「ソルティレイ Solty Rei(TVアニメ動画)」

総合得点
75.4
感想・評価
733
棚に入れた
4196
ランキング
791
★★★★☆ 3.8 (733)
物語
4.0
作画
3.6
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

レトスぺマン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

過去のAIC作品との共通項目を探してみましょう

長文のため本文はネタバレで隠します。

{netabare}
2005年に放送されたアニメの良さって何だろう?
それを考えたときに、一番に思いつくのは深夜アニメ文化がメジャーになる直前であること。
つまり、文化的な境目こそがこの時期に放送されたアニメの特徴ともいえる。
そこには、今後メジャーになっていくジャンルの嚆矢となるものもあれば、8、90年代〜に隆盛を極めたジャンルからの引用。そしてそういったものがカオスに融合していく。

そんなマイナー文化ながらもその中で繰り広げられる多様さが、視聴者をアニメ全体のワクワクする世界観に引きずり込ませ、そこから感動を得たりすることもできるわけだ。
ぱにぽにだっしゅでのレビューでも記したが、そんな「限られた空間の中で繰り広げられる最大級の自由さを味わえる雰囲気」こそが2005年アニメ一番の良さではないかと思う。

「ソルティレイ」もそんな2005年アニメで自分が良いと思う作品の一つだ。

本作品のストーリーは、ブラストフォールと呼ばれる大災害が発生してから12年後。
格差が激しい近未来的世界観の中、娘を亡くした賞金稼ぎのロイが機械少女であるソルティと出会い、交流を通じて本当の親子関係になっていく物語であるのと同時に、本作品の世界観の中心である企業R.U.C、そしてブラストフォールの謎に迫る物語でもある。

まず私が本作品で好きな部分は、ロイとソルティの関係を24話を通じてじっくり描いている点だ。
関係をじっくり描く、というのはただ単に順調に進展していく様だけではつまらない。
もちろんそれも必要な要素だが、そこに不器用さや仲互い、停滞があることでリアリティが増すし、関係性が最後の最後で素晴らしいものとなれば、そこに至った時の達成感も一入な訳だ。
本作品はその流れが最初から最後までできていたと思う。

例えば、物語前半はロイとソルティの不器用なやり取りから始まるが、その不器用さから繰り出されるロイのおっさん萌え具合といい、ソルティの「パパ大好き!」といった発言などは、一見するとおバカな展開に見えるかもしれない。
ただ、この前半のコメディ調の展開は二人の進展を描く上でとても重要な要素で、こういったストレスのない展開があるからこそ、後のシリアスさが際立ったようにも思える。

後半の展開は前半とは打って変わって、かなり暗いものとなったが、それによって葛藤に苛まれるロイにしても、感情豊かになっていくからこそ苦しむソルティにしても、前半の楽しさがあった分、感情移入するところがかなり多く、周囲のキャラクターがこの二人に与える影響も見逃せないものになっていった。

それは、亡くなったと思っていたロイの娘であるローズ(リタ)や、ロイと一緒に暮らしているミランダやカーシャ、R.U.C警備部のメンバー、そして本作品の黒幕であるアシュレイ。
こういったキャラクターからそれぞれ伝わってくる、家族への思い、親子の思い、仲間への思い、そして好きな人への思いはいうなれば色々な種類の【愛】からきているものなのだと思う。
そしてその【愛】も決して軽いものではなく、それに至るまでの苦悩があることが作中で語られるわけだ。

そんな影響を受けて、最終回でロイがソルティの事を【自分の娘】だと不器用さ無しで発言したセリフに思わず、涙腺が緩むものがあって、最後まで見てよかったと思えるものがあるのと同時に、その先の、最後の最後のエンディングで自分の本作品に対する【愛】までテレビの向こう側へ丸ごと持っていかれてしまったような気がして、作品を見終えたあとの充足感は計り知れないものがあったと感じる。

そして、本作品でもう一つ好きなところを挙げるのならば、もちろんドラマ性がメインではあるが、本作品を制作したスタジオの一つである、AICの美少女モノ系の作品要素が一部盛り込まれている【お祭り的な作品】であることだ。

たとえば、R.U.C警備部のメンバーを見ても、デザインからして「バブルガムクライシス」を彷彿とさせるものがあるし、女性キャラクターのデフォルメ調な髪型にしても、90年代に放送されたAIC作品の要素が引き継いでいることがわかる。
物語前半のコメディ調かつミッション攻略形式の話は「BURN-UPシリーズ」に近いし、大災害後の世界観なんて、先述の「バブルガムクライシス」や、派生作品である「A.D.POLICE」さながらといったところだろう。

ところで、AICの美少女モノ系の作品は「女性キャラクターが男性キャラクターよりも全体的に強い」印象がある。
こう書くと抽象的すぎるので、もう少し詳しく書くと「女性キャラクターが男性キャラクターを引っ張っていくストーリーになりやすい」ということだ。
だから、男性キャラクターに魅力を感じないことも多く、場合によってはただのヘタレにしかみえなくなることもある。
ただ、本作品は男性キャラクターのヘタレの部分が【おっさん萌え】にうまく着地できていて、そこはGONZOの硬派さとのバランスがうまくとれた結果である…と言えなくもないか。
特筆するならば物語中盤でとてつもなく落ち込んだロイに、ミランダが殴りつけて叱咤するシーン。
ここは本来であれば感動するべきところなのだが、自分の中では「ああ、やっぱりこの作品ってAICなんだなぁ…」という目線でみてた節はあり(笑)、こんな感じで、過去のAIC作品とどこが似ているのかを探しながら視聴することも、楽しみ方の一つではないかとも思える。
{/netabare}

投稿 : 2023/06/29
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