てとてと さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態：観終わった
韓国の王道ハイファンタジー。丁寧で好感が持てるが、2クール通しては薄味
韓国ゲーム原作のハイファンタジー。主人公が魔王打倒の為に聖剣求めて仲間と旅をする、王道なRPGファンタジー。
全26話。
【良い点】
RPG風ハイファンタジーとして丁寧に作られている。
100年前のカイル王と聖剣エア、魔王アングムント復活、主人公カーセルが聖剣の継承者で、魔王倒すべく仲間と旅立つ云々…
良くも悪くも王道ド真ん中、捻りは乏しいが、非常に分かり易く、世界観設定や人物描写なども手堅く掘り下げている。
意地悪く見るとテンプレありがちだけど、2020年代に古臭い王道テンプレを、丁寧に作る姿勢は、好感持てる。
キャラデザや背景やアクションなどの作画水準も申し分なく、また楽曲が中々良いなど、アニメーションの作りは良好。
ストーリーは聖剣エアを求めるカーセルと仲間たちと、王国に恨みを持つダークエルフのリヒトと王国の高潔な姫騎士スカーレット
のドラマの二本軸で進行していく。
カーセル側は王道なRPG勇者ストーリーを邁進、排他的なエルフやオークら他種族と交流するイベントが軒並み良く出来ている。
未熟な勇者カーセルの力への葛藤や成長の過程も丁寧、仲間たちのキャラも良く、雰囲気は良好。
リヒトとスカーレット側のドラマの方が捻りがあり、王国の鬱屈した感情抱えながら成り上がっていくのは見応えあった。
物語全般のテーマとして、種族や立場を超えての和解、的な要素を感じる。
また終盤、100年前のカイル王と仲間たちのドラマの掘り下げも絡めた展開も良かった。
個別回は「神様のいない日曜日」を彷彿とする9話が切ないが良回。
ゾンビ化した妻に執着する男の悲哀、その娘で心を閉ざした幼女エリーゼとフレイ(カーセルの仲間のヒーラー)との交流、
ビターながら余韻のあるエピソードで、また死者が蘇り脅威となる世界観も印象付けられている。
フレイとの交流で心を開いたエリーゼちゃんが、後に再登場、リヒトとの関係で己の正義に迷いが生じたスカーレットに
今度はフレイから教わったお菓子を手渡して姫騎士の心を救う流れが上手い。ちゃんとキャラドラマの積み重ねが出来ている。
他にも個別回で登場したサブキャラが後々ちょい役ながら良い見せ場あり。
例えば序盤でダークエルフの少年と交流したモブ少女が、終盤で絆が無駄ではなかった描写があるなど。
1話のみのゲストキャラが軒並み魅力的なのも良い。
キャラクターは「テイルズ オブ ファンタジア THE ANIMATION」のアーチェを彷彿とする魔法使いクレオが特に可愛い。
天真爛漫でお茶目なムードメーカー、かと思えば試練に臨むカーセルに他ふたりが心配顔に対しクレオだけは信頼の笑み。
単に騒がしいだけでない魅力的な女の子だった。
奥ゆかしいヒーラーのフレイは地味ながら、エリーゼちゃんとの交流や、カーセルを一途に想う健気さで徐々に正妻力発揮。
クールなロイも地味ながら良き仲間、18話の過去掘り下げエピソードがかなり良かった。
他にはリヒトの妹ちゃんが可愛かった。ダークエルフ美少女萌え。
【悪い点】
悪い意味でも王道過ぎる。ロードス島戦記を現代風RPGに置き換えて内容薄味にした感じ。
個々の良エピソードは多いが、平坦でイマイチ盛り上がりに欠ける。
ちょっと説明しづらいが、丁寧な脚本なのは間違いないと思われるも、何故か退屈を感じがち。
キャラ固有の魅力やドラマの盛り上がりも平坦。丁寧な掘り下げはあるが、地味で、全体の盛り上がりに繋がっていかない。
例えばカーセルは主人公としての葛藤や成長は申し分ないが、ひたすら運命(というか脚本)に動かされている感じ。
キャラ描写が教科書的というか、面白味に欠ける。これはロイやリヒトも同様。フレイは悪くはなかったが、やはり地味。
ただでさえ薄味なのに、総集編を2回挟み余計に冗長。
特に後半、展開やキャラの扱いの雑さが目立ち、盛り下がりがち。
丁寧に進行していたリヒトとダークエルフたちが敵ボスのマルドゥークに雑に処理されたり、
そこからのリヒトとスカーレットの交流もあまり盛り上がらなかったり。
またカーセルとリヒトがラスボス戦まで交わらず、共闘がドラマの盛り上がりに全く繋がっていない。
「エガオノダイカ」を彷彿とする残念さ。
小物なマルドゥークもアッサリ退場、リヒトとの因縁が活かされず。
ラスボス戦も地味というか、グダグダ。聖剣とはいったい…
カーセルと父とのドラマもオイシイ題材にも関わらず、全く盛り上がらず拍子抜け。
カイル王世代の過去ドラマの方が面白く、現役世代そっちのけだった印象。
【総合評価】5～4点
佳作未満ながら、王道テンプレを丁寧に積み上げて2クール見られる内容には仕上げている。
評価は良いに届かない「普通」
【余談】
ニコニコ動画ではカイル王は「カエル王」と呼ばれ絵文字でネタにされていたり。
少数の視聴者からはなんやかんやで愛されていたアニメだったかも…
