「サマータイムレンダ(TVアニメ動画)」

総合得点
83.3
感想・評価
572
棚に入れた
1886
ランキング
325
★★★★☆ 3.9 (572)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

クソアニメの魔女 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 5.0 キャラ : 1.5 状態:今観てる

バトルものとしてなら良作だが、ミステリとしては微妙。キャラも魅力に乏しい

良作が多いタイムリープサスペンスジャンルの新作アニメです。
わたしはその手のジャンルを結構観てきたクチですが、今作の場合は他と比べてなんか掴みが弱い感じですね。作画はかなり良いんですけど、話は今のところ妙に淡々としていて乗り切れないというか。どうにも一歩離れた視点から眺めてしまいますね。
何話かかけて謎を少しずつ散りばめていくのと相性の良いひぐらしみたいなホラー要素があるのとは裏腹に、どちらかというと1話時点ですぐに惨劇を見せて畳み掛けるリゼロに近い構成ですが、1話の出来はあちらに軍配が上がりますね。あっちは初回一時間でしたけど。

もう少し様子見します。もしかしたら一気見の方が観やすいタイプかもしれません。

良い点
作画がかなり良い。今期の中でも上位に位置するレベル。
海によって隔絶された島という舞台がホラー要素を引き立たせています。
キャラデザもなかなか良い。

悪い点
設定や展開に突っ込みどころがあり過ぎてサスペンスとして破綻しています。素人目にも分かるレベルであり、しっかりした設定であるという触れ込みは一体……。
主人公側がめちゃくちゃ弱いのに敵が無駄に強過ぎ。例えるならレベル1の勇者パーティが過程を無視してレベル99でカンストしている魔王(しかもそれが複数)に挑むレベル。この作品はバビロン第2期ですか?
全体的にキャラに魅力が無い。メインヒロインの一人のはずが、中盤ろくな出番が無い澪が顕著。窓や朱鷺子も家の事情の解説が唐突で薄いのもあってこの二人も魅力を感じられない。特に慎平が守るべき存在である澪は南雲先生以上に目立つべきだと思いました。
14話は作画崩壊が酷い。

3話
いくらなんでも展開が読みやす過ぎて考察する価値がほとんど無いですね。大体そうやろなあのオンパレード。それに展開編とはいえその展開自体がかなり地味で考察したい気持ちを根こそぎ吹き飛ばしてくる。一応主人公が理詰めで死に至る展開を潰していき、未曾有の危機を乗り越えようと努力しているのは伝わって来ますが……
登場人物の考え方も引っかかる。秘密を共有するもの同士付かず離れずでいた方が良いのでは?
そもそも影がベースとなる人物の記憶をコピーするのを前回の世界線で主人公は見ていますよね。どこまでコピーしているのかは不明瞭ですが、その質によってはあんな暗号とか無意味な気が……。

4話まで観ました。
みなさん絶賛している中ですみませんが、正直に酷いと言っても良いでしょうか。影がオリジナルの人間より身体能力に優れているという設定が出て来ましたが、これがバランスをぶち壊しています。
祭りに来た客を普通に皆殺しにできてる時点で、前の話でありましたが、影が澪の家の前でコソコソやる必要が無いですよね。銃だと音が出るんだって言うなら持ってる包丁と身体能力を使い、堂々と家に侵入してやればいいでしょうに。誰かに逃げられるリスクはあらかじめ増殖させておくこともできるだろう他の影で出入口を封鎖することで潰せますし、澪をコピーしている以上、彼女の家の構造なども把握済みだと断定できます。澪のコピーが祭りの場で慎平を拘束した際に、慎平のコピーとは別に島民を殺す影を用意していると発言している描写があります。慎平をコピーしたことでタイムリープ能力まで看破し、あえて慎平を殺さない手段をとったりすることから、コピーした記憶を活かすことも容易にできる高い知能はあるはずです。
影一体で大人含めた人間がいくら束になろうが皆殺しにできる戦闘能力があり、完全に遺体を消すという形で証拠隠滅までできる。今のところ主人公サイドが平凡なのに敵にこんなチート能力盛りまくってたら話が成り立たないと思うんですが。
誰が敵か味方か分からないみたいな触れ込みがありますが、上記の欠陥のせいでそういった駆け引き要素が破綻していると言わざるを得ません。せめて影の能力を人並みにするべきでした。記憶コピーと増殖能力だけでも普通にまともなストーリーにできたでしょうに。

この調子だと主人公側もタイムリープ以外に敵に直接対抗できる超能力に目覚めそうですが、そんな異能バトルはファンタジー要素のあるリゼロで十分なので、現実世界に則した舞台であるこの作品にはちょっと求めてないんですよね。

元から期待はしていませんでしたが、これは予想の斜め下ですね……

5話
敵が世界を終わらせるレベルで強そうなんですが。
それに慎平の目の前に現れた黒いカイリキーやばない?カイリキーが本来覚えないはずのかげうちがチート威力過ぎて島民皆殺しです。
しかも空からはお母様と呼ばれる羽入みたいなのが高みの見物を決め込んでいます。シュークリームあげるんで帰ってください。

話としてはこれまでの事件の糸を裏で引いていた黒幕の顔見せ、慎平のタイムリープのルール整備といったところでしょうか。アニメとしては慎平の目的がより明確化したので見やすくなったと思います。
でもやっぱ敵の規模おかしいですよね。銃とか影を見破る能力ごときでどうにかなるレベル超えてます。
この破滅的なバランスをどうするのか、気になりますね。

6話
この作品、ひぐらしやシュタゲ、まどマギなどが該当するサスペンスというよりは彼岸島のようなバトル漫画の趣が強い気がします。サスペンス要素は今のところそれっぽいだけで中身はそんなに複雑怪奇でもありませんし、多分最終的には頼れる仲間を集めて影をやっつけてやるぜ!みたいな少年漫画的なノリになりそうです。

12話まで観て
うーん……ポテンシャルはある作品ですが、何か物足りない。窓や朱鷺子の母親が死にかけだったとかもっと前から伏線張れましたよね。今更ポンと出されても困ります。もしかしたら見逃してるだけかもしれないけど、思い返した分では彼女の描写多分無いですし。話運び自体は丁寧な部類なんですが、細かいところが甘いんですよね。あとカイリキーがしょうもない強さなのは相変わらずで出て来ると萎える。12話辺りなんてカイリキーがチート能力でコピーした銃火器を撃ちまくるだけでキャラがころころ死んだり致命傷を負うオチだから絵面的にめちゃくちゃつまらないです。だからバビロンかって言いたくなりますね。アレも一般人をチート能力者が蹂躙していましたし。
叩くばかりだと流石にアレなので良いところを挙げると12話で慎平が死ぬ場面は良かったです。あそこまでの窮地で淡々と死ぬ道筋を立てられるのは他作品のタイムリープ作品には無い病的なまでの冷静さの持ち主と言っても過言ではありません。そこら辺は見ていて熱くなりました。

15話まで観て
まあ予想通り異能バトル路線になりましたね。朱鷺子の影召喚や南雲先生の先読みなど、異能バトルであるあるの力がほんとに馴染んでいないです。東京リベンジャーズ同様、タイムリープ要素はあくまで舞台装置であり、ライブ感重視で観た方が良さそうですね。ただあちらと違って本作は登場人物に魅力とか積み重ねがほとんど無いからそういう楽しみ方をするにもちょっと厳しいかもしれません。
これまで観てダメだと思った要素を箇条書きにしておきます。

・シデに引き続き潮もチート過ぎ
慎平たちが勝利する上で打ち破らなければならない最大の壁として立ちはだかっているシデ(わたしはこれまでは名前が分からないからカイリキーと呼んでいた四つ腕の化け物)がチートで1クール目では全く手の打ちようが無かったのですが、彼に対抗する策として作劇上一番違和感が無い方法であろう、これまでのループで戦い方を学んで新しい能力を開拓してきた潮を軸に、15話ではシデ、ハイネと互角以上の戦いを繰り広げていました。ただ、前から語っているようにシデの能力が慎平たちの小細工程度ではどうにもならないくらい強過ぎるのが潮の能力を肉付ける上で裏目に出ており、シデたちに拮抗するためには設定的に潮にも相応のチート能力を与えざるを得なくなったのは容易に想像がつきます。
潮の能力でこれまで判明しているのは敵対している他の影と同じ能力、慎平がこれまで世界を観測して得た記憶を他人に共有する力、他の影のコントロール権をハイネの支配から奪取する力(12話で潮がハイネに抵抗し、侵食し返したやつの応用だと考えられる)、大まかに分けてこの三つです。
この中で特に問題だと思うのはループ記憶共有ですね。他二つの能力はシデとの戦いを盛り上げる上で良い要素になるのですが、この記憶共有はシデのチートな強さ以上に便利で今やっているギリギリの駆け引きに組み込むにはリスクが全く無くやり過ぎ。この能力は正直なところ、作者がキャラクターの深堀りを怠けるために用意したものに過ぎないと思います。これのせいで慎平が自分の力で仲間との信頼を築く機会が無くなり、1クールやった今でも影が薄い澪、窓、朱鷺子の掘り下げに支障が出るという問題が出て来ています。この能力のせいで南雲先生の時みたいな協力関係を築いていく過程が無くなったので、彼らにいきなり信頼できる仲間みたいになって出て来られても全然感動も感情移入もできませんでした。

・影が火に弱いという設定の扱い方
1クール目では影も形も無かったこの設定は、15話になって唐突に出て来ました。ハイネを含めた他の影と違い、影を攻撃しても効果が全く無いシデにも火による攻撃は効果があり、慎平はガソリンによる引火、延焼と組み合わせてハイネとシデに手痛い傷を負わせ、撤退させることに成功しました。
この設定の問題点はやはり唐突に生えてきたの一点に尽きます。5話の夏祭りの惨劇の際、シデたちの側にはキャンプファイヤーがありましたが、それに怯えたり影をそこから露骨に離したりなどの伏線らしき描写はありませんでした。仮にわたしが何らかの描写を見落としていたとしても、俯瞰に優れることが散々強調されている慎平がこれに気付かないのは不自然です。彼はどんな状況でも冷静にある程度の情報を得ることは分かっていますし、さらには猛毒を躊躇いなく飲むイカれっぷりなので、多少追い詰められたからといって勝敗に直結する重大な情報を見逃す阿呆とは思えませんでした。
また、火が即死するレベルの弱点なら影は火を恐れ、普通ボロを出しまくるでしょう。人の心があるという描写があるので、死に繋がるものは本能的に拒絶するはず。潮の葬式の際の線香から出る火とか料理で取り扱う火とかに怯えると思うのですが。影の戦闘力ならそのせいで目撃者が出てしまう度に口封じしてるとかが好意的な解釈になるでしょうが、こう考えるとなんか間抜けな感じが凄いです。あとわたしの考察を前提にすると、14話の小早川家の一幕でシデが火を使わないで作られた冷や飯を食わされていると考えたりもできますね。不味いに決まっている冷や飯を食わされているとしたら、おかわりを所望していたシデはしおりちゃんたちに何か弱みを握られているのかもしれません。

・ひぐらしのなく頃にからオマージュしたと思われる要素をことごとく使いこなせていない。
夏祭りが惨劇のターニングポイント(こっちは皆殺しが起こる終着点、ひぐらしはどの世界でも同日に必ず富竹ジロウが謎の変死を遂げることで、圭一たちの疑心暗鬼に繋がる土壌が出来上がる)、ループ記憶の共有からの澪の懺悔(ややこじ付けだが罪滅し編における圭一のレナ、魅音への懺悔シーンを想起させる)、周囲から隔絶された閉鎖的な舞台(ひぐらしの舞台である雛見沢は村人の結束が強い反面、余所者や村が敵と定めた人間を敵視、排除しようとする排他的な土壌となっている)、医療機関が黒幕と繋がりがある(ひぐらしだと入江機関がこれに該当)、ヒルコ様の伝説(ひぐらしは舞台となる雛見沢にて、オヤシロ様と呼ばれる存在への異様なまでの土着信仰がある)など、ひぐらしから持ってきたと思われる要素が目白押しです。本作はひぐらしとは根本的にシナリオが違うので、そこにおける類似性はありませんが、作品を作り上げる設定群に着目すると、オマージュがあると思われても仕方ないくらいに様々な部分がひぐらしに似ています。わたしにおける決め手はひぐらしの鳴き声と澪たちに話し掛けてきた胡散臭い刑事でしたね。胡散臭い刑事は後に活躍すること無く死んでハイネの餌になりましたし、ひぐらしの鳴き声も一回きりで以降は出て来ません。
夏祭りがタイムリミットという設定以外、その他の要素も今のところシナリオに活かされた形跡はあまり無く、死んでいる設定が大半を占めています。
多分シナリオが全く違うひぐらしから無理に引っ張ってきたせいで設定があまり馴染まなかったんだと思います。7話の脈絡の無い顔芸連打もそうですが、この作品は良質な作画で誤魔化しているものの、貪欲に色んなところから引っ張ってきたネタを使っては、使いこなせないパターンがかなり多いんですよね。

想像通りだったとはいえ、後は異能バトルみたいなことをズルズルやって終わるんじゃないでしょうか。ホラー要素は無いし、サスペンス要素や日常要素も薄い、バトルシーンは良質なものの、ぱっと見サスペンスやミステリーの色が目立つこの作品に求めるものとは違うし、悪い意味で王道展開の目玉であるライブ感特化のバトルシーンに繋げたがるジャンプ系原作の要素が表れていました。

21話まで
ウシオがやられるところから復活までのギミックは最序盤の伏線回収を合わせて良くできていたと思います。ただ、謎とかはやはり薄味でバトル重視なのはいつも通りです。キャラクターも一部を除き台詞での背景説明がほとんどなのでかなり感情移入し難い。物語にあまり関与していない凸村はともかく、澪、窓、朱鷺子辺りはもう少し良い魅せ方があったと思う。主人公の慎平に関しても彼が影と戦う大きな動機の一つになろう両親の死の話が台詞だけで片付けられるのは味気無さ過ぎる。南雲先生の描写の強さに主人公が負けてるんですよね。それこそ南雲先生の方が主人公に見えてしまうくらい。潮との過去話もちょっと断片的でいまいち乗り切れるものではありませんし。
東京リベンジャーズみたいにタイムリープものとしてはアレでもキャラクターが良いって作品もあるにはあるので、こんなに謎解き要素を薄味にするならキャラクターにもう少し振った方がドラマ性も出てもっと盛り上がったでしょう。

全話観て
14話を除いて作画はかなり良いです。特に戦闘描写。シデ、ハイネとの駆け引きは序盤こそ戦力的に理不尽に差がありすぎて張り合いが無かったけど、中盤後半から終盤は悪くは無かったです。
謎解きとしてはなんでもありな影や異能の設定が足引っ張り過ぎで微妙。影にろくな弱点が無いのもあってウシオが覚醒するまでは実りが無いことを延々とやっているようにしか見えなかったです。
ラスボスの目的も他作品と比べてめちゃくちゃしょうもなかったかな。もう長く生きられないから世界と心中してやるって……人間からかけ離れた化け物をボスにしたことによる弊害だと思う。
自分にとってはまあ普通の作品、くらいの評価ですね。

投稿 : 2022/10/18
閲覧 : 927
サンキュー:

9

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