「雲のむこう、約束の場所(アニメ映画)」

総合得点
71.7
感想・評価
846
棚に入れた
4688
ランキング
1252
★★★★☆ 3.7 (846)
物語
3.6
作画
4.1
声優
3.4
音楽
3.7
キャラ
3.5

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二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

薄赤く、いっそう陰惨な雲から

新海誠監督の2作目となる劇場版アニメーション作品。
一作目の『ほしのこえ』は30分弱でしたが、ネット上で公開された予告編のクオリティの高さと、しかもそれがほぼ一人の力で作られたということで、多くの人の関心を集めて大きな話題となりました。
本作はその話題性の成功を受けた二作目で、声優にはタレントが起用され、制作に大勢のスタッフの手が入っており、新海誠氏の監督作品としては初の商用アニメと言えるかと思います。

内容は結構、ハードなSFです。
1996年、日本は南北に分断されており、北海道は日本とはまた別の『ユニオン』という共産国家の支配下に置かれています。
エゾと呼ばれた北海道の中央にユニオンはとてつもなく高い純白の塔を建造しましたが、その目的は不明となっています。
主人公の中学生、「藤沢浩紀」と「白川拓也」は、この塔に憧れを持っており、自作の飛行機『ヴェラシーラ』で津軽海峡を越え、塔へ行くことを計画しています。
それは当然ながら犯罪で、国家間問題となり得るヤバい行動のため、極秘で進めていたのですが、それがクラスメイトの少女「沢渡佐由理」にバレてしまう。
仕方なく浩紀と拓也は、佐由理を仲間に引き入れて、計画を進めます。
二人は佐由理に、「塔へ連れて行く」ことを約束するのですが、その矢先に佐由理が行方不明となります。
もはや佐由理を塔へ連れて行くことが目標となってしまっていた二人は計画を停止、そのまま3年の月日が経過します。

平行宇宙の観測、塔の破壊を企てるテロ組織、広い場所から抜け出せなくなった少女、そして3年越しのあの日の約束を果たすため、少年だった青年が少女を救いに行く物語です。
SFとボーイ・ミーツ・ガールが新海誠作品の潮流を感じますね。
スタッフがいるとはいえ、本作は原作・脚本・監督に、絵コンテ、演出、美術、撮影、CGにモデリングに音響監督、主題歌の作詞まで新海誠が行っており、新海誠が色濃く出ている作品だと思います。

内容に説明不足な感じがありました。
私的には、日本(北)のポジションがよくわからず、アメリカの一部となったくらいの認識でいましたが、それであってたのだろうか。
また、平行宇宙の考え方もよくわかりませんでした。
一方からのみ観測できたり、深い闇のようなものが侵食してきたり、ラストでは記憶がどうとか、どこで知ったのか、あるいはなぜそう考えたのかわからない新情報が唐突に出てきたりします。
ですが、割りと新海誠作品は整合性よりも雰囲気に重点が置かれるので、そういう意味でもらしい作品でした。
ただ、反ユニオンの組織がゼーレっぽ過ぎるのはどうかと思いました。
目が悪くなるので部屋の電気はつけて仕事していいと思うし、そんなにキーボード必至でカタカタさせなくてもいいと思うんですよ。

色々気になる点はありますが、夕暮れのシーンなどの美術は素晴らしく、新海誠らしい作品でした。
氏の作品のファンであれば楽しめるかと思います。

投稿 : 2022/12/18
閲覧 : 141
サンキュー:

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