5分アニメだからお話はどうしても短くなるけど、単独作品としても原作への入り口としても良い滑り出しと言えそう。
アニメでは絵本では出来ない演出を沢山やってる…。第1話は分解再構築のレベルが高い。
ラストの「ようこそインセクトランドへ!」もアダムと視聴者の視点を近くしていて良い。(2022・4・7){/netabare}


【第2話~第4話Twitter感想】
{netabare}第2話
昆虫の中では大きいガブリエルも土から出たシーンは森を大きく見せてるのが上手い。大きくて力があるから皆のために尽力するけど、自然に対しては一人だと打つ手がなくて、素直に皆に頼ることも出来る。力強さと安定した心がガブリエルというヒーローの在り方。
(2022.4.18)

第3話
アダムのお腹が光るのはミアに挨拶する時とかミアの言葉を聞いた時。ミアは少し特別なのかなとか、ミアの言葉にわくわくしたのかなとか。
キャラクターがいる地上の細々した感じと、見上げる空や木の上から見下ろす景色の広さがメリハリあって良い。
空にタッチ出来ないと視聴者は知ってるんだけど、それが挑戦したミアにとって無駄ではないこと。途中でミアが見た景色が新しい体験になる。理由のない本能や好奇心がもたらすものが血肉になること。
(2022.4.18)

第4話
蜂のテオは花粉を運び手紙や荷物を配達する。この発想は無かったなあ。蜂の本能を花や昆虫を繋ぐテオの使命と広げているのがとても良い。
アダムが色んな場所に連れていかれて、インセクトランドの様々なエリアが描かれる。アダムの目線を通して新しい世界が広がる。
カメラワークが自在。森の広さをすごく見せてくる。絵コンテ監督かな…?と思ったらそうだった(笑)
とにかくキャラが自由に動き回るのでハイペース。ミュージカルで終わったのがテオが歌い足りない!みたいに感じられて面白かった。
ミュージカルって自分で言っておいてなんだけど映画アンパンマンでもこういうのやってるもんね監督。そりゃノリノリですよね。わからんけど。
(2022.4.25){/netabare}

【第5話~第8話感想】
{netabare}第5話
オオクワガタのラファエルの話。
体が大きく力が強く、人間からするとどちらもヒーローのように扱われるカブトムシとクワガタがどう違うのかという点も上手く織り込んでいる。
キャラクターとして見てもガブリエルとラファエルの優しさのあり方は正反対で、身体的特徴で子供の性質や性格を判断しないでというメッセージでもあるのかも。
ラファエルが思いやった相手がアダムなのもいい。アダムはみんなと仲良くなっているとはいえインセクトランドを訪れてからまだ日が浅く、そういう子に寄り添っていけるのは意外と控えめな子だったりするよな~なんて思ったり。皆可愛いよね。

第6話
モンシロチョウのエデンの話。
マナー、おしゃれに詳しいエデンだけど全ての基礎は「笑顔」にあるのが良いなと思った。
マナーは誰もが気持ち良く過ごすためにあるものだし、一番のおしゃれは笑顔だと。エデンの魔法はエデン自身の笑顔で周りを安心させることであり、誰かを笑顔にすること。

5話と6話で彼らの生活や交流の一端が見えてくる。キャラクターのやり取りが可愛らしい。頻繁に飛び回る昆虫とそうでない昆虫とがいるので、空と地面が舞台として毎回切り替わるのもメリハリあって良い。

第7話
ギンヤンマのアクセルの話。
とてもあわてんぼう。子供の性格が長所でも短所でもあるというのはずっとやってきているけど、アクセルは一番そういう感じが強い(笑)。今日という日は一度しか訪れないから大切にっていうのは誰にも言えること。
アクセルの言うことがわからなくて?顔になってる皆がそれぞれ違う仕草してて可愛らしい。ミアの無邪気さが身も蓋もないけど真理だなあと。ちゃんと話を聞いていれば今頃ピクニックできたよね、っていう…で落ち込んだアクセルを混ぜっ返して笑いに変えるテオ。言いたいことは言いつつも、失敗も受け入れられる土壌がある。
アクセルがよく動くし空と大地のスケール感が良くて、明るくて元気なコンテ演出だった。CGディレクターのなべしげさん、ここまでの担当回は堅実な画面作りだと思っていたけど今回は躍動感の強いコンテ。対応力のある人なんだろうな。

第8話
ハキリアリのマキシームの話。
前回のアクセルの話とテーマ的な繋がりと対比性があり、エピソードの順序も効果的だと思う。生きる上での心の持ち方をコンパクトに丁寧にやっていて、マクロとミクロが綺麗に繋がっているのも良い。
冒頭で「受粉」という少し難しい言葉も入れているけど、テオのお話を思い出せば理解できるのが上手い。未就学児の視聴者が家族に言葉の意味を聞いたとして、既に何のことかをアニメで見ているわけだ。
今回のは地味になりやすいけど子供向けとして大事な内容。それを5分弱とはいえ、冒険譚に仕立てて躍動感と面白味を付加する映像作りをしてる。でも、アダムとミアの冒険の最終目的は、マキシームの物事に対する姿勢を知ること。地味な内容を視聴者に楽しく見てもらう工夫がよく嵌まっている。

絵コンテについて感じるのが、従来のアニメーションを基礎とする川越監督と、CGのプロであるなべしげさんの「コール&レスポンス」。常にお互いの作った物の上を行こうとしてない…?というのはただの想像なんだけれど、お二人とも対応力の高いクリエイターであることは間違い無いと思う。
(2022.5.23){/netabare}


【インセクトランド】メイキング・インタビュー動画 ~フルバージョン~
https://www.youtube.com/watch?v=uhRWdfifBMk
こちらの動画の監督インタビュー
自分の記録としてざっと書き出しましたが、抜けもあるので気になる人は動画を見てね!

【一部簡単に文字起こし・感想】
{netabare}・原作絵本の印象。
優しいお話でありテーマについて露骨に描いているわけではない、原作者の書いた巻末の内容を親子で読んでいくタイプ。
・アニメ化にあたり大切にしたこと。
皆すごく優しいキャラクター。その中で事件が起こっていく。派手にしないように、地味な表現だけど見た人に考えてもらえるように。
・制作の中で感じたこと
新しいソフトを使って試行錯誤しているのがちょっと大変、絵本のタッチを生かしており従来のアニメーションとは違うのでトライ&エラーを繰り返している。研究しながら作っている感じです。
・今回初めてのソフトを使用した理由。
絵本原作ということで通常のセルルックのアニメだと絵本のグラデーションなどタッチが出しにくいから。このソフトならいいのではないか、とテストを作ってもらったらそれが結構上手くいっていた。3Dソフトではなくハーモニーというソフトで、2Dのキャラクターを変形させたりフィルターをかけたりと疑似的に動かす。それでうまくいかない所は僕たちの従来の2Dの手法で補完して併せて描いている。今までやったことのないやり方なのでなかなか面白いです。
・視聴者へ一言。
親子で見ていただいて、皆さんで話してもらえるといいかなと思います。最後に今回のお話のまとめのようなものがあるので、こんなお話だったのかな?と考えてもらえると僕らも嬉しいです。

・感想・
動画を見た印象としては、従来のアニメーションと新しいソフトの良いところを組み合わせてスタッフ皆で奔走しているという感じかなと。原作側が方向性を決定し、川越監督は子供向けとしての表現を理解し、経験とコミュニケーションでスタッフとともに制作できているのかなと思います。
実際アニメを見てもとても良い作品になっていて楽しませていただいてます。他のスタッフのお話も聞いてみたいなあ。{/netabare}
(2022.5.23)

投稿 : 2023/09/02
閲覧 : 209
サンキュー:

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