「ジェネレイターガウル(TVアニメ動画)」

総合得点
63.8
感想・評価
44
棚に入れた
184
ランキング
4042
★★★★☆ 3.4 (44)
物語
3.5
作画
3.4
声優
3.5
音楽
3.2
キャラ
3.5

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ネタバレ

レトスぺマン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ストーリーが優秀でも時代の影響で評価されなかった作品の一例

長文のため本文はネタバレで隠します。

{netabare}
日常生活を送っていると、突然「期日までになんとかしなければならない!」といった出来事に遭遇することはよくあるだろう。
それに対処することになった場合に、なぜか「火事場の馬鹿力」のようなものが働いてなんとかなってしまった、なんて話はよくあるものだ。

その「火事場の馬鹿力」の本質とは、突然力が湧いてくる気分とはいえども過去の自身の体験や思い出の総力を全て集結させたものの結果であり、結局のところ、魔法のようなものではなく極めて理に適った事なのだと思う。

だから、いわゆる「燃えるアニメ」が昔から今に至るまで人気があるのは、そんな雰囲気に擬似的に浸れるのと同時に、そこに至るまでの理由が伏線として明確に示されれば示されるほど、本能を呼び覚ますような感覚に包まれていくからなのだとも思える。

それを考えたときに本作「ジェネレイターガウル」は「燃えるアニメ」として先述の概念にかなり沿ったものであったし、個人的にもそういったアニメの枠でのお気に入り度としては結構上位に位置する作品となった。

本作品の良いところはキャラクター、ストーリー、SF、コメディといった要素が非常にバランス良く保たれているところであり、1クールという短さも相まって、ストレスなく見れた点。
そして、本作品のバックグラウンドとしてかなり重い雰囲気が漂っているのにも関わらず、それをキャラクターが上手に緩和してくれたことが良かった。

例えば、主要人物のガウル・コウジ・リョウにしても最初の第一印象から見れば、熱血、クール、弱腰、といったものとして捉えてしまいそうになるが、話数を重ねていく毎に、優しさやカッコよさ、勇敢さが強調されていった部分は大きい。
また、女性キャラクターのマサミ・ナツメにしても、マサミはただの暴言少女、ナツメは可愛いけれども、捉えどころがないといった感じで、とっつきづらい部分があった。
ただ、ナツメの重大な秘密を知ると途端に感情移入することとなり、マサミについては最終的に彼女の手料理をたらふく食べたいと思えるぐらいに好感が持てるキャラクターになったのだから驚きである。

通常1クールだと、感情移入させるような描写がおざなりになりがちなのだが、それをテンポの良さと大量の伏線を利用して賄ったところが本作品のすごいところではないか。

そして本作品最大の特徴である大量の伏線についてだが、これは私から解説するよりも是非、この作品を【実際に視聴して体感していただくのが一番良い】のではないかと思える。

ただ、一つ話したいことは本作品のSF設定は決してとってつけたようなものではなく、1話からの順当な積み重ねでできているということだ。
それを楽しむには、ストーリーのわかりやすさやキャラクターへの好感を利用して全く何も考えず、驚きを得ることでもいいし、キャラクターの言動の一つ一つへの注目、主人公たちがどこからやってきたのか、途中から出てくる謎の男の正体とはなんなのかといったことを、頭をフル回転させて自分の考察と最終結果が合致するかを確認するというようなこともできるわけだ。

付け加えると後者のような視聴方法を試した場合、5話のようなタツノコプロネタ満載の神回もあり、ここで一旦頭を休ませることもできるので、混乱してしまうことは絶対にないはずだ。

物語のバランスの良さと大量の伏線がある、ということは色々な楽しみ方ができる面白さがあり、これを90年代の深夜アニメ黎明期に行ったことも改めて評価されてもいいのではないかと思う。

本作品は、ストーリーやキャラクター、伏線回収などバランスの良さが際立ち、それは、外連味や濃密さがかなり薄まり、ライトな雰囲気になってしまった欠点があるもののストーリーとしては優秀で、1クールで手軽に楽しめる部分も評価ポイントとして高い。

ただ、このような作品がなぜマイナーの極致のような地位になってしまったのかを考えると、当時の深夜アニメの知名度の低さや他のメジャーな作品に隠れてしまった事以外にも、放送された時間帯に問題があったのではないかと考える。

それは、現在まで続く深夜アニメの起点を1996年放送の「エルフを狩るモノたち」とすると、本作品が初めて深夜3時台に放送されたアニメ番組であるということだ。
今となっては深夜3時台の放送は珍しいものでもないが、これをリアルタイムで視聴するとなったときにそれ以前の時間帯に放送される番組に隠れてしまうことが想像できる。

また、当時の録画機器は現在の製品に比べると保存できる容量も少なく、操作が不便であったことも要因の一つではないだろうか。
なので、作品というのはどれだけ優秀であっても、タイミングや時代の影響によって、メジャーになるかならないかが大きく分かれてしまうことが本作品の視聴で改めて感じたところである。

ただ、個人的に深夜アニメ黎明期の作品が好きであることも挙げられるが、伏線回収劇やエヴァンゲリオンの戦闘描写を彷彿とさせるような作画の細かさは、当時としては新しさを出そうとした部分ではあると思えるし、マイナーの極致のまま消えていくのはどうももったいないような気がしてならないのだ。

今後、視聴していく方が増えることを願うばかりである。
{/netabare}

投稿 : 2023/07/01
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