てとてと さんの感想・評価

3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

義妹との一途な純愛ラブコメでダ・カーポより良かった面も

「D.C.〜ダ・カーポ〜」のプロデューサーが担当した恋愛ゲーム原作の、ファンタジー要素ありのラブコメ。全12話+未放送1話。
義妹と幼馴染の修羅場路線だけど、真面目寄りの純愛作品。
※作品データベース様より転載

【良い点】
終始一貫して義妹ルート固定の真摯なラブコメ。特に8話終盤以降は非常に見応えがある。有耶無耶にせず真っ向勝負の修羅場を描いた。
日常やコメディーよりもシリアス寄り、序盤から義妹とのベタなラブコメが盛り上がり、3話早くも主人公から告白。以降愛が揺らがず。
途中までどちらが本命か曖昧に惑わす作品が多数な中で、本作は一途なのが珍しい。
また、大筋の構造が似ているダ・カーポと比較して、1クールに濃縮していて完成度が高い。(遊戯氏が書かれている通り)
キャラの出番を大胆にトリミング、ダブルヒロイン以外はあえてモブに近い扱い、更にダブルヒロイン間でも明白な格差を貫いた。
義妹は大変可愛いし、幼馴染に視点移せば切ない恋心にグッと来る、双方魅力的だった。
現在から未来の恋を得ている義妹、過去を胸に抱いて狂おしい幼馴染の対比、そこに絡むギフト要素で目が離せないストーリー。
途中経過はともかく、最終的には爽やかなラストで満足感は高い。

一生に一度だけ大切な人に贈る奇跡「ギフト」の設定が効果的かつドラマチックに活かされている。
個別回で必ずしも幸せになれない厄介な力?な積み重ねの末、10話ヒロイン双方にとって悲劇的な使われ方で呪いじゃねーか…
からの、主人公への亡き母の愛…大切な人に贈るギフトの意味…全編通して母から息子へ、ヒロインの愛を、美しく描いていた。
母親関連のエピソードはベタながら感動的。

主人公は首尾一貫して義妹のリコを愛する姿勢を鮮明にしていて好印象。序盤から自分で告白、中盤もキリノのアプローチを潔く断る。
ヒロインはリコちゃん一強、お兄ちゃんを起こすシーンなど随所にベタなエロゲー妹らしさで萌え。
キャラクターとしてはベタだけど、こういうのでいいんだよ!な可愛さだった。

作画は総合的にはイマイチ、特に主人公のキャラデザはイケメンに程遠いが、
告白シーンや、ヒロインの失恋で涙などの要所では魅力出せている、10話キリノの病んでる表情はグッと来る。
8話入浴サービス回がかなりえっちだったり、要所は抑えている。
背景もギフトの虹は奇麗だし、キリノのピアノシーンなど要所で雰囲気は出せている。
またキリノの糸電話が8話で弛んでいるのは、主人公に気持ちが届かないメタファーとして分かりやすかった。演出が上手い。
楽曲面ではキリノの切なさが滲む陰鬱なビアノも効果的に活かされ、最終話気持ち整理付けてのピアノ演奏は印象的。

【悪い点】
作画、キャラデザにやや難あり。
主人公がイケメンじゃないのは別に構わんけれど、女の子のキャラデザは顔と目のバランスに古さ感じさせる。
2006年なのを考慮すると同時期や数年過去作と比して微妙。

サブキャラとの個別エピソードが軒並み微妙。このため中盤が退屈気味。
話としては成立しているけれど、あまり面白くなかった。
百合ヤンデレ回や、偽ギフト回など、サブキャラの掘り下げを削った弊害が出ている。
大筋のストーリーは良いだけにやや惜しい。

ヒロイン描写的にリコ一強でキリノが弱い。
ここも良い点でもあるけれど、9話以降の修羅場ヤンデレに展開する前にもう少しキリノ側の掘り下げが欲しかった。

やはり良い点と裏腹、真摯すぎて、他恋愛ゲーム原作アニメに比して日常パートが楽しくない。
ここもサブヒロインを削った弊害か。

やはり本作の持ち味ではあるが、9話以降の重い修羅場ヤンデレは楽しくはない。
この点は好みの問題で本作が悪いのではない。

【総合評価】7～6点
「D.C.〜ダ・カーポ〜」とは差別化出来ている、真摯なラブコメアニメ。
やや粗削りな要素も多いものの、大筋の内容はかなり良い。
評価はとても良いか迷うけれど、やや惜しい「良い」