「山田くんとLv999の恋をする(TVアニメ動画)」

総合得点
73.0
感想・評価
270
棚に入れた
929
ランキング
1047
★★★★☆ 3.6 (270)
物語
3.6
作画
3.6
声優
3.8
音楽
3.5
キャラ
3.7

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ネタバレ

7でもない さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

金か、時間か、もしくは才能、それとも愛なのか

山田くんとLv999の恋をするではネトゲ内の描写は少ない。
この物語はForest of Savior(FoS)(救世主の森というのはなんか不思議な感じ。あまりタイトルに力を感じない)というネトゲのギルドを軸に女性作家による茜と山田の恋愛/ラブコメを描いた少女漫画作品だが、下手したらネトゲ描写1:現実描写9くらいに偏っているので、ゲームにどっぷりはまり込むド級のキリト・エクスピリエンスをする .hack/sign、SAO、極振り、ログホライズン、インフィニットデンドログラム、通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?みたいなのを期待すると裏切られた気分になるかもしれない。

ゲームも遊ぶけど、友人のモモちゃんともおしゃべりしたい、おしゃれもしたい、バイトや合コンもするし、煮物やカレーを作って食べてもらいたい、学園祭にも行く、ギルドのオフ会大好き。何より山田と一緒にいたい。彼女にとってFoS(フォス)はあくまで興味の一つでしかない。
そんな本作はゲームよりも恋愛要素強めのネト充の薦め、ネトゲ嫁、ゲーマーズ、でぃ~らいとのバランス感覚に近いかな。

茜はライトゲーマーで、『ゲームの中で生きて食べて暮らし「尿ボトル」に排泄し、俺はもう現実に帰らなくていい、ここに住む』というような廃人ゲーマータイプではないのでレベル上げやレイドやドロップよりもギルドや山田の方が大切。オンラインゲームやるなら昼夜ぶっ通しで熱中してプレイするのが普通だと思っていたから、女性視点ではこのように見えるんだと感じて新鮮だった。
少し脱線するけど瀬尾つかさのMMORPG系異世界世界ラノベ、スカイワールドでは登場人物の4割が現実に帰る事を望み、6割はゲーム世界に残る事を希望したのは個人的にショッキングだったがそれはこの作品とはなんら関係ない。

話を戻すと、この作品の視点は、RPGにくぎ付けの近い視点でなく、一歩引いた鳥観図視点にちょっと似てるかなと思った。ちなみに最近はボスレイドバトルで広い引いた視野を保つことで敵の攻撃を避けやすくする、ゲームで許されるカメラ移動の限界より更に引いたズームアウトハックなるものがあるらしいが、それはともかく。

この作品でチャーミングだと思ったのはキャラとBGMと演出。
まずキャラと言えば大西沙織が演じるモモちゃん。モモちゃんは真面目で友達思い。合コンに積極的な桃ちゃんだけ彼氏ができない報われない所も中々良い(ぐへへ。その他に闇落ちする寸前を茜に救われたうざかわいいギルドの白姫ちゃんの瑠奈ちゃん、そしてほどほどに気持ち悪い瑛太。ゲーム内ではぶりっ子瑠奈姫を演じるネカマぶりっこの瑛太は、キモうざいながら、同時にさわやかでやさしく、この作品中の一番度量のある複雑なキャラだけど、それを鬼滅声優花江夏樹がきもかっこよく熱演してて妙にハマっている。
小林裕介演じる山田の友人モブAや鴨田さんもこの作品を支えているが、メガネっ子委員長のエピソードはあっさりしすぎていて物足りない。たぶん山田が茜を好きな事を強調させる為だけに存在しているんだと思うけど、現れたかと思いきや最初から負ける事前提で去っていったので残念だった。あとついでに言うと山田に魅力をまったく感じなかった。ハーレムもの主人公を逆側からみたらこんな感じなのかな。

このラブコメアニメの劇伴にトラップ曲やとりっぷほっぷ?みたい尖ったのをぶっこんできたのも挑戦的で印象に残った。いいよ。

そして個人的にこの作品の最大の魅力だと思うのは作画的演出。Aパートエンドのアイキャッチの演出が毎回違う演出で、キャッチ―でキュートで今思うと、これを見るのも楽しみの1つだったのかもしれない、違うかもしれない。
また、この作品はやたら声がかぶりになっているのに気づいた。AシーンからBシーンに場面転換する時、Aシーンの静かな風景の場面に、Bシーンの声が数秒先に被さってから切り替わる演出が何度も繰り返されてる。わかりやすいの最終話のタイトルから本編に切り替わる前に桃ちゃんの声が聞こえる所かな。きびきびした無駄の無い締った雰囲気がでていて、今風にいうと「タイパ」が良いって奴だろうか。ここ10年くらいの映画でたまにみたけど、アニメでは初めてみた。
他に瑠奈ちゃんが茜を始めてまともに見つめるシーンで座ってる茜を足から顔まで舐めるんだけど、重要なシーンとは言え、特にアクションとかもないあまり印象的でないコマを3DCGで丁寧に強調してアクセントになっていた。なんだかこの作品は手作りで拘って作っている感じがして、そこがちょっと素敵だ。アニメによって、金をかけまくった超大作で毛の隙もない完璧な作品(うわさの1話に5000万円かける作品か)と、それほどでもないけど細かい作りこみが目立つ作品と、そっけない作品があって、この作品やノゲノラではそれが感じられた。作りこみ具合は金なのかな、それとも時間なのか、もしくは才能?それとも愛なのか。アニメづくりは未だによくわからない。
筆が走って、実際の印象よりもかなり褒めすぎちゃった感があるけどまあそれもたまにはいっか。

初見
2023/06/27

投稿 : 2023/08/06
閲覧 : 119
サンキュー:

6

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