「ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン(Webアニメ)」

総合得点
計測不能
感想・評価
19
棚に入れた
44
ランキング
1080
★★★★☆ 3.9 (19)
物語
3.8
作画
4.1
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
3.8

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ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

百合版ロミジュリ、人間とヴァンパイアの逃避行

ネットフリックス配信のオリジナルアニメ全5話。
人間と吸血鬼が戦争(存亡賭けた生存競争)する終末的世界観で、許されざる両種族のヒロインが、自由と互いを求めて楽園を目指す物語。

【良い点】
世界観が素晴らしい。
直接は語られないが、おそらく過去から続く戦争で疲弊し、文明や文化が衰退している。
厚い雪雲に閉ざされた冬の荒野や要塞都市、楽園目指す、なんとなく「ウルフズレイン」を彷彿とする情緒。
終末的なのに美しいセカイをハイクオリティーな作画や楽曲で表現。

人間とヴァンパイアが種の存亡を賭けて抗争している世界観を丁寧に描写。
文明水準、ヴァンパイアの弱点付くサーチライト(シュトロハイムが使ってたやつ?)、困窮する軍国主義的な雰囲気など、描写の一つ一つが地に足の着いた物語に活かされる。
人間側は衰退し、音楽などの文化を失っている事(東西冷戦の東側ぽい)、閉塞感や絶望感からの、人間側ヒロイン・モモが、与えられた役割に縛られる葛藤から、極自然に吸血鬼ヒロイン・フィーネの手を取り楽園を目指す流れにつながる。

歌、音楽が重要なキーワード。
禁じられた音楽を自由の象徴として物語を彩った。
ヴァンパイアは耳が良過ぎる故に歌うのは苦手だから人間のモモが歌うなど、細かい配慮も上手い。

キャラクター描写と交流掘り下げも丁寧で分かり易い。
人間とヴァンパイアは決して相容れない事を終始強調、モモとフィーネを追う各陣営のキャラたちの心情もちゃんと描かれるので物語に厚みがある。
母やおじさんも背負ってきた想いがちゃんとある。

ストーリーは百合版ロミオとジュリエットな感じ、フィーネは勿論、モモも母が指導者なのでプリンセスと見なせる。
古典的なテーマ故に普遍性のある物語、男女ではないので恋愛を排してより純粋に友情を描けた。
互いに縛るモノから逃れ、求め合い、大切な関係になっていく。
モモも守られるお姫様ではない、自力でピンチ切り抜けるため、対等なパートナーな感じ。
この点は古典の良さと現代的なヒロイン像を両立している。

1話ハラハラドキドキな序章から、2話でテンポ良く仲良し、3話で吸血鬼物定番の血の衝動イベントから4話偽りの楽園で絆を試され、5話クライマックスまでノンストップ。
1話1話の密度が濃く、30分で普通のTVアニメ2~3話分くらいの満足度。これを5話分勢いが落ちず。
ラストは切ないが美しい余韻が残る。
ふたりは自由に生き、自分の意志で互いを求めた。想像の余地がある曖昧な結末だけど、楽園にいけたと思いたい。

作画は非常にハイクオリティー。
退廃した世界の雰囲気はウルフズレインに迫るレベルだし、バトルも銃火器やヴァンパイアの飛行やクリーチャー、日本刀入り乱れて外連味抜群。
おじさんのサムライソードは海外受けも良さそう。
ヴァンパイアの変異クリーチャー化はBLOOD+を彷彿、流石はプロダクション・アイジー。

【悪い点】
良い点と裏腹、密度が濃過ぎてラスト以外は余韻に浸る余裕が無い感じ。
全5話なので仕方がない。

【総合評価】8点
ヴァンパイア物の集大成みたいな良作。素晴らしい。
百合好きな自分的にそっち方面でもポイント高かった。
ただ、完成度は高いけれど物足りない面はあるので、贅沢言えばこの内容で1クール2クール見てみたかった。
評価は「とても良い」

投稿 : 2022/06/20
閲覧 : 165
サンキュー:

2

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